2022.08.05
ビーフジャーキーとさきいか、鉄分が多いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.63】
暑い夏は、キンキンに冷えたお酒がおいしく感じる季節。そこに合わせるおつまみは、できればスナック菓子より、高たんぱく低脂肪なおつまみをチョイスできるといいですね。
今回は、噛むほどに味わい深い乾きものおつまみの代表、「ビーフジャーキー」と「さきいか」の栄養を比べてみましょう。
ビーフジャーキーとさきいか、鉄分が多いのはどっち?
正解は、ビーフジャーキー
お酒のおつまみにぴったりな乾きもの。中でも、よく噛むことによって旨味を感じられるのが、ビーフジャーキーとさきいかです。
ビーフジャーキーのたんぱく質は47.5gで脂質は5.8g、さきいかのたんぱく質は45.5gで脂質は0.8gと、どちらも高たんぱく低脂質という特徴があります(※)。
特にビーフジャーキーは、牛肉から作られているため「鉄分」が豊富。さきいかの鉄分量は1.6mgのところ、ビーフジャーキーには6.4mgも含まれています。ビーフジャーキーはドライフードということもあり一概には比べられませんが、この鉄分の量は牛肉のレバーよりも多い量です(※)。
(※栄養素の数値は100g中の値)
また鉄分というと、月経のある女性に大切な栄養素だというイメージがあるかもしれませんが、男女ともに鉄分は、エネルギーを作り出すために欠かせない栄養素です。
鉄分の70%は血液中に存在し、体の隅々まで酸素を運ぶことで、エネルギーが作られています。また筋肉の収縮や神経伝達、コラーゲンの合成などにも関わるため、女性だけでなく男性にとっても日々の元気のために大切な成分になります。
さきいかには貧血治療で発見されたビタミンが多い
一方のさきいかには、鉄分を体中に運ぶ赤血球の生成にかかわる「ビタミンB12」が豊富に含まれます。ビタミンB12は、貧血の治療で発見されたビタミン。つまり、鉄分の多いビーフジャーキーとさきいかの組み合わせは、栄養面で相性が良いといえるのです。
また、ビタミンB12が不足してしまうことはまれですが、動物性の食品に含まれていることが多いため、肉や魚を食べない人は注意が必要です。ビタミンB12は神経系を正常に働かせる作用があるため、欠乏すると不眠や食欲不振、神経障害などの症状が出ることがあります。
「よく噛む」ことで健康キープ!
ビーフジャーキーもさきいかも、食べるときに共通しているのが、よく噛む必要があること。
現代の食生活は軟らかい食べ物が多く、咀嚼回数が減っている傾向がありますが、この噛むことは、健康をキープする上で非常にメリットがあります。
噛むことのメリットは以下の通りです。
・味覚の発達を促す
・脳の働きを活発にする
・歯の病気を防ぐ、口臭を少なくする
・胃腸の働きを促進する
・ストレスの解消
・がんを防ぐ
・肥満を防ぎ、生活習慣病を予防する
・はっきりとした発音ができ、表情も豊かになる
ただし、ビーフジャーキーもさきいかも塩分が多い食品です。100g中ビーフジャーキーは4.8g、さきいかは6.9gの塩分を含みますので、食べ過ぎには注意しましょう。
▼参考文献
旬の野菜の栄養事典(女子栄養大学名誉教授 吉田企世子監修/X-Knowledge)
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。