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2018.09.19

今の生活習慣は将来の病気リスクを下げるのか?【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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20代や30代は仕事や人間関係が充実し、忙しい時期。
多少の無理は若さで乗り越えられる…とはいうものの、やはり生活習慣の乱れは健康に影響するようです。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

本日ご紹介するのは、2018年のJAMA誌に掲載された、40歳以下という若い年齢における、心血管疾患に伴うリスクと、MRIで検出出来る脳の虚血性変化との関連についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

若い人も、生活改善で病気を予防できるか?

中年期における高血圧や脂質異常症などの、心血管疾患リスクが、その後の脳の虚血性変化や、老年期の認知症などの誘因になることは、ほぼ確立した事実です。

高精度のMRI検査などによる検証によれば、40歳以下のようなもっと若い年齢においても、脳血管の血流の低下や血管壁の性状変化、白質病変などの脳の虚血性変化は、画像上は認められると報告されています。

それではそうした若い年齢においても、生活改善による病変の予防は可能なのでしょうか?

若い頃からの正しい生活習慣が将来の健康につながる

今回の検証はイギリスにおいて、心血管疾患のない40歳以下の125名を対象として、高血圧や脂質異常症などの、生活改善により修正の可能な心血管疾患リスクと、高精度の脳MRIにおける白質病変などの微細な虚血性変化との、関連を検証しています。

その結果、この年齢においても、心血管疾患のリスクが高いほど、白質病変などの脳の変化は強くなっていました。

将来の脳卒中や認知症を予防するには、若い頃からの心血管疾患のリスク管理が、重要であるようです。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36