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2022.09.16

ナスのぬか漬けと白菜のキムチ、老化予防ビタミンが多いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.65】

kencom公式:管理栄養士・長有里子

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ブームを通り越し、もはや私たちの生活にすっかり定着したともいえる”腸活”。腸活は、発酵食品などを積極的に摂ることで腸内環境を整え、健康になろうというものですが、新型コロナウイルスによる健康意識の高まりで、より一層注目が集まっているそう。

そんな発酵食品の中でも、乳酸菌が豊富で手軽に購入できるのが、ぬか漬けやキムチ。どちらも腸内環境を整えるのに役立つ食べ物ですが、他の栄養素はどうでしょうか?今回は「ナスのぬか漬け」と「白菜のキムチ」の栄養を比べてみましょう。

ナスのぬか漬けと白菜のキムチ、老化予防ビタミンが多いのは?

正解は、白菜のキムチ

キムチのおいしさは、旨味のある辛さにあるでしょう。その辛さは唐辛子によるものです。乾燥の唐辛子には、抗酸化作用の高いベータカロテンが多量に含まれています。ベータカロテンは体内でビタミンAに変わるビタミンで、活性酸素の発生を抑えて取り除く作用を持っており、老化に対して効果があると考えられています。

乾燥の唐辛子には、なんと100gで17000μg(以下、マイクログラム)ものベータカロテンが含まれているのです!

白菜のキムチのベータカロテン量は100g中170μg、ナスのぬか漬けは26μg。ナスのぬか漬けと比べると、白菜キムチには約7倍のベータカロテンが含まれており、これは乾燥唐辛子によるものが大きいでしょう。

ナスのぬか漬けは皮がポイント

一方のナスのぬか漬けですが、鮮やかな紫色が食欲をそそりますよね。「ナスには栄養があまりない」といわれることもあり、たしかに栄養素はそれほど多いとはいえませんが、あの深い紫色がポイントです。

実はあの色は、色素成分の「ナスニン」と呼ばれ、ベータカロテンと同じように抗酸化作用があります。皮にだけ含まれる成分なので、皮もしっかり食べるナスのぬか漬けなら、キムチと同じくアンチエイジング成分を摂ることができます。

キムチは油と相性良し!ナスは吸油率に気をつけて

そのまま食べても美味しい白菜のキムチ。同じ発酵食品である納豆と組み合わせてご飯にかけたり麺と和えたり、アレンジも様々ですが、実は油脂と一緒に摂るのがおすすめです。ベータカロテンは、油脂と一緒に摂ると吸収率が高まるため、納豆などと組み合わせる際は、ごま油などの油も加えれば、より健康効果がアップします。

またナスも油と相性が良く、揚げたり炒めたりすることで甘みが増しますが、吸油率の高さが気になるところです。例えば素揚げであれば、薄切りのかぼちゃの吸油率は7%、皮付きじゃがいも(4つ割り)の吸油率は2%のところ、丸ごとのナスの吸油率は14%です。

そのためナスを揚げるときは、小さく切り分けず、できれば揚げた後に熱湯をかけて油切りをすると、余分な油をカットすることができます。

腸活やアンチエイジングにもひと役買ってくれる、白菜キムチとナスのぬか漬け。食卓に彩りを添えてくれるこの2つを、ぜひ日々の食生活にとり入れてみてくださいね。

▼参考文献

旬の野菜の栄養事典(女子栄養大学名誉教授 吉田企世子監修/X-Knowledge)

調理のためのベーシックデータ第6版(女子栄養大学出版部)

過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから

著者プロフィール

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■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。

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