2021.04.30
ざる蕎麦とうどん、消化に良いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.35】
外食やスーパー・コンビニ、おうちごはんでも手軽な麺といえば、蕎麦やうどんがありますよね。
よく「うどんは消化に良い」といわれますが、実際のところはどうなのでしょう。また、同じ麺類である蕎麦も同じなのでしょうか。今回はざる蕎麦とざるうどんで比べてみましょう。
ざる蕎麦とざるうどん、消化に良いのはどっち?
正解は、ざるうどん
そもそも「消化に良い」とはどういうことでしょうか?それは、食べたものが胃の中に滞在している時間が短いということです。消化に関係する栄養素が、食物繊維と油(脂)の量です。食物繊維と脂質はどちらも胃に長く留まるので、これらが多いと消化に時間がかかります。
うどんと蕎麦を比べると、蕎麦のほうがうどんよりも食物繊維は2倍以上、脂質は3倍多く含まれます。よってうどんのほうが消化は良いということになるのです。
ちょうど今の時期は、新生活や新年度の疲れが出やすい頃です。「胃がもたれているな」と感じたら、うどんを選びましょう。ただうどんでも、油が多い天ぷらを付けてしまうと、消化はされにくくなってしまうので気を付けてください。
蕎麦を食べる時は、更科より田舎そばを!
蕎麦はうどんより消化に時間がかかる分、腹持ちが良いメニューといえるでしょう。よって、ダイエット中の方は蕎麦を選ぶのがおすすめです。
また、蕎麦には特徴的な成分として「ルチン」があります。ルチンは血圧を上昇する物質の働きを弱める作用があるため、高血圧予防に役立ちます。
ルチンは蕎麦の外側の殻に近い部分ほど多く含まれているため、色の白い更科蕎麦よりも色の黒い田舎蕎麦を選ぶと効率よくルチンを摂ることができます。
うどんのおすすめトッピング&蕎麦湯のギモン
もし疲れている時にうどんを食べる場合は、「大根おろし」や「とろろ」のトッピングがおすすめです。これらには、うどんのでんぷんを分解するジアスターゼという消化酵素が含まれているので、胃腸が疲れている時のトッピングとしては最適なのです。
また蕎麦を食べる際は、蕎麦湯を飲む習慣が昔からありますよね。諸説ありますが、一説には冷たい蕎麦を食べて冷えた身体を温めるために飲んでいたのだとか。
しかし栄養面でもメリットがあります。蕎麦に含まれるルチンやビタミンB群は水溶性のため、ゆで汁に溶け出してしまいますが、蕎麦湯を飲むということは、栄養を無駄なく摂る方法でもあるのです。
うどんと蕎麦、食べ方のコツをつかんで健康や体調管理に役立ててくださいね。
▼参考文献
・栄養成分バイブル(中村丁次監修/主婦と生活社)
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。