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2018.04.22

仕事は最高、人間関係は最悪。こんなときどうする?【働く人のポジトレ#4】

KenCoM公式ライター:横山博之

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働く社会人たちの強い味方!数々の心理テクニックを熟知する心理学者の内藤誼人先生が、ストレスにさらされている働き人たちの悩みを解決に導く本連載『働き人のポジティブメンタルトレーニング』、略して「ポジトレ」。

今週は、「仕事自体は好きなのに、人間関係は最悪でツライ」。早速お悩みを紹介していきます。

今週のお悩みはコレ!

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■お悩み
「できない上司や、性格の悪い同僚がいてストレスです。今の会社での仕事自体は好きなのですが、正直働きにくい……どうしたらよいでしょうか?」

内藤先生:「相手のいいところを見つけてみてください」

あえて、色眼鏡を掛けて、相手のいいところを見つけてみてください!

「せこい上司」は、「細かなところまで目が行き届く上司」に。「大雑把な同僚」は「大所高所の視点がある同僚」に。「皮肉屋の部下」は「新たな視点でアドバイスをくれる部下」に。

本心でなくても物事をそうとらえていると、不思議とそう思えてくるのです。

「よくこんなこと気づくなぁ」「自分ではできないや」と、俯瞰的に観察しているうちに、自分のなかで受け入れる気持ちが芽生え、自然と関係も改善されていくんですよ。

だまされたと思って、やってみてください!

仕事において人間関係の構築は最優先事項

職場におけるストレス調査を行うと、たいてい1位に挙がるのが「人間関係」。

対人ストレスは社会における最も重要なテーマで、今回のような悩みはよくお伺いします。ただ、どれだけ仕事が好きだといっても、人間関係が悪ければ、やはり楽しむことはできません。やがて仕事自体も苦痛に感じてしまうでしょう。

転職して良好な関係性を築ける職場を探そうというのは、藁をも掴む話。仕事そっちのけでも、まずは人間関係の構築に精を出すべきです。

悪いところばかり目が行っていませんか?

有名な心理学的効果に、「ハロー効果」と呼ばれる認知バイアスの一種があります。

これは、ひとつの特徴につられて、他の特徴も似た傾向に評価されやすいというもの。何かに対して肯定的な評価を与えていると、それ以外もよく見えてくるんです。

例えば「仕事ができる人」と思っていると、身のこなしや見た目もよく思えて、ひとつミスをしても「運が悪かったんだな」として済ませてしまいます。

反対に、ひとつでも悪いところが目につくと、そのほかの部分も否定的に捉えてしまうのが「ホーンズ効果」。「ダメなヤツ」とみなした人は身なりや素行も悪く感じ、ミスをすれば「やっぱりな」という評価を下します。

人間関係が最悪という場合、この「ホーンズ効果」に陥っている可能性があります。ここは、いいところを次々と見つける「ハロー効果」へと大きく転換しましょう。

優秀な人ほど、人間関係は積極的

カーネギーメロン大学のロバート・ケリーという方が、トップクラスのエリートたちが集うアメリカのベル研究所を調査したことがありました。

その研究所内でも、さらに花形といわれるスターパフォーマーたちの傾向を探ったところ、他の研究員との違いは「人間関係に積極的」だけだったことを明らかにしました。

彼らは、困ったことがあればすぐに仲間に助けを求めたそうです。そうすることで問題解決への近道を見つけられますし、話し合いの中で新たな発見も生まれます。もちろん、彼らに良好な人間関係を築く能力があったからでもあります。

まず自分の視点を変えてみよう

楽しく仕事するためには、人間関係は無視できません。

さらにそれをよくするためには、相手のよいところを探すだけ!それだけでいいとあれば、早速やってみない手はないですよね。

まずは相手に対する見方を思いっきり切り替えてみましょう!

(取材・文/横山博之)

参考文献

Kelly, R., & Caplan, J. 1993 How Bell Labs creates star performers. Harvard Business Review ,71, 128-139.

監修者プロフィール

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。

著者プロフィール

■横山博之(よこやま・ひろゆき)
『monoMAX』、『東洋経済』などの雑誌やWeb、書籍など幅広いフィールドで活躍するフリーライター。多くの著名人のインタビューを手掛けてきた経験から、内藤先生とタッグを組み、先生の書籍を執筆をした経験も。時計やカバン、文具といった男性たちがこよなく愛するガジェットにも造詣が深い。

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