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2022.04.08

食生活を見直そう!シニア世代は「なにを」「どれだけ」食べれば良い?

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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高齢化社会といわれる日本でシニア世代が健康にいきいきと過ごすことは、本人はもちろんご家族や社会全体にも嬉しいことです。

日本は世界でもトップクラスの長寿国ですが、残念ながら寿命=健康で過ごせる期間ではありません。
今後健康を考えるうえで大切なのは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている健康寿命であり、それをいかに長く保つかを目標とすべきです。

健康寿命を伸ばす3要素

健康寿命を伸ばすためには、身体の加齢による変化に気づきながら、その進行をなるべく遅らせることが大切です。

そのためには
1.栄養バランスの取れた食生活
2.適度な運動や休養による体力の維持
3.生きがいや楽しみを感じながら日々の生活をおくること

この3つが必要と言われています。

今回は1.栄養バランスのとれた食生活、についてお伝えします。

栄養バランスのとれた食生活って?

「バランスのとれた食事を心がけましょう」という言葉はよく見聞きされると思います。しかし結局「なにを」「どれだけ」食べたらバランスがよくなるのか、についてまで書かれていることは少ないのではないでしょうか。

まず栄養バランスのもととなるのが厚生労働省が5年ごとに出している「日本人の食事摂取基準」です。年代別にとるべき栄養素が明記されており、これをもとに栄養士は献立を立てています。
しかし、食品にその栄養素の内訳が書いてある訳ではないため、栄養士でない人にとっては、結局なにをどれだけ食べたら良いのかわからないというのが実情です。

「なにを」「どれだけ」を解決してくれる『食事バランスガイド』

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html)

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html)

「食事バランスガイド」というのを知っていますか?

厚生労働省と農林水産省の共同により策定されたもので、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「なにを」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。

「なにを」は主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5項目
「どれだけ」は1つ、2つ(つ:SV=サービング)で表されています。

コマの形で示されており、上部に位置するほど摂取量が多くなるという特徴があります。

※食事バランスガイドは原則として健康な方を対象として作られたものです。なんらかの疾病で医師・管理栄養士から指導をうけていらっしゃる場合はその指示にしたがってください。

「なにを」が表す栄養的役割

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「なにを」で示されている主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5項目はどんなものがあるのか、体内でどんな役割をしているのか見てみましょう。

主食:ごはん、パン、麺など。毎日の生活のエネルギーのもとになる炭水化物などの供給源
副菜:野菜、きのこ、いも、海藻料理。身体の調子を整えるビタミン・ミネラル(カルシウム、リン、鉄など)、食物繊維の供給源
主菜:肉、魚、卵、大豆料理。血液や筋肉などを作り、体力や免役力の維持にも役立つタンパク質等の供給源
牛乳・乳製品:牛乳、チーズ、ヨーグルト等。人に必要な栄養素をバランスよく含み、特にカルシウムの供給源
果物:みかん、りんご、柿、なし、ぶどう等。ビタミンC、カリウムなどの供給源

シニア世代は「どれだけ」食べればいい?

ではシニア世代が健康を維持するためには、どれだけ食べれば良いのでしょうか。

シニア世代は男性なら2100~2400kcal、女性は1650~1850kcal(※)を目安とするとよいでしょう。それに照らし合わせ、自分はどれだけ食べれば良いのかを見ていきます。

※年代は65~74歳、75歳以上。日本人の食事摂取基準より

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/kaisetusyo.html)

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_sizai/kaisetusyo.html)

例えば、70歳以上女性(1800kcal程度)の場合、一番上の行が基準となります。
1日の中で主食は4~5つ、副菜は5~6つ、主菜は3~4つ、牛乳・乳製品は2つ、果物は2つとればよい、となります。

1つ(SV)は結局どのくらい?

では主食は5つとれば良いということになりますが、では「1つ(SV)」って実際にはどのくらい?となりますね。

例えばごはんの1つは「かるく1杯」となりますが、丼で軽く一杯なのか、小さな茶碗で軽く一杯なのかは全く違う重量となります。
バランスガイドが考える「かるく1杯」は100gのこと。一度盛り付けて測ってみると良いでしょう。

出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_report/attach/pdf/index-8.pdf)

出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_report/attach/pdf/index-8.pdf)

出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_report/attach/pdf/index-8.pdf)

出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/b_report/attach/pdf/index-8.pdf)

シニア世代に気にして欲しいこと

どんな料理がどの区分に入り、自分が何をどれだけ食べれば良いかは上記から分かりました。
その上で、シニア世代には気を付けてもらいたいポイントがあります。

例えば「副菜」には、ポテトサラダやひじきの煮物、ほうれんそうのお浸しがここに入ってきます。
これらを比べると、ポテトサラダよりもひじきの煮物やお浸しの方がビタミン・ミネラルが豊富で、カロリーオーバーになりにくいのは想像に難くないと思います。
またポテトサラダという料理ひとつとっても、じゃがいも以外の野菜がほぼ入っておらずマヨネーズたっぷりで味つけされたものと、きゅうりや人参がたっぷりでマヨネーズの代わりにお酢をきかせて作られたものとでは、カロリーや含まれる栄養素も全く違うものになります。

塩分脂質を減らす工夫を

シニア世代は高血圧や糖尿病、高脂血症など生活習慣病のリスクが高まります。それらの共通リスクファクターは塩分と脂質。
特に肉類に含まれる脂質はよくありません。タンパク質を摂るならば、肉類よりも魚介類や豆製品を選ぶのが良いでしょう。

「副菜はできればミネラルやビタミンが豊富で、油をあまり使っていない調理法のものを」「主菜はお肉ばかり食べず、半分くらいは豆腐や魚からとろう」と意識すれば、よりシニア世代向けの栄養バランスになります。

食事バランスガイドを活用しながら、シニア世代にあった食材と調理法に気を付けることで、自然と栄養バランスが整っていきます。

健康寿命を伸ばし、はつらつと過ごすためにも是非活用してください。

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前田 量子(まえだ・りょうこ)

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管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた『ロジカル電子レンジ調理』が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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