メニュー

2022.10.26

杏仁豆腐だけじゃない「杏仁茶」の魅力。乾燥する時期に試してみて【ちょっと茶話#25】

kencom公式:料理研究家・りんひろこ

記事画像

「杏仁(あんにん)」と聞くと、杏仁豆腐をイメージする方がほとんどではないでしょうか。

杏仁とはアンズの種の中身(白い部分)を取り出したものです。日本ではこれに水を加えてミキサーにかけて濾したものを牛乳と合わせてプリンに仕立てた「杏仁豆腐」が有名です。

杏仁茶とは

台湾では杏仁豆腐だけでなく、冷たいジュースにしたり、温かい杏仁茶にしたりして親しまれています。

杏仁茶は杏仁そのままをお茶にしたもので、「杏仁豆腐」のように牛乳は入っていません。乳白色の液体で、杏仁の独特の香りが強く感じられます。舌触りはココナッツミルクに近いサラサラ感で、ほのかに甘味を感じます。

この乳白色の杏仁茶には、卵を加えて混ぜたものや、ピーナッツを加えたものなど、色々なバリエーションがあります。

中には、米漿(ミージャン)という玄米などの穀物で作ったとろっとしたライスミルクに杏仁を加えて、食べるスープのようにしたものもあります。
冷たいジュースでは、タピオカを入れたタピオカ杏仁ミルクティーなども若い人に人気です。

漢方の「杏仁」と毒性

ちなみに漢方でも杏仁は使われています。漢方で使う際には“あんにん”ではなく”きょうにん”と呼ばれ、咳や痰、喘息を鎮めるとされています。

ただ、この杏仁には猛毒の青酸ガスを発生するアミグダリンが含まれていて、そのまま20~40粒食べると呼吸中枢を麻痺させ窒息死するとも言われています。
食用に加工された杏仁であれば、種子をすり潰しアミグダリンをブドウ糖などに加水分解しているため、中毒を起こす心配はありません。
杏仁豆腐もその過程を経て作られていますし、日本で売られている杏仁パウダーなどは、この毒性をしっかり検査して基準以下のものだけ許可されているので心配はありません。

杏仁の栄養

杏仁は、“若さの脂肪酸”と呼ばれるパルミトレイン酸やオレイン酸など不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。

パルミトレイン酸は血管を健康的に保ち、オレイン酸は悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールを上げる働きをします。また糖質の消化吸収を妨げる働きもあるので、血糖値の調整に役立ちます。

杏仁茶は喉荒れ、咳によいといわれていて、風邪のひきはじめや、喉の調子が気になるときによく飲まれています。

杏仁茶の作り方

杏仁茶は日本のインターネット通販などでも入手できます。

白い粉状で売っているものが多く、適量のお湯を注いですぐに飲めます。乾燥して喉を痛めやすいこの時期に飲んでみるのはいかがですか?

参考文献:「毎日役立つ からだにやさしい 薬膳・漢方の食材帳」(実業之日本社)

りんひろこ

記事画像

料理研究家、フードコーディネーター
京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

この記事に関連するキーワード