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2018.05.27

やらなければいけない事が多すぎ!目標達成できるか不安です…【働く人のポジトレ#9】

KenCoM公式ライター:横山博之

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働く社会人たちの強い味方!数々の心理テクニックを熟知する心理学者の内藤誼人先生が、ストレスにさらされている人たちの悩みを解決に導く本連載『働く人のポジティブメンタルトレーニング』、略して「ポジトレ」。

今週は「やるべきことが多すぎる中で目標を達成する方法」。早速お悩みを紹介していきます。

今週のお悩みはコレ!

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■お悩み
「最近責任のあるポストに就いたのですが、途端にやるべき仕事がドンと増えてしまいました。やり切れるか不安で押しつぶされそうです。どうしたら目標達成できるでしょうか?」

内藤先生:「タスクを細分化してみてください!」

期日までに終わらせなければいけない仕事や、期待からの重圧に押しつぶされそうになるという経験は、誰しもあるかと思います。

そうした状況に陥る原因は、その課題を自分の能力や想像以上の規模だととらえるからなんですよ。自分では手に余ると感じるから、パニックを起こしてしまう。

だから大切なのは、課題を想像できる規模に切り分けることです。胸焼けしそうなほど大きさなホールケーキでも、小さく切り分けてちょっとずつ食べていけば、「a piece of cake = 朝飯前」になる。

できるだけ小さい単位に分けていけばいいのです。

小さな積み重ねで目標は達成できる!

スタンフォード大学にいるアルバート・バンデューラという研究者が、7~10歳の子供を対象に行った実験があります。

258ページの算数の問題集を終わらせるのに、ひとつのグループには「がんばって258ページを終わらせよう」と声をかけ、もうひとつのグループには「これから約1ヵ月半、1日6ページずつがんばろう」と伝えました。

完遂した子どもの数は、前者が55%、後者は74%。課題を細かく分割したほうが、最後までやり遂げられたのです。

何冊も著書を出している私も、200ページ以上の本一冊を書こうと思うと腰が重くなりますが、2ヵ月かけて1日4ページ書いていこうと考えれば、気軽に着手できます。

どこまで細分化するべきか?

では、どこまで細分化すればいいか。それはあなたが“朝飯前だと思えるレベルにまで”、です。

「プロジェクトを成功させる」という大きな課題があれば、それを「市場調査」「研究開発」「予算確保」「メンバーとの情報共有」といったタスクに分割。さらに「市場調査」なら、「リサーチ会社に○○調査を依頼」「市場動向を××氏に聞く」「過去の資料を分析する」などと再分割。最終的には、「××氏に電話する/メールする」「△△に行く」くらいにまで分けましょう。そこまで分ければ、簡単に取り組めますよね?

こうして目の前にある小さな課題をやっているうちに、いつの間にか大きな課題をクリアできているものなんですよ。

人間は、遠くより近くの目標のほうが、イメージしやすいですからね。42.195km先のゴールを目指すより、ひとつ先の電柱を順次目指していくほうが、気負いなく走れると思いませんか?

やるべき目標はなるべく小さく分割しよう

やるべきことの大きさに圧倒されそうになったら、まずはタスクを分割してみましょう。

筆者も原稿が溜まりまくっていましたが、まず今日は2本終わらせる!を目標にすると、不思議とサクサク進みました。

ぜひお試しください!

(取材・文/横山博之)

【働く人のポジトレ】過去の記事はこちら!

参考文献

Bandura, A., & Schunk, D. H. 1981 Cultivating competence, self-efficacy, and intrinsic interest through proximal self-motivation. Journal of Personality and Social Psychology ,41, 586-598.

監修者プロフィール

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。

著者プロフィール

■横山博之(よこやま・ひろゆき)
『monoMAX』、『東洋経済』などの雑誌やWeb、書籍など幅広いフィールドで活躍するフリーライター。多くの著名人のインタビューを手掛けてきた経験から、内藤先生とタッグを組み、先生の書籍を執筆をした経験も。時計やカバン、文具といった男性たちがこよなく愛するガジェットにも造詣が深い。

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