2022.10.13
若くても要注意!多量の飲酒習慣と心房細動リスクの関係【kencom監修医・最新研究レビュー】
飲酒習慣が数多くの病気のリスクを増加させることは周知の事実。もし、「まだ若いから」と、年齢を理由に飲酒の影響を軽視しているなら要注意です。
今回ご紹介するのは、JAMA Network Open誌に2022年9月2日ウェブ掲載された、アルコールの摂取と心房細動リスクとの関連についての論文です。
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若くても発症する心房細動
心房細動は年齢に伴って発症する不整脈の代表ですが、頻度は少ないものの20代や30代の若者にも発症しています。
その場合長期に渡る不整脈の持続は、心不全や脳梗塞などのリスクを高めるという点で、無視できるものではありません。
カテーテル治療などの方法はありますが、再発のリスクも高いことが課題として残っています。
それでは、若年性の心房細動は、どのような理由で起こるのでしょうか?
これについてはあまり明確なことが分かっていません。
飲酒は高齢者においては、心房細動のリスクになることが分かっていますが、若い年齢層においても同じことが言えるかどうかは、データが乏しいのが実際なのです。
若年層の飲酒と心房細動の発症リスクの関係を調査
そこで今回の研究では韓国において、登録時点で20から39歳の一般住民1537836名を、中間値で6.13年の経過観察を行っています。
その結果観察期間中に3066名の心房細動が新たに診断され、1週間にアルコールを210グラム以上摂取する習慣のある人は、アルコールを飲まない人と比較して、心房細動の発症リスクが47%(95%CI:1.18から1.83)4年以上の期間において有意に増加していました。
この1週間に210グラムというのは、1日に馴らすと日本酒1合半くらいの分量ですから、当てはまる方は結構多いのではないかと思います。
少量の飲酒でも不整脈リスクが増えるかも
1日20グラムを超えるようなアルコールの摂取の習慣化は、多くの病気のリスクを増加させることが報告されていますが、今後は不整脈のリスクについても、同様に考えることが必要となるのかも知れません。
▼参考文献
<著者/監修医プロフィール>
■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36