メニュー

2021.07.15

ファイザー社ワクチン1回接種後の予防効果はどれくらい?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

記事画像

大規模接種や職域接種が進み、新型コロナのワクチンを打った方も増えてきました。このワクチン、1回接種しただけの状態だとどれくらいの感染予防効果があるのでしょうか?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、JAMA Network Open誌に、2021年6月7日ウェブ掲載された、新型コロナウイルスワクチン1回目接種後早期の、ワクチンの有効性についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

ファイザー社ワクチン接種後、効果があるのはいつから?

新型コロナウイルスワクチンの接種が、国内においても進行していますが、必ず聞かれる質問の1つが、1回目を打ってからどのくらいの期間が経てばその効果が現れるのか、ということです。

今回のデータは、ワクチン接種が先行して進められているイスラエルのもので、ファイザー社のワクチンを接種した16歳以上の503875名の、初回接種から13~24日の時点までのワクチンの有効率を算出したものです。

その結果13~24日での有症状感染予防効果は、51.4%(95%CI:16.3から71.8)と計算され、予防効果が有意であるのは18日以降でした。この1回接種後の有効率は、年齢による明確な差はなく、男女差も認められませんでした。

有症状感染予防効果は約50%

このようにファイザー・ビオンテック社の新型コロナワクチンの、1回接種後の有症状感染予防効果は、接種後18日以降で明確に認められ、概ね50%程度と推定されました。

ざっくりな言い方になりますが、ファイザー社のワクチンに関しては、1回目の接種後18日以上経過すれば、2回目の接種前でも、インフルエンザワクチンに匹敵する程度の有症状感染予防効果はあると考えて良いようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。2021年には北品川藤サテライトクリニックを開院。著書多数。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36