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2021.12.17

鴨鍋と牡蠣鍋、血糖値を下げる成分をサポートしたいならどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.48】

kencom公式:管理栄養士・長有里子

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寒い季節、体を温めるならやはり鍋料理ですよね。最近では一人分の鍋つゆもバラエティーに富み、より手軽に楽しめるようになりました。

これから年末年始に向け出番の多い鍋料理ですが、今回はスペシャル感のある「鴨鍋」とヘルシーな「牡蠣鍋」で栄養の比較をしてみましょう。

鴨鍋と牡蠣鍋、血糖値を下げるインスリンに関係する成分を含むのはどっち?

正解は、牡蠣鍋

牡蠣は100g当たり58kcalと非常に低カロリー。しかも、亜鉛の含有量があらゆる食材の中でトップクラスというヘルシーな食材です。

亜鉛は、新陳代謝を促したり体内を酸化から守ったりする働きがある上、血糖値を下げる働きのあるインスリンの合成にも関与しています。

亜鉛の一日の推奨量は男性が11mg、女性が8mg(20代~60代)ですが、鴨(合鴨)には1.4mgのところ、牡蠣には14.0mg(どちらも100g中)の亜鉛が含まれているので、牡蠣を5〜6個(80g)食べれば男女とも一日分の亜鉛を摂れるほど豊富に含まれています。

定番の「鴨ネギ」、栄養面での相性は?

一方、鴨には鉄分やビタミンB群がバランスよく含まれており、とくにビタミンB2は牛肉、豚肉、鶏肉よりも多いのが特徴です。ビタミンB2は細胞の発育と正常な働きに関わります。肌荒れや口内炎、目の充血などが気になる方は意識して摂りたいビタミンになります。

ちなみに「鴨がネギを背負って来る」という言葉がありますよね。鴨がネギを背負って来てくれればすぐに鴨鍋が作れるということで、好都合という意味です。良い意味では使われませんが、栄養学的にみると鴨とネギの組み合わせは「貧血予防に最適」です。

貧血予防には鉄分だけでなく、ビタミンB群も大切になります。鴨には鉄分やビタミンB群がバランス良く含まれていますが、ビタミンB群の中で葉酸というビタミンが少ないのが残念なところ。その点、長ネギには葉酸が豊富に含まれるため相性が良いのです。

牡蠣鍋に入れたい野菜は?

牡蠣に多く含まれる亜鉛は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が高まります。鍋に使う葉物野菜には、水菜やせり、白菜、春菊などがありますが、その中で一番ビタミンCが摂れる野菜は何でしょうか?

それは「水菜」です。

もし牡蠣鍋をするなら、葉物野菜に水菜を選ぶと栄養面でも良いでしょう。ただ、鍋料理は手軽に野菜を摂れるのが特徴です。水菜に限らず、色々な種類の野菜を入れて日頃の野菜不足を解消しましょう!

▼参考文献

旬の野菜の栄養事典(女子栄養大学名誉教授 吉田企世子監修/X-Knowledge)

過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから

著者プロフィール

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■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。

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