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2018.08.07

好きな人を前にすると胸がドキドキするのはなぜ?【カラダの不思議#7】

KenCoM編集部

誰もが日々体験している当たり前の生理反応。しかしなぜ起きるかの理由を説明しようとしても、できないんですよね?!というわけで、科学的な根拠を元に解説する本連載が「カラダの不思議アルアル」です。解説していただくのは、KenCoM監修医の石原藤樹先生。

第7回目は「好きな人を前にすると胸が高鳴る理由」についてです。こんな素敵なシーンでは、身体の中では一体何が起こっているのでしょうか?

好きな人を前にするとドキドキするのはなぜ?

脳内麻薬が出ている状態

石原先生「これは、交感神経が緊張しているために起こる現象なんです。

一般的に交感神経が緊張する状態というのは、運動をしたり、気分が高揚していたりするときの身体の状態です。

交感神経はその神経を刺激するホルモンが出ることで、優位になります。好きな人を前にすると脳からアドレナリンが分泌され、それが交感神経を刺激するのです。

どういったメカニズムでこのホルモンが出るのかはよく分かっていないのですが、一種のストレス反応であることは間違いありません。

とはいえマイナス要素のストレス反応とは異なり、好きな人を見たときにはアドレナリンのみではなく、脳内麻薬と呼ばれることもあるドーパミンやエンドルフィンなども分泌されるため、脳内では嫌だという感情ではなく緊張や高揚に近い感情が沸き上がります」

ドキドキを抑える方法はある?

石原先生「無理に抑えるのはあまりよろしくないですね。どうしても抑えたいという場合は、心を落ち着かせるということです。

好きな人を前にして心臓の鼓動が高鳴るのは、ストレスによる緊張によって引き起こされているものなので、自分がリラックスできる音楽を聞いたり、香りをかいだり、考えないようにしたりと、それぞれに合った工夫が効果的です」

胸の高鳴りは脳内麻薬によるもの

好きな人を目の前にすると胸がドキドキするという生理現象は、ホルモンのバランスや交感神経が優位になることで引き起こされているのだとわかりました。
また同時に、汗をかいたりするのも同じ理由なのだそうです。

それにしても、好きな人を見たときにそういった現象が起こる理由自体はよくわかっていない、というのは何だかロマンチックですよね。

次回予告:冷たいものを食べると頭がキーンとする理由

次回は、冷たいものを食べると頭がキーンと痛くなる理由について迫ります。
お楽しみに。

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

(取材・文/KenCoM編集部)

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