2022.07.01
餃子とハンバーグ、新陳代謝を促す成分が多いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.61】
「好きな料理は何ですか?」という質問をされたら、「餃子」や「ハンバーグ」と答える方も多いのではないかと思います。
もはや国民食といっても過言ではないほどの人気メニューは、ただおいしいだけではありません。今回はこの2つのメニューの栄養面について比べてみましょう。
餃子とハンバーグ、新陳代謝を促す成分が多いのはどっち?
正解は、ハンバーグ
ハンバーグや餃子は、脂(油)を多く摂ってしまうイメージがあるかもしれません。
実際、これらの脂質の割合は、カロリーに対して半分ほど。食べ過ぎや付け合わせには気を付けたいのですが、牛肉や豚肉には「亜鉛」というミネラルが比較的多く含まれています。
この亜鉛の大切な働きは、新陳代謝を活発にすること。つまり古い細胞を分解し、新たな細胞の合成に関わります。例えば、亜鉛が不足すると、欠乏症の中でも早く表れるのが「味覚異常」です。これは舌の細胞が、1ヶ月ほどの短いサイクルで入れ替わっているからです。
この他にも、免疫力の向上やうつ状態の緩和にも効果があると考えられています。
ハンバーグ(合いびきハンバーグ)には、この亜鉛が100g中2.4mg、餃子は0.6gと、4倍も多くの亜鉛が含まれています。
豚肉よりも牛肉のほうが亜鉛の量が多く、また餃子には豚ひき肉の他に野菜が多く使われているため、これが亜鉛の数値に関係していると思われます。
もし牛ひき肉だけで作られたハンバーグであれば、より亜鉛が摂ることができます。
ハンバーグの玉ねぎは炒める?炒めない?
ご自宅でハンバーグを作るとき、みじん切りにした玉ねぎは炒めますか?生で使いますか?
玉ねぎを炒めると甘みが出て水分が飛ぶため、ひき肉と馴染みやすくなり、焼いている間にハンバーグが割れるのを防げるという役割もあります。
一方、生の玉ねぎを使うと、さっぱりとした味わいになります。ただし、焼いている間に玉ねぎの水分が出てきてしまいます。その対策として、パン粉は牛乳に浸さず使うとよいでしょう。
餃子は疲労回復メニュー!
一方の餃子は、亜鉛の摂取はあまり期待できませんが、餃子に使われる野菜といえば「ニラ」が定番ですよね。実は豚肉とニラの組み合わせは、疲労回復やスタミナ強化に役立ちます。
豚肉の栄養の特長は、「ビタミンB1」が多いことですが、これは豚ひき肉でも同様です。また、ニラの独特な臭いの成分である「アリシン」は、炭水化物をエネルギーに変えるのを助けるビタミンB1の吸収をアップする働きがあります。
つまり餃子の豚肉とニラの組み合わせは、豚肉のビタミンB1の吸収をニラのアリシンが高めるため、疲労回復やスタミナ強化に役立つのです。
餃子作りでタネだけ残った時はコレ!
餃子作りの際に、タネだけ残ってしまった経験はないでしょうか。そんな時におすすめなのが「餃子ハンバーグ」。
餃子のタネをハンバーグ型に成形し、焼いて醤油や酢、ラー油で食べるという一品。タネが余ってしまったときや皮で包むのが面倒な時に簡単に食べられる方法です。
いかがでしたか?梅雨時期の健康維持にハンバーグを、疲れた時には餃子を食べるということも良いかもしれません。ハンバーグや餃子を食べるときは、おいしさだけでなく栄養にも少し目を向けてみてはいかがでしょうか?
▼参考文献
おいしさの科学(女子栄養大学名誉教授 松本仲子/幻冬舎)
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。