メニュー

2018.04.08

一生懸命なのに仕事ができない…能力をグンと伸ばす方法【働く人のポジトレ#2】

KenCoM公式ライター:横山博之

記事画像

働く社会人たちの強い味方!数々の心理テクニックを熟知する心理学者の内藤誼人先生が、ストレスにさらされている働き人たちの悩みを解決に導く本連載『働き人のポジティブメンタルトレーニング』、略して「ポジトレ」。

今週は、「仕事ができない人の能力をグンと伸ばす方法」。早速お悩みを紹介していきます。

今週のお悩みはコレ!

記事画像

■お悩み
「とても一生懸命なのですが、仕事ができない部下がいます。自分でも不甲斐ないと悩んでいるようですが…。どうしたら成果を上げてくれる人材に育つでしょうか?」

内藤先生:「成功体験を何度もイメージさせてください!」

一生懸命取り組んで入るものの仕事ができないというのは「うまくいかない」「空回りしてしまう」ということですよね。では、なぜそうなってしまうのか?

それは、うまくいく、成功する方法を具体的にイメージできていないことが大きな原因なんです。

そこで、役立つ心理学のテクニックをお教えしましょう!ズバリ「行動リハーサル法」です。

「行動リハーサル法」とは?

これは、自分が直面するであろう状況をものすごく具体的にイメージして、その中で自分がどういう言葉を発するのか(発するべきか)を書き出し、それを丸暗記してから実際に口に出してリハーサルしてみるという方法です。

内藤先生:「やり方は、詳細にイメージさせる ⇒ 書き出す ⇒ 口に出す」

例えば、プレゼンを成功させたいのなら、その内容はもちろん、会場に入ったときにどう挨拶するのか、どういう言い回しでスタートさせるのか、終了してからはどんな話を振るのかを詳細にイメージして、その場に置かれたときに自分の口からどんな言葉が飛び出すのかを詳細に書き留めます。そして、それを丸暗記!これを繰り返すことで、成功への道筋が開けてきますよ。

POINT とにかく具体的に手順化させましょう!

ポイントは、できる限り事細かく状況を手順化すること。そもそも、仕事の手順がわからなくてうまくいかないケースは多いものです。

プレゼンをやったことのない人は、事前の資料作りに没頭できても、スムーズな導入や質問対策までは頭が回らないもの。

自転車だって、一発でうまく乗れる子供は滅多にいませんよね。サドルに跨って重心を落とす、ペダルを踏む、足を地面から離す、バランスをとりつつ、ペダルを漕ぐ。

経験を積むうちに手順を理解し、それぞれの最適解を探していけるようになるわけです。

内藤先生:「行動リハーサル法で自己主張できる人材が育つんです」

行動リハーサル法については面白い実験があります。アメリカ・ウィスコンシン大学のリチャード・マクフォール氏が実践したもので、押しの弱い性格の被験者を集めてある設定を与えます。例えば、"あなたは映画のチケットを買うために列に並んでいます。そこへ、あなたの前に割り込んでくる人が現れました。なんと声をかけますか?"といった具合。

それに対しては「みなさん並んでいますよ」とか「行列の最後尾はあちらですよ」と声をかける状況とセリフを具体的にイメージさせていくんです。こうしたトレーニングを状況を変え、16回行いました。

結果、トレーニングをしたグループは62.94%が自己主張を行えるようになったのに対し、トレーニングを行わなかったグループは46.16%と大きく水をあけていたそうです。

行動リハーサルを重ねたことで、正しい行いへの手順が明確化し、言いたいことや正しいことを言えるという成功を手にできたというわけ!

内藤先生:「部下に抽象的な指示を出していませんか?」

部下や同僚が仕事ができないと不満に思う前に、まずはうまく指導ができていないのではと自分も顧みることも大切ですよ。

「うまくやって」「いい感じにね」などといった指示では、部下は育つわけがないんです。心理学では、抽象的で曖昧な指示では人間は動けないことがわかっていますから。

なるべく具体的な状況を設定し、手順を書き出して部下にリハーサルさせることが成功へと導く近道です。

あなたや仕事ができる人の経験を活かして、“自分ならどういうふうに手順化するか、どうやって伝えるのか”、例示してあげるのもいいでしょう。

失敗を重ねた人ほど、優秀になれる可能性を秘めている

いかがでしたでしょうか?

今は仕事できない人でも「行動リハーサル法」などを通して成長することで、立派な人材になることができるのだそうです。

「生まれつき泳げる人は、そうでない人に泳ぎ方をうまく説明できないのと同じように、仕事ができる天才は、そのコツをうまく凡人に説明できません。逆に失敗から地道に学べた人は、成功へ至る方法をより具体的に多くの人に伝えられるはずだからです」と、内藤先生。

きっとその頃には、あなたはさらに理想的な上司として羨望の眼差しを受けていることでしょう!

(取材・文/横山博之)

参考文献

McFall, R. M., & Marston, A. R. 1970 An experimental investigation of behavior rehearsal in assertive training. Journal of Abnormal Psychology ,76, 295-303.

【働く人のポジトレ】前回の記事はこちら!

監修者プロフィール

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。

著者プロフィール

■横山博之(よこやま・ひろゆき)
『monoMAX』、『東洋経済』などの雑誌やWeb、書籍など幅広いフィールドで活躍するフリーライター。多くの著名人のインタビューを手掛けてきた経験から、内藤先生とタッグを組み、先生の書籍を執筆をした経験も。時計やカバン、文具といった男性たちがこよなく愛するガジェットにも造詣が深い。

この記事に関連するキーワード