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2022.03.11

食物繊維たっぷり!冬の便秘をケアする「きのこのドライカレー弁当」

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

冬になると便秘気味になったり、便秘が悪化したりする人が増えるといわれています。

その原因として大きく3つが挙げられます。

冬の便秘の原因

水分不足

冬は夏に比べ喉の渇きを感じにくいため、水分摂取量が知らず知らずのうちに少なくなりがち。
しかし、空気は乾燥しています。空気の乾燥がすすむと、不感蒸泄(皮膚や呼気からの水分蒸発のこと)によって失われる水分量が増えるという報告もあり、決して失われていないわけではありません。

このように体内の水分が不足すると、便秘につながることもあります。

運動不足

寒くなるとつい外出が億劫になり家の中で過ごす時間が増えるので、運動不足になりやがちです。全身の運動不足は腸の働きの低下にもつながり、便秘の原因になるのです。

冷えによる自律神経の乱れ

私たちが健康に過ごすために欠かせない自律神経。循環器、消化器、呼吸器などの活動を調整するために、24時間働き続けている神経の事です。

自律神経には、身体の活動時や昼間に活発になる交感神経と、安静時や夜に活発になる副交感神経があります。
これらは便秘にも深く関係しており、冬は体温を逃がさない様にするために血管を収縮させようと交感神経が優位になるため、消化機能が低下し、腸の動きも鈍くなります。

このように、水分をこまめに摂る、家の中でもできる運動を取り入れる、身体を冷やさないようにする、などが冬の便秘対策には大切です。

そして季節に限らず便秘解消に大切なのが食事です。今回は食物繊維たっぷりで便秘解消に期待できるお弁当のレシピをご紹介します。

きのこたっぷりドライカレー

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材料(2人分)

豚ひき肉 200g
えのきたけ 200g
カレー粉 5g
ケチャップ 60g
ウスターソース 20g

ブロッコリー 50g(1人分)
ごはん 200g(1人分)

主な栄養素

エネルギー 627kcal
タンパク質 29g
食物繊維 10.8g
鉄 3.9mg
ビタミンB1 1.08mg
ビタミンC 73mg

作り方

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1.えのきたけは石突きを取り除き、みじん切りにする。
※えのきたけはもともと細いので小口切りにするだけで自然とみじん切りになります。

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2.テフロンのフライパンに豚ひき肉とえのきたけを入れて、火をつける。
※豚に含まれる油だけで十分なので、余分な油は不要です。

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3.塩こしょう少々(分量外)をしてから水分がしっかりと出てくるまで炒める。

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4.カレー粉、ケチャップ、ウスターソースを加え、しっかり炒め煮詰める。
5.ブロッコリーは塩ゆでし、冷ましておく。
6.ごはん、ドライカレーをしっかり冷ましてからお弁当に詰める。ブロッコリーを添える。

このお弁当のポイントを解説!

1.食物繊維を多く取り入れる

便秘解消のために積極的に摂りたいものといえば食物繊維です。

食物繊維は「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されていて、人間の消化酵素の作用を受けずに小腸を通過して、大腸まで達する成分のことです。

大別して水溶性と不溶性の2種類があり、特に注目したいのが水に溶けにくい不溶性食物繊維。水分を吸収して便の容積を増やす働きがあります。
便が増えると、大腸が刺激され、排便がスムーズになるため便秘解消につながるというわけです。

きのこ類には食物繊維が豊富に含まれており、特に不溶性食物繊維が多いといわれています。今回使ったえのきたけには100gあたり3.9gと豊富に含まれており、このお弁当全体で10.8gとることができます。

2.副菜の定番「ブロッコリー」は便秘解消にも優秀食材

お弁当に添える定番といえばブロッコリーですよね。
ブロッコリーは塩ゆでするだけで美味しく食べられますし、彩りもよくしてくれるため、お弁当には欠かせない食材です。

さらに栄養素もとても優秀で、たとえば、肌や粘膜を健やかに保つために欠かせないビタミンCや、DNAやRNAなどの核酸、タンパク質の合成促進・細胞の生産に欠かせない葉酸など、身体に良いビタミンがたっぷり。

それだけでなく、食物繊維含有量もとても優秀!
ブロッコリーの食物繊維は100gあたり5.1gと、えのきたけよりも多いのです。今回お弁当に使っている50gで2.6gもとることができます。

3.カレー粉で消化機能も促進!

カレーは子どもから大人まで年代・性別問わず愛される国民食と言われるだけあって、カレー粉の香りを嗅いだだけで食欲が湧いてきます。

美味しさはもちろんのこと、辛味成分は消化器の粘膜を刺激し消化液の分泌も促すため、食欲だけでなく消化促進効果も期待できます。
冬の便秘は消化機能の低下も原因とみられているため、間接的に効果が期待できるともいえるでしょう。

4.水分は欠かさずに

食物繊維を摂ると便のかさが増えて便通が良くなる、ということを前述しましたが、ここで欠かせないのが水分です。

冬は水分摂取量が少なくなる季節。水分が少ないと、腸で便が硬くなってしまい排出されにくくなることも。このお弁当だけでなくお茶なども積極的にとるように心がけましょう。

5.水溶性食物繊維も添えて

便秘予防のために便のかさを増やす「不溶性食物繊維」をとるのは大切です。
しかし不溶性食物繊維ばかりでは便が硬くなり、結果便秘を悪化させてしまうことがあります。

そこで大切なのが水溶性食物繊維。水溶性食物繊維は便を軟らかくする働きがあるといわれています。
水溶性食物繊維を豊富に含む食品は、わかめ、めかぶなど海藻類、果物、こんにゃく、オクラ、モロヘイヤなどのネバネバ野菜に含まれます。
ネバネバしたものはお弁当に入れにくいということもあるでしょうから、例えばいちごやみかんなど、持ち運びやすいフルーツをデザートにプラスするなどがおすすめです。

通年で便秘ケアを!

冬に限らず、便秘は通年よくある症状です。
これから迎える春は就職、転職、異動など環境の変化が激しい季節。希望と同時にストレスがかかってくることも事実で、この時期に便秘になりやすい方も多くいます。

冬に限らず腸の働きを整えるさまざまな食材を摂り入れて、バランスのよい食事を心がけてみてください。

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前田 量子(まえだ・りょうこ)

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管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、電子レンジの加熱時間や法則を書いた「ロジカル電子レンジ調理」が2022年2月に発売。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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