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2024.05.02

【産業医に聞く】連休明けの「5月病」に要注意! どんな症状がサイン? なりやすい人は?

マイナビニュース

今年のGWは新型コロナ感染症が5類に移行してから初ということもあり、レジャーやお出かけなどアクティブに過ごした方も多いのでは? しかし普段の生活リズムが崩れると、連休明けの不調につながる場合も。

そこで今回は、産業医の甲斐沼孟先生に「5月病」についてお聞きしました。しっかり休養をしつつ、連休明けに調子が出ない…ということを防止するために、どのような過ごし方が適切なのかをまとめていますので、参考にしてみてください。

画像はイメージ / PIXTA

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240502-2935368/

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■「5月病」とはどのような状態?

5月病とはよく知られた言葉ですが、正式な病名ではなく俗称であり、激しい入学試験をパスしてやっと大学に合格した新入生が、ゴールデンウィーク明け頃に無気力な状態になることから名づけられました。

学生や新入社員などが、入学や就職に伴って、学校や職場で新たな生活がスタートしますが、そうした新しい環境の変化についていけずに無気力になり、眠れなくなることがあります。

新しい環境が始まり約1ヵ月が過ぎる頃、身体のだるさ、疲れやすさ、意欲がわかない、物事を悲観的に考えてしまう、よく眠れない、食欲がないなどの心身の症状が現れる状態を「5月病」と呼んでいます。

新生活は、慣れないことも多く、知らず知らずのうちにストレスがたまり、気づかないうちに無理をしてしまうことも少なくありません。これらの5月病の症状を放置すれば、うつ病へ進行してしまう場合もありますので、注意が必要です。

■「5月病」になりやすい人の特徴は?

5月病になりやすい人の特徴として、自分を追い込んで、義務感や正義感が強く手を抜けない場合、完璧主義のためにミスや失敗を許せない、仕事熱心でプライベートを犠牲にすることに抵抗がないなどが挙げられます。

周囲を気遣うあまり、自分を雑に扱って、責任感が強く自分に無理を強いる人のほうが、ストレスを溜め込みやすく5月病になりやすいと言えるでしょう。

特に、几帳面でまじめであり、ほかの人に嫌と言えずに物事をなんでも引き受けてしまうといった性格の人の場合に、5月病が多いと言われています。

5月病は、周囲環境におけるストレスを代表とする外因的な要素、あるいはストレスに対する個々の対処力や本来の性格面などを含む内因的なファクターが相互的に複雑に組み合わさることによって発症します。

外因的な要素としては、家庭内状況や学校及び職場での環境変化、そして最も影響力が強いと言われている人間関係の悪化などが誘因となることが多いです。

内因的な要素に関連する事項としては、例えば元来持っている個々の性格や考え方によって様々なストレスに対処する耐性度や社会的な周囲のサポート状況の程度などが影響すると考えられます。

■「5月病」になるとどのような症状があらわれる?

5月病では、無気力になって、不安感が強くなることが多く、「今まで簡単にできていたことができなくなった」、「自分がこれまでに大好きだった趣味に興味が持てなくなった」、「常に漠然とした不安があり落ち着かない」などの症状が認められます。

また、メンタル不調にくわえて、胃痛や食欲不振、頭痛、めまい、不眠などが起こることもあります。

この病気になると、普段の生活の中で発生する日常的なストレスに対して上手に対処することが困難であるがゆえに、抑うつ状態や不安感などの精神的な症状を自覚し、日々の行動面に変化が現れることによって社会的な生活や営みに支障をきたします。

5月病における代表的な自覚症状としては、不安感や焦燥感などの情緒不安定を呈する症状、あるいは不眠症や慢性頭痛などの身体愁訴として出現する症状、会社での遅刻や日常生活での暴飲暴食などの問題行動を引き起こす症状などに大きく分類されます。

5月病の典型例としては、抑うつ気分や集中力の低下などの情緒面での症状が現れる事によって不眠症や眩暈、動悸症状などの身体的不調に繋がることもありますが、現実的には、症状の現れ方やその問題行動の詳細な内容などは個々の状態や重症度によって異なります。

■「5月病」の疑いがある場合の適切な対処法は?

5月病にともなって、抑うつ的な気分から抜け出せない症状の落ち着かせ方として、ストレスを解消して生活習慣を整えることが挙げられます。

5月病を抱えた方では、散歩や体操、入浴など気軽にできるストレス解消法からまずは始めてみて、少しでも自分がリラックスできる時間を意識的に設けて、自分なりの趣味を持つことでストレスを上手にコントロールできることがありますし、積極的に交友関係を広げることも効果的とされています。

5月病の症状がつらい場合には、果物、野菜、全粒穀物、低脂肪タンパク質を豊富に含む健康的でバランスの優れた食事内容を摂取することで身体に活力を与える効果が期待できますし、原則的には適度な運動と十分な睡眠を心がけましょう。

早く治したい時、あるいは自分なりにセルフケアをしても症状が収まらない場合は、出来るだけ速やかに心療内科など専門医療機関を受診しましょう。

■「5月病」の予防法は?

五月病を予防するために、連休前や連休中に自分でできる対策については、まずは自分のストレスを把握することが重要です。

ストレスに対して、有効的に対策を取るためには、どのようなストレスを実際に抱えているのか、自分自身で把握する必要があり、不満や不安を紙に書き出すなどの方法を用いながら、理想と現実のギャップがどこにあるのかを見つけましょう。

また、ストレスについて向き合う際には、オンとオフを明確に付けることも大切であり、例えば朝に考えて、夜は休む時間にするなど、決して無理をしないためのマイルールを作っておくことを推奨します。

ストレスの原因を自分なりに見つけることができれば、それらのことを信頼できる人に話してみる、あるいはもし周囲に相談できる人がいなければ、カウンセラーや臨床心理士など専門家に相談することで、新しい解決策が発見できるかもしれません。

自分の思考パターンを振り返りながら、自分自身の思い込みや決めつけがなかったかを探してみる、あるいは家族や友達付き合い、自分の趣味など、仕事以外にも目を向けて、ストレスを発散する方法も有効的と考えられます。

ストレスを発散する方法は人によってさまざまですが、好きなものを食べる、好きなテレビや音楽を楽しむ、アロマや入浴剤を使うなど、空いている時間に簡便にできるストレス発散の方法を、いくつか自分の中に持っておくといいですね。

また、休日にスポーツを楽しむなど、適度な運動は心身の安定につながりますし、本格的なスポーツではなくても、「家の近所を散歩する」、「最寄り駅の一駅前で降りて徒歩で帰宅する」など、体を動かす習慣をぜひ日々の生活に取り入れてみましょう。

普段から、「ストレスは誰でも必ず感じるもの」と認識して、ストレスと上手に付き合う方法を考えて、自分に合ったストレス解消法を見つけることが重要です。

新生活において、深刻に物事をとらえ過ぎず、新しい仕事や環境では失敗はつきものと考えて、「できる範囲でいい」と気持ちを楽に持っておくことも大切ですし、ひとりで悩みを抱え込みすぎずに、日頃から上司、同僚、家族など身近な人に相談するようにしましょう。

仕事や家庭、プライベートなど、さまざまな場面において、5月病による憂鬱な気分や抑うつ感を自覚する場合には、元気がなくなるだけでなく、集中力も低下して仕事に大きな影響が出る可能性もありますので、適切に対処する必要があります。

ストレスの原因を探求して、日々のセルフケアを行うと共に、自分の力ではどうにもならない際には、できるだけ速やかに心療内科など専門医療機関を受診しましょう。

監修ドクター: 甲斐沼 孟(かいぬま まさや)先生

TOTO関西支社健康管理室産業医。大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期総合医療センター 外科後期臨床研修医/大阪労災病院 心臓血管外科後期臨床研修医 /国立病院機構大阪医療センター 心臓血管外科医員 /大阪大学医学部附属病院 心臓血管外科非常勤医師 / 国家公務員共済組合連合会大手前病院 救急科医長

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