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2022.11.11

ニキビ肌におすすめの洗顔法とは?洗う回数やおすすめの洗顔料まで皮膚科専門医が徹底解説!

Lumedia

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まとめ

●1日2回、ぬるま湯で指先のみを使って優しく洗いましょう。
●衝撃!「洗顔料でニキビが良くなる」とは確認されていない。
●使用するなら「低刺激でノンコメドジェニックテスト済の洗顔料」が良さそう。

ニキビに悩む患者さんからよく受ける質問の一つに、洗顔に関するものがあります。顔を洗うときに気をつけることや、おすすめの洗顔料などについて、こだわりがある読者の方もいらっしゃることでしょう。薬局などに足を運ぶと、「ニキビ肌におすすめ」との宣伝が目立つ洗顔料も売られていますよね。

今回は、皮膚科専門医の観点からニキビの方はどう顔を洗うべきなのかを解説します。

この記事を書いた医師

やさひふ(Yasahifu)
医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia 編集長。怪しい医療情報に惑わされる患者さんを多く見た経験から Lumedia の立ち上げを決意。 皆さんのすこやかなお肌を守るため、Twitter で科学的根拠に基づいたスキンケア情報発信中。

【目次】
1.科学的に正しい洗顔①:洗う回数
 1.1.「洗顔回数とニキビの関係」を調べた研究が存在する
 1.2.結果は「4回も洗わなくていい」
2.科学的に正しい洗顔②:洗顔料の使い方・選び方
3.アメリカ皮膚科学会推奨の洗顔法とは?
 3.1.アメリカ皮膚科学会方式の洗顔方法

科学的に正しい洗顔①:洗う回数

「洗顔回数とニキビの関係」を調べた研究が存在する

日本皮膚科学会が発行しているニキビのための治療ガイドラインは、「1日2回の洗顔が良さそう」と提案しています (参考文献 1)。この根拠とされているのが、軽度から中等度のニキビをもつ18歳から54歳 (中央値19歳) の男性34名を対象としたアメリカの研究です (参考文献 2) 。この研究では、患者さんを以下の3つのグループにランダムに分けて6週間の観察が行われました。

●1日1回のみ洗顔するグループ
●1日2回洗顔するグループ
●1日4回洗顔するグループ

結果は「4回も洗わなくていい」

その研究の結果、1日1回しか洗顔しないグループでは、赤ニキビの数が平均で9個から13個に増えてしまいました。ニキビが悪化してしまったわけですね。
一方、1日2回の洗顔を行ったグループと1日4回の洗顔を行ったグループでは、いずれもニキビの悪化はみられませんでした。そして、洗顔回数を1日4回に増やしたグループでも、1日2回洗顔のグループよりニキビが大きく減ることはありませんでした。

つまり、1日1回の洗顔だけではニキビが増えてしまうが、2回以上であればニキビの増殖を抑えることができる、ただ、たくさん洗うほどニキビが減るというわけでもない、という結論が得られました。

どうやらニキビの治療という意味では洗顔の回数を2回よりも増やすメリットははっきりとしないようですね。

同様に、アメリカ皮膚科学会も「過剰な洗顔は肌を刺激するため、皮膚によくない影響を及ぼす可能性がある」と警告しています (参考文献 3) 。
洗顔については、基本は起床時と就寝前の1日2回で良く、あとは運動後など汗をかいたときのみ追加すれば大丈夫、と思っておくのがよいでしょう。

科学的に正しい洗顔②:洗顔料の使い方・選び方

先ほどの研究では、参加者は皆同じ洗顔料を使用したのですが、この研究では「使用した洗顔料の量」はニキビを改善に影響を及ぼさなさそうであると報告されています。実は、そもそも「ニキビ肌の改善に洗顔料は有効か?」ということすら現時点でははっきりしていません。というのも、過去にニキビへの有効性をしっかり示せた洗顔料は存在しないのです (参考文献 4) 。

特に、テレビ CM などでも盛んに取り上げられている「スクラブ洗顔剤」については、8週間使用し続けても、スクラブなしの洗顔剤と特に効果は変わらなかったと 報告されており(参考文献 5) 、現時点でスクラブ洗顔を積極的に使うメリットはなさそうです。アメリカ皮膚科学会もスクラブは肌を刺激するから使うべきではないと警鐘を鳴らしています (参考文献 3)。

代わりに日米の皮膚科学会が推奨しているのは「ノンコメドジェニックテスト済」と表示されている洗顔料です (参考文献 1, 3) 。以前に「ニキビにオススメの化粧水/乳液/美容液ってあるの?皮膚科専門医が選び方を解説」という記事で説明したように、ノンコメドジェニックテスト済のスキンケア製品は使用してもニキビを増やさず、悪化もさせないことが確認されています。洗顔料を選ぶ際にも、この表示がある製品の中から選ぶのが安心です!

アメリカ皮膚科学会推奨の洗顔法とは?

最後に、アメリカ皮膚科学会が推奨する洗顔方法をご紹介します(参考文献 3, 6-8)。実際には、ニキビと洗顔の関係に関する研究はまだまだ不十分と言えます。また肌質には個人差もあるので「これが全員にオススメの世界最強洗顔法だ!」と断言できるほどのものはありません。しかし、なるべく多くの方に当てはまるであろうアメリカ皮膚科学会式洗顔法を参考にして、ご自分に合ったスタイルを見つけていただければと思います。

アメリカ皮膚科学会方式の洗顔方法

① 低刺激&ノンコメドジェニックテスト済の洗顔料を用意する。
※ スクラブ入りやアルコール入りの洗顔料は NG

② ぬるま湯で顔を洗い、洗顔料は指先でやさしく塗る。
※ スポンジなど肌を刺激するものは使わない。
※ ゴシゴシこすらない。

③ ぬるま湯で洗い流し、柔らかいタオルでポンポン叩くようにして水気を切る。

④ 肌の乾燥があれば、保湿剤を塗る。

このようにわかりやすく解説してくれている動画もありますので、是非参考にしてみてくださいね。

洗顔後の化粧水・美容液についてはこちらの記事で解説しています。

COI

本記事について、開示すべきCOIはありません。

COIの開示基準については、日本内科学会の『医学研究の利益相反(COI)に関する共通指針』に準じています。より詳細はこちらをご覧ください。

参考文献

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