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2018.01.03

サウナ大国フィンランドに学ぶすごいサウナ!②肺炎予防効果【KenCoM監修医・最新研究レビュー】

KenCoM監修医:石原藤樹先生

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今回も先週に引き続き、サウナの健康効果を研究した論文をご紹介します。サウナの知られざる健康効果とは一体なんでしょうか?

当連載は、クリニックでの診療を行いながら、世界中の最先端の論文を研究し、さらにKenCoM監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「石原藤樹のブログ」より、KenCoM読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、今年のRespiratory Medicine誌に掲載された、サウナの習慣が肺炎のリスクに与える影響についての論文です。

▼石原先生のブログはこちら

▼前回ご紹介した記事はこちら

サウナ習慣は、肺炎のリスクを低下させる?

週4回以上のサウナ習慣で44%も肺炎リスクが低下

前回は2015年に発表された、サウナが心血管疾患と生命予後に与える影響についての論文を紹介しましたが、その姉妹編的性質のものです。

これは前回のものと同じフィンランドの疫学データを活用して、登録時の年齢が42から61歳の一般男性住民2210名を、中間値で25.6年という非常な長期間観察し、サウナの習慣と肺炎の発症との関連性を検証しています。

その結果、関連する因子を補正した結果として、サウナの習慣が週に1回以下の場合と比較して、週に2から3回では31 %(95%CI; 0.55から0.86)、週に4回以上では44%(95%Ci; 0.35から0.88)、それぞれ有意に肺炎のリスクが低下していました。

酸化ストレスが減り、肺機能が改善するのが要因か?

論文の考察においては、肺炎の発症にも関わる酸化ストレスが、サウナの習慣により減少することと、肺機能の改善効果も期待されることが、この肺炎リスクの低下の主な要因ではないかと分析しています。

このように肺炎のリスク低下においても、良い結果の出ているサウナですが、これは昨日のものと同じ、サウナの盛んなフィンランドの同一データの解析なので、その点は割り引いて考える必要はあると思います。

サウナの健康効果を日本でも

いずれにしても、サウナに心肺機能の増強作用や、リラクゼーションの効果のあることは事実で、その利用の健康面から見た適切な基準のようなものが、日本においても作成されることが必要ではないかと思います。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36