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2022.08.03

具材を変えて季節を味わう!長野県「おやき」【ニッポン地元メシ#26】

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

本州の内陸に位置し山々に囲まれた、南北に長い長野県。

高原の冷涼な気候から、軽井沢や蓼科などは夏の避暑地として人気があります。
また冬季オリンピック会場(1998年)として選ばれたことからも分かる通り、冬はウィンタースポーツを楽しむ人でにぎわいます。

さらにここ数年は沖縄と同じく長寿の県としても有名であり、長生きの秘訣のひとつは食にあるのではないかとして注目されています。

山に囲まれた地形は上質な水や気候にも恵まれることから、りんごやぶどう、桃といった果物の生産地としても有名。そのほか蕎麦、山菜、高原野菜と様々なジャンルの食材の産地として知られています。

また一般的には臭いと思われがちな鯉ですが、長野県の綺麗な川で育った鯉は臭みがなくとても美味しいと言われています。

今回はそんな長野県で有名な郷土料理「おやき」を紹介します。

「おやき」とは

長野県全域で親しまれている郷土料理「おやき」は、小麦粉やそば粉を水やぬるま湯で練って生地をつくり、その中に野菜や甘いあんこなどのお好みの具材を入れ包み、加熱したものです。

おやきの歴史はとても古く、長野県小川村の縄文遺跡からは雑穀の粉を練って焼いた跡が発見されたそうです。

自然が多い長野県ではお米がとれる地域もありますが、山間部では寒冷な気候で米作りには適さず、米の代替として蕎麦や小麦が栽培されていました。
1日1回はその粉を使った食事をつくって食べたといわれており、米の代わりとして先人の食を支えていたと考えられています。

おやきを簡単手作り!

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おやきの材料はとてもシンプルです。

まずは外側の生地となる部分。これに必要なのは小麦粉と水(またはぬるま湯)だけです。
小麦粉は、うどんにも使われる弾力のある中力粉を使用します。ここにそば粉を加えてもOKです。

粉と水をあわせてよく練り、耳たぶほどの柔らかさになったら乾かないように濡れ布巾をかぶせて30~1時間ほど寝かせます。
この間に中身のあんを手際よく作ってしまいましょう!

中身はお好みで。自由に楽しもう

具材はお好みですが、定番は茄子の味噌炒め、野沢菜を炒めたものや切干大根とにんじんを煮たもの、きのこ、ねぎ味噌、あんこ、かぼちゃなどです。

中の具材を作る際のポイントは、水分が多くならないこと。
水分が多すぎると生地に染みこんでふやけてしまう原因にもなるため、炒める、煮るという工程で水分が飛ばしておきましょう。

生地を十分寝かせたら薄くのばして具材を包みます。
あとはフライパンなどで両面を焼いたのち、蓋をして弱火でじっくりと蒸すように火を通すと完成です!

実は、おやきの焼き方は家庭によって様々。
かつてはどの家にも囲炉裏があり、それを活用して、蒸す、焼く、蒸して焼く、焼いてから蒸すなど様々な調理法が生まれました。

具材によって変わる栄養満点おやき

おやきの特徴は、中身によってさまざまな栄養を摂ることができる点ではないでしょうか。

例えば茄子の味噌炒め。エネルギーが低い茄子ですが、皮の紫色はナスニンと呼ばれる抗酸化作用を持つ成分を含みます。さらに発酵食品である味噌を一緒に摂ることができるため、体力を消耗しやすい夏場にオススメです。
長野県の名産でもある野沢菜には、抗酸化作用を持つβ-カロテンや腸内環境を整えるのに役立つ食物繊維が豊富。身体に嬉しい食材ですね。
切干大根は食物繊維が豊富なのはもちろん、食感も良いためよく噛んで食べることもでき、早食い防止にも良いでしょう。

小麦粉を使った生地には、エネルギー源として欠かせない糖質や身体の土台となるタンパク質が含まれます。

おやつから間食、主食にもなる!

おやきは中身の具材によって様々な栄養が摂れるだけでなく、ワンハンドで気軽に食べられるという点からも成長期の子どもや忙しく働く人の間食としてオススメ。
1個が手のひらに収まるサイズでそれほど大きくないため、状況によって1個2個と量の調整もしやすいですよ。

特に間食にお菓子をたくさん食べてしまうという方は、おやきのように小ぶりでうま味を感じられ、栄養も摂れるメニューを選ぶと満足感もより高まります。

市販のおやきを用意しておいたり作ったおやきを冷凍しておけば、朝ごはんを作る時間がない、洗い物に時間がかかるという方にもオススメです。

季節を味わうおやき

(公財)ながの観光コンベンションビューロー

(公財)ながの観光コンベンションビューロー

季節によって具材を変える楽しみ、「どのおやきにしようかな」と具材を選ぶのも楽しいおやき。

最近はお取り寄せができるのはもちろんですが、長野県内の道の駅やお土産屋さん、サービスエリアなどで求めることもできるため、ぜひ一度食べてみてはいかがでしょうか。

「ニッポン地元メシ」過去連載はこちら

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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管理栄養士・料理家
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。

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