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2017.12.22

飲んだ翌日の辛さを何とかしたい!栄養士に聞く、二日酔い予防のコツ【男の和ごはん・番外編】

KenCoM編集部

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12月~1月にかけて忘年会や新年会と、お酒を楽しむ機会も増えるのではないでしょうか?
飲みすぎてはいけないと分かっていながら、場の雰囲気で飲むスイッチが入ったりしますよね。
とはいえ、楽しい一夜を過ごした後の二日酔いで、翌日を棒に振るなんてことは、なんとしても避けたいものです。

そこで、今回はKenCoMで健康的な和ごはんを提案している、管理栄養士の圓尾和紀(まるお・かずき)さんから、お酒の分解を助けるおつまみや食材を聞いてみました。

とはいえ、「おお、これでいくらでも酒が飲める」「いっぱい食べれば二日酔いを予防できる」という、魔法の食べ物ではないのでご注意ください!

栄養士に聞いた、お酒を飲むときに食べたいものとは?

お酒を飲むときの定番が、揚げ物や炒め物といった油分の多いメニューになっていませんか?
美味しいからといって、がつがつと食べると肥満のもとになります。

「油分は肝臓で代謝されるため、量が多くなるほどアルコールの代謝を妨げてしまいます。とはいえ、全く食べないというのもよくありません。油がアルコールの吸収速度を抑える働きもあるため、標準的な1人前であれば食べても問題ないと考えられます」(圓尾さん)

食べ過ぎに注意したほうがよさそうですね。
それでは、どのようなおつまみを食べるのが理想的なのか?をご紹介していきます。

その1:枝豆や豆腐などの定番・大豆食品

まずは定番メニューの枝豆や冷奴です。こうした大豆食品には、肝臓の働きを助ける栄養素が多く含まれているようです。

「大豆食品にはたんぱく質やメチオニンという、肝臓の働きを助ける栄養素が含まれています。お酒を飲む前、飲み始め頃に食べておくといいでしょう。枝豆の塩分が気になる方は、しょうゆで調節ができる冷奴にすると減塩にもなりますよ。おつまみとしては難しいですが、お酒を飲んだ翌朝に納豆を食べるのもいいですね」(圓尾さん)

枝豆や冷奴をお通しで見かけるのは、理にかなっていそうですね。

その2:たこやいか、あさりなどの海の幸

次に挙げられるのが、たこやいか、あさりといった海の幸です。

「これらの魚介類には、肝臓の働きを助けるタウリンが豊富に含まれています。たこやいかは刺身、あさりは油を使わない酒蒸しなどがオススメですよ。塩辛や揚げ物などの塩っ辛いものは、喉が渇いてお酒が進んでしまいがち。また、食べすぎると消化不良を起こしたりするので、節度ある量で味わってください」(圓尾さん)

その3:料理のアクセントになる風味豊かな”ごま”

栄養を語る上で欠かせない”ごま”は、お酒で疲れた身体とも相性がよさそうです。

「ごまには肝機能の改善が期待できる、セサミンが含まれています。ごま和えやごま豆腐などの小鉢、味のつけ足しなど手軽に楽しめるのがいいですね」(圓尾さん)

ごまは大きく3種類。定番の黒ごまをはじめ、油分が多くごま油の原料によく使われる白ごま、香りが強く和え物などによく使われる金ごま(茶ごまともいう)があります。お好みで使い分けてみては。

その4:秋~冬に美味しい柿

「二日酔いを予防する食べ物であれば、柿もいいですね。タンニンという、アセトアルデヒドの分解を促進するとされる栄養素が含まれています。飲みの席に行く前に食べておくと、次の日のだるさが少し楽になるかもしれませんよ」(圓尾さん)

昔から身近にある秋~冬にかけての食材に、二日酔い予防を期待できるとは驚き。「柿が赤くなれば、医者が青くなる」なんてことわざがありましたが、旬の味覚で健康な身体づくりができたらいいですね。

その5:和らぎ水を賢く飲む

和らぎ水なんて優しい響きですが、お酒と一緒に飲むための水(チェイサー)のことです。日本酒を嗜む方はご存知かもしれません。

「お酒の席では必ず飲むようにしましょう。アルコールを摂取すると脱水になりがちなので、お酒を飲みながらでも合間で水を挟んでください。脱水のまま寝てしまうと、二日酔いになりやすくなるといわれています。宴の最中は難しくても、帰り道で水を1本飲むだけでアルコールの分解を助けることになります」(圓尾さん)

なるほど。酔った身体を水で和らげるのは、すぐに実践できるはず。
続いてお聞きしたのは、飲んだ後に〆で食べるラーメンやご飯についてです。

飲んだ後にくる炭水化物への欲求

圓尾さんから返ってきたのは予想通りの答えです。様々な理由がありますが、次のように教えてくれました。

「お酒を飲んだ後の深夜帯に、ラーメンやお茶漬けを食べるのは控えるべきですね。家に帰れば寝るだけのはずなので、お酒の席で十分に食べた上に、そんな大量なエネルギーを摂取すれば肥満の原因になります。お腹が空くのは、体内でアルコールを分解するのを優先してエネルギーを使っているからです。どうしても空腹に耐え切れないというときは、味噌汁や野菜スープといったもので凌ぐことをオススメします」(圓尾さん)

〆のラーメンが常習化していて、ドキっとした方もいるのではないでしょうか。確かに寒い日は帰る前に〆の一杯、なんて魅力的かもしれませんが、誘惑を振り切って家路につくようにしたいものです。

悲しくも二日酔いになったら何を食べたらいい?

どんなに気をつけても『二日酔いだ・・・』となる人もいるはず。そんな時にオススメの食事を教えてもらいました。

「朝起きて頭痛がするようでしたら、まず水を飲みましょう。なんだか胃が疲れていると感じたら、肉や脂物は控えて消化にいいうどんや果物で、最低限のエネルギー補給が大切です。また、意外に思われるかもしれませんが、米麹を使った甘酒は非常に栄養価が高く、二日酔いで何も食べられないときに良いですよ」(圓尾さん)

二日酔い知らずの道は自分次第

いかがでしたか?アルコールの分解を助けてくれる食べ物(栄養素)の例を紹介しました。中には、「そうだったのか」と思うようなものがあったかもしれません。

『いつも揚げ物や肉ばかり食べてる』という人は、おつまみを一品変えてみることから始めてみましょう。お酒でくたびれた身体を労わってあげれば、次の日に辛い思いをしなくて済むかもしれません。
お酒はほどほどに、楽しい席にしてくださいね。

(取材・文 KenCoM編集部)

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圓尾和紀(まるお・かずき)

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“日本人の身体に合った食事を提案する”フリーランスの管理栄養士。日本の伝統食の良さを現代の生活に活かす「和ごはん」の考え方を伝えている。『一日の終わりに地味だけど「ほっとする」食べ方』がワニブックスより発売中。