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2018.08.28

退屈&嫌なことがあったとき、ため息をついてしまうのはなぜ?【カラダの不思議#10】

KenCoM編集部

誰もが日々体験している当たり前の生理反応。しかしなぜ起きるかの理由を説明しようとしても、できないんですよね?!というわけで、科学的な根拠を元に解説する本連載が「カラダの不思議アルアル」です。解説していただくのは、KenCoM監修医の石原藤樹先生。

第10回目は、日常で何気なくついてしまう「ため息」についてです。身体は、なぜため息をつかせるのでしょうか?

嫌なことや、退屈なときにつく「ため息」とは?

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肺の拡張のために無意識にする呼吸法

石原先生「ため息は呼吸法の一種で、脳の呼吸中枢のそばにある箇所が刺激されることで出ます。ため息をつくと身体の中では、肺が大きく広がります。実は他の呼吸法では起こらない状態で、無意識でやっているものの中では特殊な呼吸法として分類できるんです。

人はストレスがかかると肺が縮こまります。それを無意識のうちに広げようとして、ため息をついてるというわけです」

実は人は5分に1回ため息をしている

石原先生「“はぁ~”と大きく出すため息は自分でも聞こえるため、“ため息をついてしまった”と感じるかと思いますが、実は人は無意識のうちに5分に1回程度のため息をついているんですよ。

肺が縮こまると呼吸の働きが鈍くなり苦しくなってきますが、ため息を行うことで肺が広がり楽になります」

ため息はストレス解消の手段

石原先生「ため息はストレスを解消する一つの手段としても有効です。それによって自律神経のバランスが整い、ストレス時の交感神経優位の状態から、リラックス時の副交感神経優位になるからです。意識的にため息をつくことで、ストレスの軽減にもつながりますので、ぜひお試しください」

ストレスを感じたら意識的にため息をつくべし

ため息だけでもストレスを発散できるのであれば、積極的に行いたいものです。日常生活でどんどん溜まっていくストレスは、ため息で吹き飛ばしてしまいましょう!

次回予告:感動するとなぜ涙が出るの?

次回は、感動すると涙が出る理由についてです。
私たちが心を動かされたとき、身体の中ではどんなことが起きているのでしょうか?

お楽しみに!

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

(取材・文/KenCoM編集部)

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