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2020.07.15

「マスクで肌が荒れる」悩みを解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式ライター:森下千佳

気温も湿度も上がるこの季節、マスクの中は高温多湿の熱帯雨林状態。感染症対策をしっかりしながらも、マスクによる肌荒れを防ぎたいですよね。両立するにはどうしたら良いのでしょうか?
「マスク肌荒れ」にまつわる疑問を、国立国際医療研究センター病院皮膚科診療科長・皮膚科医長 玉木毅先生に伺いました。

「マスク肌荒れ」にまつわる4つの悩みQ&A

Q.アトピー持ちです。マスクをするようになってから、アトピーが悪化しました。改善するためには、何か良い対処法はありませんか?

A.アトピーの方は様々な刺激に弱いので、マスクが刺激になって悪化することは考えられます。なるべく人混みを避け、マスクを外す時間を増やして皮膚を休ませる時間を取ることが大切です。特に不織布マスクは、吐いた息が水蒸気となりマスク内に充満するため蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすくなります。雑菌の繁殖を防ぐためにも、マスクを外して定期的に休ませるか、こまめに新しいものと交換すると良いでしょう。

また、普段から顔にアトピーの湿疹が出やすい人であれば、この時期は特に気をつけてこまめに薬を塗ることが大切です。

Q.子供が「マスクをすると、口の周りや鼻が痒い」と訴えて着けてくれません。どうしたら良いのでしょうか?

A.マスクとの摩擦で顔が痒くなってしまうようであれば、肌の表面を保護する役割がある白色ワセリンなどを顔に薄く塗ってあげると、かゆみが緩和することがあります。また、皮膚自体が乾燥していると、バリア機能が崩れ刺激に弱くなってしまうので、普段から保湿をしっかりとしてあげましょう。

特にこれからの時期は、マスクの中は高温多湿になります。マスクを着けっぱなしにすると、肌が蒸れてしまい痒みの原因にもなるだけでなく、熱中症のリスクも上がります。人混みなどの「密」な環境以外では、なるべくマスクを外してあげることも大切です。

Q.マスクにより肌が荒れています。暑くなり蒸れるし汗もかくので、定期的に抗菌シートでふき取っています。これは良いことですか?

A.汗は放置すると肌の刺激になるので、拭き取ること自体は良いことです。しかし、抗菌シートなどの刺激が強いもので毎回拭き取ってしまうと、逆に肌の刺激になって症状を悪化させてしまう可能性があります。できれば、ハンドタオルなどを湿らせてこまめにふき取りましょう。拭き取る時は、決して強く擦らず、汗だけを優しく押さえるように拭き取ることが大切です。

Q.マスクの肌荒れ防止には、ワセリンを塗っておくと良いと聞きました。本当ですか? 逆にニキビができたりしませんか?

A.マスクが当たって擦れるような、頬や鼻、顎などにワセリンを薄く塗っておくのは効果的だと思います。ワセリンは肌内部へ浸透する働きはありませんが、油の膜で肌の表面を保護する作用があります。そのため、外側からの刺激を防ぐとともに、水分を皮膚の内部にとどめることで、うるおいを保つことができます。

しかし、厚塗りをするのは逆効果。毛穴をふさいだり、ニキビが出来てしまったりする可能性があります。ベタベタしない程度に、薄く塗るようにしましょう。
ワセリンでも刺激になってしまう敏感な方は、ワセリンからさらに不純物を除いた“プロペト”などを、皮膚科で処方してもらうと良いと思います。

玉木 毅(たまき・たけし)先生

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国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 皮膚科診療科長・皮膚科医長
1987年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部皮膚科教室入局。米国サウスカロライナ州立医科大学研究員、東京大学医学部附属病院皮膚科医局長、同分院皮膚科講師などを経て現職。医学博士、日本皮膚科学会東京支部運営委員、東京都皮膚科医会副会長、東京大学非常勤講師。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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