2021.01.21
【医師監修】子どもの突然の嘔吐…どうしようと慌てる前に確認することは?【子どもの「病気・けが」教えて!ドクター 第7回】
子どもがいきなりおう吐したら、あたふたしてしまう人も少なくないでしょう。突然始まることが多い子どものおう吐ですが、事前に備えておくことで落ち着いて対処できます。
今回は、子どもがおう吐した時の対処法や、予防策について、書籍『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』からご紹介します。
■子どもがおう吐したらどうする?
参照元:https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1607501567245/
出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)
子どもがおう吐したら、まずは吐いたものをチェックしましょう。何回くらい吐いたのか、どれくらいの量を吐いたのか、いつ吐いたのか、どんな時に吐いたのかなど、わかる範囲で観察しておくことが大切です。
そして、吐いたものを処理する際には、しっかりと消毒を行います。処理したあとは、しっかりと手洗いをして、吐いたものから感染を広げないようにしましょう。
■おう吐の原因と受診の目安
子どもがおう吐して、発熱や下痢症状も出ている場合、感染性胃腸炎の可能性が高いです。その場合、おう吐は1〜3日続き、遅れて下痢が3〜7日ほど続きます。
子どもの感染性胃腸炎の多くはウイルスが原因で、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどがあります。ロタウイルスの場合、合併症でけいれんを起こすこともあるので、注意が必要です。
また、ウイルス性の胃腸炎に効く抗ウイルス薬はなく、病院では整腸剤や吐きどめなどの投薬治療をすることとなります。ロタウイルスには非常に有効なワクチンがあるので、あらかじめ予防接種を受けておくといいでしょう。
▼受診の目安:すぐに受診!
病院に連れて行くかどうか迷ったら、次の項目に当てはまるかどうか確認して、当てはまる場合にはすぐに医療機関を受診した方がいいでしょう。
□おう吐症状が強く、半日以上水が飲めない
□ぐったりしている
□水のような下痢が1日6回以上ある
□口や舌が乾き、涙が出ない
□尿が出ていない
□血便が出た
■おうちでのケアと感染予防対策
次は、子どもがおう吐した場合にできる、おうちでのケアについてご紹介します。
▼おうちケアのポイント
1、横向きに寝かせ窒息防止
2、水分補給はゆっくりと
3、食事も無理せずゆっくり
おうちでのケアは、無理をしないのがポイントです。吐いたもので喉をつまらせないよう、横向きに寝かせてあげます。
また、おう吐した後すぐに水分を与えると再び吐いてしまう可能性があるため、1〜2時間おなかを休めた後、ティースプーン1杯分の水分をあげて、様子を見ましょう。
食事についても、ゆっくり様子を見ながら、おかゆや温かいうどんなど、消化のいい炭水化物からあげてください。
▼感染予防に「ゲーゲーセット」を備えよう
また、吐いたものの処理は、周囲へのウイルス感染に十分注意し、次亜塩素酸ナトリウム液での消毒を徹底しましょう。普段からできる備えとして、佐久医師会の先生がおすすめしているのが、漫画にも登場した「ゲーゲーセット」です。
【「ゲーゲーセット」の内容】
参照元:https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1607501567245/pid_2.html
出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)
・次亜塩素酸ナトリウム液
・新聞紙、キッチンペーパー、古い布
・使い捨てマスク
・使い捨てビニール手袋
・ポリ袋をかけたバケツ
これらをすべてバケツに入れて、子どもの手が届かない身近な場所に置いておくと、急なおう吐にも慌てず対処できて便利です。
【消毒の仕方】
参照元:https://woman.excite.co.jp/article/child/rid_E1607501567245/pid_2.html
出典:『マンガでわかる!子どもの病気・おうちケアはじめてBOOK』(KADOKAWA)
■【子どものおう吐】教えてドクターQ&A
最後に、「教えて!ドクタープロジェクト」に子どものおう吐にまつわる悩みにお答えいただきました!
――おう吐症状がある時に、何をどれくらい食べさせるべきか悩みます。本人が食べたがっていたら、食事を取らせてもいいですか?
まずは水分から少しずつ始めてください。経口補水液がのぞましいですが、薄めたリンゴジュースなどでも構いません。
よほどおう吐しなさそうで、大丈夫そうであればうどんなど消化のいいものを少量から与えてあげてください。
――泣きすぎたり咳をしすぎたりして嘔吐することがあります。問題はないのでしょうか?
子どもは少しの刺激でも大人より嘔吐しやすく、咳を繰り返したり、泣いたりしただけで吐いてしまうことがあります。お子さんによっては吐きやすいお子さんもいますが、これ自体は病気ではありませんので心配は不要です。
ただ、何か病気ではないかと不安になってしまうお気持ちもわかります。吐く状況が「咳をしているとき」「泣いているとき」など状況が限定されているかどうかで、区別することになります。ただし、よくわからないこともあると思いますので、その場合には医療機関でご相談いただければと思います。
※本連載で紹介する情報は、2020年12月時点のものです。
(佐久医師会 教えて!ドクタープロジェクトチーム/KADOKAWA ¥1,430)
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●「教えて!ドクタープロジェクトチーム」とは?
長野県佐久医師会・佐久市による、子どもの病気、ホームケア、地域の子育て支援情報などを発信するプロジェクトチーム。地域の子育て力向上事業としてだけでなく、SNS発信により「医師による確実な情報」を、リアルタイムで全国に発信している。
公式HP:教えて!ドクタープロジェクトチーム
(高村由佳)
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