2022.05.27
オリーブ油とバター、カロリーが高いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.58】
油が多い食事というのは健康に良くないとされていますが、油は"おいしさ"につながるので、魅力的に感じるのはもっともです。
特に、豊かな風味で料理を格上げしてくれるのが、オリーブ油やバターではないでしょうか。一般的にはバターよりオリーブ油のほうが健康的なイメージを持つ方が多いと思いますが、カロリーについてはどうなのか比べてみましょう。
オリーブ油とバター、カロリーが高いのはどっち?
正解は、オリーブ油
オリーブ油には「オレイン酸」という血中コレステロールを減らす作用のある成分が多く含まれている他、「ポリフェノール」や「ビタミンE」などの抗酸化成分も含まれます。
オリーブ油の使用量が多い地中海食を日常的に食べている国は、心疾患による死亡率が低いという報告からも、今やオリーブ油は「オイルの王様」とも呼ばれ、日本でも欠かせない油のひとつになりました。そのため「バターよりもカロリーが低いのでは?」と思われるかもしれません。
実は、オリーブ油のカロリーが894kcalに対して、有塩バターは700kcal、無塩バターも720kcalと、2割ほどバターの方がカロリーは低いのです(全て100g中)。
では、サラダ油やゴマ油といった他の油と比べるとどうでしょうか。オリーブ油は、他の油と比べてもカロリーはほぼ変わりません。つまり、オリーブ油はカロリーが他の油より低いということはなく、油自体の質が良いということになります。カロリー過多にならないよう摂り過ぎには気を付けたいですね。
バターにあってオリーブ油にはない栄養成分
バターはオリーブ油より低カロリーという特徴の他に、オリーブ油には含まれない「カリウム」や「マグネシウム」といったミネラルが少量ですが含まれています。また、オリーブ油には少量しか含まれない、皮膚や粘膜を正常に保つ「ビタミンA」が多く含まれるという特徴も。
逆に、オリーブ油には含まれないコレステロールを含んでいたり、中性脂肪などを増やす飽和脂肪酸が多いという面もあるため、やはりオリーブ油と同様、バターも摂り過ぎには気を付けましょう。
油は極力摂らないほうがいいの?
オリーブ油もバターも摂り過ぎには注意しましょうとお伝えしましたが、肉や魚などの脂も含め、油脂は体に必要なものです。
日常生活や運動する上での大切なエネルギー源になる他、ビタミンAやD、E、Kなどの脂溶性ビタミンを吸収しやすくしたり、腸のすべりを良くして便の排出をスムーズにするなど便秘予防にも役立ちます。
調理用の油は1日何gまでという量は決められていませんが、外食が続いたら家庭では油を控えたものをいただくなどバランスを心がけるとよいですね。
例えば、使用するフライパンによって必要な油の量は変わります。野菜炒め(100g)を作る場合、油がなじんだフライパンなら5gの油で済むところが、油がなじんでいないフライパンだと8gの油が必要になります。またフッ素加工のフライパンであれば、2gの油で作ることができます。
このように、身近な調理器具からでも油を控えることができますよ。今回ご紹介した内容を参考に、日々の食事の油にも意識を向けてみてくださいね。
▼参考文献
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。