メニュー

2020.01.01

レストランでのカロリー表示には食事の抑制効果がある?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

記事画像

最近は、外食のメニューにカロリーが表示されている店も多いですよね。
食べるものを選ぶ時、カロリー表示を参考にして決めていますか?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、2019年のBritish Medical Journal誌に掲載された、レストランのカロリー表示の効果を検証した論文です。

▼石原先生のブログはこちら

外食メニューのカロリー表示にカロリー制限効果がある?

世界的に肥満による健康リスクの増加が、大きな社会問題となっています。

その原因の1つと考えられているのが、ファストフードを含む外食の、カロリーが高く糖質を多く含む、口当たりが良く癖になりやすい食品の存在です。

こうした食品の摂取量を抑える目的で、国内外で導入されている方策の1つが、食品のカロリー表示の義務化です。

食品をレストランなどのメニューで選ぶ際に、そのカロリーが表示されていると、「こんなにあるのか、もう少し控えよう」という意識が働き、カロリーの少ない食品を選ぶ、という効果が期待されたのです。

しかし、このようなカロリー表示は、実際にどの程度のカロリー制限効果があるのでしょうか?

アメリカの104のレストランで消費者の動向を調査

一時的にカロリー制限効果はみられたが、効果は続かず

今回の検証はアメリカのもので、カロリー表示の導入前後で、104のフランチャイズのレストランにおける、消費者の動向を調査しています。

その結果、カロリー表示の導入後に、1つの注文当たり60キロカロリー程度の、軽度のカロリー制限効果が認められました。
しかし、その後1週間に0.71キロカロリーのペースで、カロリーはむしろ増加に転じ、1年を経過した時点ではカロリー表示のカロリー制限効果は、相殺されてしまっていました。

カロリー表示の制限効果は一時的なもの

このように、外食のカロリー表示の効果は、あっても一時的なもので、長期的なカロリー制限の維持には、実際には繋がっていないようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36