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2018.08.21

辛い物を食べると汗が噴き出し、涙が出る理由とは?【カラダの不思議#9】

KenCoM編集部

誰もが日々体験している当たり前の生理反応。しかしなぜ起きるかの理由を説明しようとしても、できないんですよね?!というわけで、科学的な根拠を元に解説する本連載が「カラダの不思議アルアル」です。解説していただくのは、KenCoM監修医の石原藤樹先生。

第8回目は「辛い物を食べたときの生理現象」についてです。なぜ汗や涙が出るのでしょうか?

辛い物を食べると汗と涙が出るのはなぜ?

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汗が出るのは、身体が熱を持ったと勘違いするから

石原先生「実は辛い物を食べたときに出る汗と涙ではそれぞれ原因が異なります。まずは汗が出る理由からご説明します。

これは、身体が体温が上がったと勘違いをして起きている現象なんです。

ここでの辛さは、唐辛子を例にします。唐辛子に含まれるカプサイシンという成分が、トリップV1と呼ばれるイオンチャネル(イオンを透過させるタンパク質)を刺激することで、痛みを発生させます。この痛みのメカニズムは、身体が熱を帯びて汗を出し、体温を下げるときと同じ反応になります。

ですから、辛いもの(カプサイシン)を食べると汗が出るというのは、身体が熱を出していると勘違いして体温を下げようとしているためです」

汗が大量に出る場合は病気の可能性も!

石原先生「ただし、汗がなかなか止まらなかったり、大量にダラダラと出てしまう場合は、何か病気が潜んでいる可能性があります。おかしいなと思ったら、病院で相談してみることをおすすめします」

涙が出るのは刺激から目を守るため

石原先生「涙が出るのは、痛みや辛みによって涙腺が刺激されることで起きます。これは、そういった刺激から目を守ろうという目的で涙が出ます。

涙によって身体によくない悪い物を洗い流して、目に入らないようにするという防衛反応だと言えます」

辛いものは身体にとっては刺激と判断されていた

夏になると特に食べたくなる辛いもの。特にカプサイシン成分を持つ唐辛子を食べるときには、その辛みや痛みといった刺激から身を守るために汗や涙が出ているのだそう。
そういったところからも身体自身の防衛反応を垣間見ることができるというのは、面白いですよね!

次回予告:人がため息をつくのはなぜか?

次回は、退屈なときや嫌なことがあったときについ出てしまう「ため息」。その原因とどんな意味があるのかに迫ります。
お楽しみに!

<監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36

(取材・文/KenCoM編集部)

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