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2024.06.13

「体毛が濃いとはげる」「ストレスは薄毛に影響する」「ワカメは髪に良い」など、髪の毛の疑問や噂を研究者に聞いてきた

マイナビニュース

筆者の身の周りでも、男女を問わず薄毛や抜け毛に悩んでいる人は少なくない。最近では、男性型脱毛症を意味する「AGA(Androgenetic Alopecia)」という言葉を目にすることも多くなった。

さらにマイナビニュースでは過日、頭髪に関する読者アンケートを実施したところ、半数近くが頭髪量や薄毛に悩みを感じるという結果を得たのだ。

マイナビニュースの読者アンケートより

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

マイナビニュースの読者アンケートより

マイナビニュースの読者アンケートより

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

マイナビニュースの読者アンケートより

頭髪に関しては、「体毛の濃い人は年を取ると薄毛になる」といった都市伝説的な噂も少なくない。本当のところはどうなのか。

長年にわたり毛髪の基礎研究や、髪質と頭皮の研究に取り組む花王研究所 上席主任研究員を務める福田令子氏、同じく主任研究員の曽我元氏に読者の髪の毛に関する疑問の解消や噂の真偽を確かめてきた。

毛髪や頭皮の研究で幅広い実績を持つ花王研究所

まずは花王の育毛研究の歴史や、二人の研究内容について尋ねた。

「花王の毛髪研究は、シャンプーやリンスの商品開発から始まりました。現在ではシャンプーやリンスのほか、育毛剤やスタイリング剤など幅広いヘアケア商品をそろえ、毛髪や頭皮に関しても幅広く研究しているのが特徴です。私も25年以上にわたり、育毛全般の研究に携わっています」(福田氏)

「私は9年前までヘアケアに関する研究を行っていて、その後、社内の別研究部門を経て、今年から復帰しました。育毛だけでなく、性別を問わず髪質や頭皮に関する研究も行っています」(曽我氏)

東京研究所がある「すみだ事業場」

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

東京研究所がある「すみだ事業場」

男女ともヘアサイクルの変化で薄毛に

髪の毛に関する悩みや疑問を解消するには、まず基礎的な知識が欠かせない。花王のヘアケアサイトを見ると、男性と女性で薄毛になるメカニズムが異なるようだ。

「まずメカニズムをお話しする前に、髪が生えて抜け落ち、再び生えてくる『ヘアサイクル』について知る必要があります。ヘアサイクルには成長期、退行期、休止期があり、毛周期は4~6年で1サイクルと言われています。男性の薄毛の多くは、成長期が徐々に短くなることで、前頭部や頭頂部の髪の毛が短く細くなっていくことによるものです。花王では、毛成長を促進する効果のある植物のエキス研究から新しい育毛有効成分を開発しています」(福田氏)

花王研究所 上席主任研究員 福田令子氏

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

花王研究所 上席主任研究員 福田令子氏

「女性の薄毛でも、ヘアサイクルの変化が関係する場合があります。特に中年期以降の女性では、休止期の期間が長くなり、抜け毛が増えることで髪の本数が減ることがあります。また、加齢以外にも遺伝やホルモンバランス等の影響で髪の成長が変化し細くなるとも考えられています」(曽我氏)

ヘアサイクルの図 出典:花王ヘアケアサイト

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

ヘアサイクルの図 出典:花王ヘアケアサイト

生活の不摂生やストレスが薄毛の原因に

薄毛に関する基礎知識がわかったところで、読者の髪の毛に関する疑問や噂の真偽を質問した。

マイナビニュースの読者アンケート「抜け毛・薄毛に影響するもの」より

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

マイナビニュースの読者アンケート「抜け毛・薄毛に影響するもの」より

質問1:薄毛は遺伝するのか。

「はい。薄毛の原因には遺伝の場合もあります。日本皮膚科学会の脱毛症治療ガイドラインによれば、X染色体上に存在する男性ホルモンレセプター遺伝子の多型や常染色体に疾患関連遺伝子があることが知られています」(福田氏)

質問2:「体毛が濃い人は年を取ると頭髪が薄くなる」は本当か。

「いいえ。体毛の濃い人が必ず薄毛になるわけではありません。体毛の濃さや薄毛には、確かに男性ホルモンである『ジヒドロテストステロン』が関係するとされていますが、それ以外にもさまざまな要因が絡み合って薄毛の原因となるのです」(曽我氏)

花王研究所 主任研究員 曽我元氏

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

花王研究所 主任研究員 曽我元氏

質問3:ストレスが大きいと薄毛になるのか。

「その通りです。ストレスによって睡眠障害や体調不良、血行不良などになるため、それが薄毛や抜け毛の原因になると考えられます。喫煙や睡眠不足、栄養不足など『生活の不摂生』も同様です」(福田氏)

質問4:「濡れた髪を乾かさないまま就寝するのは髪に良くない」は本当か。

「本当です。濡れた髪は柔らかく摩擦によって髪の毛の表面を覆っている組織『キューティクル』がはがれやすい状態になっています。また、根元が濡れたままだと菌が繁殖しやすく臭いや刺激の原因にもなります。ドライヤー等でしっかり乾かしてから就寝することをお勧めします。ドライヤーの熱風を心配される方がいますが、自分が熱くないと感じる程度であれば問題ありません」(曽我氏)

質問5:ワカメなど海藻類は薄毛対策に効果があるか。

「海藻類を食べるだけでは、毛髪を構成する『ケラチン』等をつくることはできません。タンパク質やミネラル、脂質、炭水化物などさまざまな栄養素をバランスよく摂取することが大切です」(福田氏)

早い段階からの頭皮ケアが望ましいと話す

参照元:https://news.mynavi.jp/article/20240612-2962525/

早い段階からの頭皮ケアが望ましいと話す

毛髪や頭皮の専門家から読者にアドバイス

最後に、お二人に薄毛に悩む読者へのアドバイスをお聞きした。

「薄毛の進行は頭頂部など『自分の目では見えづらい』ので、ある程度進行してから初めて自覚して、ショックを受ける方も少なくありません。その段階から対策しても改善は容易ではないので、できるだけ早くから頭皮をケアすることが大切です。加えて、喫煙や過度の飲酒、生活習慣の乱れ、栄養不足等も薄毛に悪い影響を与えるので、普段から注意してください」(福田氏)

「鏡を見れば自身の肌コンディションがすぐにわかるスキンケアと異なり、頭皮の状態は薄毛というサイン以外はわかりづらいものです。頭皮についても、普段からしっかりケアして清潔に保つことが大切です」(曽我氏)

花王は自社の公式ホームページに「ヘアケアサイト」を構築し、髪や頭皮に関する研究成果を公開している。こうした情報を参考にするのもよいだろう。

マイナビニュース「頭髪、薄毛に関するアンケート」
調査時期: 2024年4月8~10日
調査対象: マイナビニュース会員男女
調査数: 300人
調査方法: インターネットログイン式アンケート

大塚立誌

1961年2月8日生まれ。金沢大学法学部を卒業し、大手就職情報会社で編集を担当。その後、企業広報のプロダクションでライターとして経験を積み、35歳で独立。企業広報や求人広告のライティングを中心に活動している。

※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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