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2018.05.20

ムカつく!仕事での怒りをスッキリと鎮める方法とは?【働く人のポジトレ#8】

KenCoM公式ライター:横山博之

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働く社会人たちの強い味方!数々の心理テクニックを熟知する心理学者の内藤誼人先生が、ストレスにさらされている人たちの悩みを解決に導く本連載『働く人のポジティブメンタルトレーニング』、略して「ポジトレ」。

今週は「部下や同僚、仕事先への怒りとどう向き合うべきか」。早速お悩みを紹介していきます。

今週のお悩みはコレ!

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■お悩み
「何度注意してもいつもミスを繰り返す部下(同僚)。怒りの感情が湧いてきて、仕事が手につかなくなりそうです」

内藤先生:「ミスする可能性が高いと、予期すべし!」

仕事でも普段の生活でも、怒りの感情は、生まれてしまうものです。怒りを鎮めたくても、うまくいかずにイライラが募りますよね。では、どう向き合うべきか。

心理学ではこれを「アンガーマネジメント(怒りの管理)」と言います。聞いたことはあります?最近、非常に注目されているんですよ。

今回、その効果的な方法としてお教えしたいテクニックが「ストレス予期」です。

予想外な出来事に人は怒りを感じる

そもそも怒りはどんなときに生じるのか?というとですね、理不尽なことや、不当なこと、裏切り行為などが起きたときなんです。これらに共通しているのは、“予期していなかった”ということ!

予想外の出来事に人間はストレスを感じ、それが怒りとなって現れるわけです。逆に言えば、あらかじめ予期していた範囲内であれば、怒りの感情はわきにくい。

「あいつは遅れる」と予期していれば、「ほーら、やっぱり」となって、腹は立たないものなんですよ。コレ、本当ですから。

もちろん、部下(同僚)の失敗癖を根本から解決するには別の方法が必要ですが、「ストレス予期」を身につければ、少なくともあなたが怒りで心理的ダメージを負う事態を防ぐことはできます。

あらかじめ予期していればイラつかない

アメリカ・デューク大学のアンドリュー・カートンという方が、ストレス予期の実験を行っています。

70名の大学生を2班に分け、文章の校正作業をさせました。ひとつの班では、係員が「進んでますか?」「間違いないですか?」と、突然声をかけます。もうひとつの班でも同じように声をかけるのですが、開始前に「作業中に邪魔が入ります」とあらかじめ伝えておきます。結果、妨害を予期させていた班のほうが集中力が乱されず、作業を進められたのです。

ローマ帝国の礎を築いた五賢帝の一人、マルクス・アウレリウス・アントニヌス帝が書いた「自省録」の中にも、「人間は嫌な奴ばっかだと思ってたほうがいい、そのほうが腹が立たないから」といった内容が書いてあります。ストレス予期のアンガーマネジメントは、偉大なる賢人も備えていたのです。

昔から人間って、変わらないんですね。

予期することは広い心を持つことでもある

「またミスしちゃうんでしょ?」と思っていれば、部下がミスしても怒りに駆られない。「今日中に資料が上がってこないだろうな」と予期していれば、そうなっても明日まで待てる。「飛び込みで入った飲食店なんだから」と思えば、メシが不味くてもガッカリしない。

広い心を持って、困難を待ち受ける覚悟をしておくこと。それが、怒りをマネジメントする重要な心構えだと教えてもらいました。

仕事のパフォーマンスを落とさないためにも、身につけておきたいテクニックですよね!ぜひお試しください。

(取材・文/横山博之)

【働く人のポジトレ】過去の記事はこちら!

参考文献

Carton, A. M., & Aiello, J. R. 2009 Control and anticipation of social interruptions: Reduced stress and improved task performance. Journal of Applied Social Psychology ,39, 169-185.

監修者プロフィール

■内藤誼人(ないとう・よしひと)先生
心理学者。立正大学講師。慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。心理学者として執筆や、メディア出演、企業講演などで活躍中。執筆した著書には『すごい!モテ方』(廣済堂出版)『ビビらない技法 やさしいあなたが打たれ強くなる心理術』(大和書房)など多数。歯に衣着せぬ巧みなトークで周囲を明るくしてくれる。

著者プロフィール

■横山博之(よこやま・ひろゆき)
『monoMAX』、『東洋経済』などの雑誌やWeb、書籍など幅広いフィールドで活躍するフリーライター。多くの著名人のインタビューを手掛けてきた経験から、内藤先生とタッグを組み、先生の書籍を執筆をした経験も。時計やカバン、文具といった男性たちがこよなく愛するガジェットにも造詣が深い。

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