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2015.09.08

【臨床心理士コラム】もうお酒で失敗しない! ストレスを解消する上手なお酒の飲み方とは?

臨床心理士 坂井一史

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こんにちは。臨床心理士の坂井一史です。
普段から企業内にあるカウンセリングセンターで、従業員の皆さんのパフォーマンスの向上や心身の健康のための支援に取り組んでいます。

一日働いたあとのビールは格別ですよね!私も大好きです。
しかしお酒で失敗した経験がある人もいるのではないでしょうか?つい騒ぎすぎてしまったり、怒りっぽくなったり、気が大きくなってできない約束をしてしまっていたり、記憶をなくしたり…。
今回はそんな「お酒とこころ」の関係を知り、飲んでも呑まれないお酒の楽しみ方をご説明します。

楽しくお酒を飲める適量は?

お酒を飲みすぎると気持ち悪くなるだけではなく、イライラしたり、悲しくなったり、憂鬱になったりと、気分的にも楽しくなくなってしまいます。さらに酔った勢いで失敗して、後で後悔ということも。そうならないためのお酒の適量はどれくらいでしょうか?

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仕事終わりの一杯や、愚痴りたい時の一杯でさえ、嫌な気持ちをあとに残さないためには多くともビール中瓶2本程度(5 %のビールで1リットル)に止めておくのが、大人のお酒の嗜み方と言えますね!

俺は強いからビール10本でも平気だ!

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確かにお酒の強さは体質によっても違います。すぐに酔ってしまう人もいれば、少しくらいでは酔わないと感じる人もいるので、自分の身体にあったお酒の量を飲むようにしていただければと思います。

しかし「俺は強いから、いくら飲んでも大丈夫だ」という人は、「そこまでたくさん飲む必要があるのか?」「一緒に飲んでいる周囲の人は楽しめているか?」について振り返り、自分と相手の翌日のことも冷静に考えて、適量にとどめるようにしてください。
お酒を飲んでいるから「冷静には考えられない」と思うのであれば、それは酔いが回り始めているサインです。名残惜しいくらいにしてそろそろおしまいにしておくと、楽しいお酒で終われます。

今日はやけ酒だ! ―ちょっと待って!心理状態がアルコールの作用に影響する―

アルコールの作用は、お酒を飲むときの心理状態によっても影響を受けているのです。注意したいアルコールと心理状態の関係を見てみましょう。

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Case Study:『嫌なことから逃避したい』心理状態の時

「会社で嫌なことがあった」「失恋の寂しさを紛らわしたい」そんな時に『つまらない』お酒で気分を紛らわすのは要注意です!
アルコールは脳を麻痺させる薬物ですので、飲みすぎるとこころのエネルギー全体が抑制され、感情をコントロールする力を失い、ネガティブな思考を加速させてしまいます。一人でお酒を飲んでいる場合は特に深酒をしやすくなり、誰も止めてくれないですし、冷静さを取り戻すようなことも言ってくれないので、より悪影響が生じやすくなります。

でもストレス解消のためにお酒はやめられないんだ!

そうですよね。ストレス解消になるというのが、お酒のいいところでもあります。しかしそれは正しい方法でお酒を飲んだ場合に得られる効果です。

ではストレス解消のための正しいお酒の飲み方とは何でしょう?

◎正しいお酒の飲み方

●家族や友人・同僚など、気の置けない人に話を聞いてもらいながら飲むべし!
●食事と一緒に飲むべし!
 └食事のお供としてお酒を飲むと、食べている分そんなに多くは飲めませんし、時間も食事の範囲で終えることができます。また胃を保護してくれたりアルコールの吸収を遅らせたりする効果も期待できます。
●お酒は話を打ち明けやすくする手助け程度に考え、適量に抑えるべし!

×避けるべきお酒の飲み方

●一人でやけ酒はダメ!
●大量に飲んではダメ!
└量を飲めばストレスが解消されるわけではありません。

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お酒にはコミュニケーションを潤滑にしたり場を楽しくしたりする効果の一方で、飲み方を間違えるとアルコール依存症や肝疾患などの深刻な病気になるリスクがあります。一度病気になってしまうと、治療のために大好きなお酒を一切絶たなくてはなりません。そうなる前に、自分の体質や日々の体調・心理状態とよく相談して、適量を守った大人の楽しみ方を心がけたいですね。

<参考資料>
・公益社団法人アルコール健康医学協会 http://www.arukenkyo.or.jp/index.html
・世良守行・米沢宏(2002) 『アルコール依存症の治療と回復―慈友クリニックの実践―』 新貝憲利監修,東峰書房
・松本俊彦・今村扶美・小林桜児(2011) 『薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック』 金剛出版

<筆者プロフィール>

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坂井一史 (さかいひとし)

住友商事グループSCGカウンセリングセンター センター長付
資格:臨床心理士、2級キャリア・コンサルティング技能士、シニア産業カウンセラー

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