2022.04.01
いちごとグレープフルーツ、学問的に野菜なのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.55】
暖かくなってくると、みずみずしい果物がおいしく感じますよね。キウイにいちご、りんごにバナナ、オレンジと、普段慣れ親しんでいる果物は様々ですが、実はこの中に野菜が含まれているとしたらみなさんはわかりますか?
野菜と果物の違いは?今回はいちごとグレープフルーツで比べてみましょう。
いちごとグレープフルーツ、学問的に野菜なのはどっち?
正解は、いちご
「いちごは果物でしょ?」と疑われるかもしれません。しかし、園芸学ではいちごは野菜に分類されます。
おおむね2年以上栽培する草本植物および木本植物で、果実を食用とするものが「果樹」とされていますが、いちごは一年生草本植物です。そのため、農林水産省の作物の統計調査でも野菜に含まれています。
ただし、実際には果物として食べられていることから「果実的野菜」とも呼ばれ、スーパーでは果物として販売される他、総務省の家計調査でも果物として扱われています。つまり、学問的にみると野菜、食生活では果物として扱われているのです。
いちご10個で1日分のビタミンC
さて、果物とも野菜とも扱われるいちごの魅力は、そのビタミンCの多さです。グレープフルーツは100g中36mgですが、いちごは62mgとおよそ2倍のビタミンCが含まれています。また、中サイズのいちごなら、約10個で1日分のビタミンCの推奨量をクリアできます。
ちなみに、いちごは先端部から熟していくので、先端のほうに強い甘みがあります。ヘタのほうから食べ始めると、最後により甘さを感じることができます。
グレープフルーツ、アンチエイジング目的なら赤と白のどっち?
一方のグレープフルーツには、果肉が白色と赤色と2種類がありますよね。このふたつはカロリーもその他の栄養もほぼ同じなのですが、違う栄養素がひとつあります。
それが「ベータカロテン」です。
果肉が白色のものにはベータカロテンは含まれませんが、赤色の果肉のものには100g中410μg含まれています。ベータカロテンには抗酸化作用があるため、アンチエイジングを期待するなら赤色の果肉のものを選ぶと良いでしょう。
また、いちごの赤い色はアントシアニンというポリフェノールを含みます。このアントシアニンにも抗酸化作用があり、ベータカロテンと一緒に摂ると相乗効果があるとされているため、もしできるなら、いちごとグレープフルーツを一緒にいただけるといいですね。
▼参考文献
旬の野菜の栄養事典(女子栄養大学名誉教授 吉田企世子監修/X-Knowledge)
過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから
著者プロフィール
■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。