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2020.09.30

デリケートゾーンの洗い方は女性の基本知識!医師が教える正しい方法【レミ先生の診察日記17】

ILACY

欧米では、日々当たり前にケアする場所として認知されているデリケートゾーン。幼い頃から、親が正しい洗い方を教える習慣も定着しています。
一方、日本では、たとえ親子であってもデリケートゾーンについては話題にしづらい風潮があり、正しい洗い方を知る機会はほとんどないといえるでしょう。そのため、自己流で間違った洗い方をしていたり、ケアを怠っていたりした結果、かゆみや痛み、においなどのトラブルに見舞われることも...。

そこで今回は、今からでも絶対に知っておいてほしいデリケートゾーンの正しい洗い方について、浜松町ハマサイトクリニックの医師・吉形玲美先生に教えていただきました。

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デリケートゾーンは「女性力の源」

――日本には、「デリケートゾーンのことを話すのは恥ずかしい」という雰囲気がいまだにありますね。

女性特有の悩みは性に関係することも多く、日本人は気質的にどうしても抵抗を感じてしまうようです。更年期にまつわる話題ですらも、一昔前は口に出すのがはばかられるところがありました。時代の流れとともに、「更年期症状かもしれない」という理由で受診する患者さんは増えてきましたが、デリケートゾーンについては今なお人に打ち明けにくい、相談しにくいという風潮を感じます。

――そもそも、自分のデリケートゾーンを見たり、さわったりすること自体を悪い行いのように感じている人が多いのかもしれません。

そうですね。でも、顔や髪は毎日じっくり見てさわって、一生懸命お手入れするのですから、デリケートゾーンも同じようにケアしていただきたいです。

デリケートゾーンは、皮脂や汗、経血、尿など、毎日さまざまな刺激物にふれる場所。間違ったケアをしていたり、きちんとケアをせずにいたりすると、痛みやかゆみなどのトラブルを引き起こすことにもなりかねません。ヘルスケアの一環としてきちんと向き合いましょう。

――まずは、「デリケートゾーン=恥ずかしい」という考え方を変えることが重要ですね。

デリケートゾーンは「恥ずかしいところ」「見たりさわったりしてはいけないところ」ではなく、「よく知って、大切にすべきところ」だという意識を持ってほしいですね。

卵巣や子宮がすこやかに保たれている女性が自然といきいきして見えるように、デリケートゾーンに自信がある人も美しく輝いて見えるはず。デリケートゾーンは、「女性力の源」なのです。

専用のケア用品を使って、こすらず優しく洗う

――では、デリケートゾーンの具体的な洗い方をレクチャーしていただきたいと思います。最初に、用意したほうがいい物があれば教えてください。

まずは、デリケートゾーン専用のケア用品をそろえましょう。「デリケートゾーンの3大悩みに対するケア方法」がテーマのときにお話ししたように、健康な腟粘膜は細胞の自然な新陳代謝によって自浄され、お肌と同じ酸性の状態を維持しています。ところが、一般的なボディソープはpHが9.0~11.0のアルカリ性で洗浄力が強いため、普通に洗っているつもりでも腟を守る物質が多く含まれた、粘膜の上皮細胞まではがしてしまう可能性があるのです。

デリケートゾーン専用のケア用品を選ぶときは、pH値が5.0~7.5の弱酸性から中性の商品を選びましょう。

腟のバリア機能を担う成分、グリコーゲンを補うのに役立つ乳酸菌が配合されている商品もいいですよ。

■デリケートゾーンにおすすめのケア用品のpH値

――お風呂用の椅子などに座って洗うのがいいのでしょうか。

できれば、開脚スクワットのように、つま先を外に向けて足を広げ、ひざを曲げてしゃがんだ姿勢をとると、まんべんなく洗えていいですね。椅子に座るなら、低めの椅子のほうがしっかり足を広げられると思います。

――洗う順番は?

デリケートゾーンの周りには尿道と肛門があります。雑菌や汚れはお尻の周りが最も多いので、トイレで尿や便を拭くときと同じように、前から後ろへ洗っていきましょう。

最初にアンダーヘアを洗って、尿道口まわり、腟口、肛門という順番です。肌に負担をかけることなく広い範囲を洗えるよう、ソープをしっかり泡立てるのも忘れずに。泡タイプの洗浄剤も市販されていますので、そちらを使用すると泡立てる手間がなくていいと思います。

――特に注意して洗ったほうが良い部分はありますか。

腟口と尿道口の両側にある大陰唇と小陰唇のヒダの内側は、恥垢と呼ばれる白いカスのような汚れが溜まりやすくなります。トイレットペーパーの残りもつきやすい部分ですから、特に丁寧に洗ってください。

といっても、ゴシゴシこするのはNGです。顔を洗うときと同じように、指の腹を使って丁寧に優しく洗っていきましょう。

――洗い終わった後のケアについても教えてください。

お風呂から上がったら、タオルでぽんぽんと、軽く押さえるようにして水分を拭き取ります。次に、洗ったときと同じ姿勢をとり、デリケートゾーン専用の保湿剤やクリームを使って保湿しましょう。このとき、デリケートゾーンの真下に鏡を置いて、洗えていない部分や荒れている部分がないかチェックしながらケアするのもいいですね。保湿剤にはさまざまな形状がありますが、垂れにくく広げやすいので、ジェルやクリーム状の保湿剤が塗りやすいと思います。

基本的には、顔のケアをするときと同じように洗ったところを保湿すればOKです。私は股関節に近い骨盤の横の骨のところまで、つまりショーツラインまでをケアすることをおすすめしています。ついでに鼠径部(そけいぶ)までマッサージすれば、リンパの流れが良くなって下半身のむくみや冷えの解消にも効果的ですよ。

内面から輝くデリケートゾーン美人を目指そう

――これを機にデリケートゾーンの洗い方を見直し、お子さんがいる方ならお子さんにも教えてあげてほしいですね。

ぜひ、正しい洗い方を身に付けて、お子さんがいらっしゃる方は機会を見つけて教えてあげてほしいです。たとえヘアスタイルやメイクが完璧でも、デリケートゾーンに不安やトラブルがあると、せっかくの美しさに陰りが出てしまいます。

デリケートゾーンのケアは、顔や体を洗うのと同じように当たり前にすべきことで、女性の自信を育む上で欠かせないもの。難しく考えずにスキンケアの一環として、気軽に始めてみてください。内面から輝く女性力を身に付けるために、ぜひ「デリケートゾーン美人」を目指していただきたいと思います。

この記事を監修した人

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吉形 玲美 (よしかたれみ) 医師

医学博士/日本産科婦人科学会 産婦人科専門医
専門分野:婦人科

1997年東京女子医科大学医学部卒業
臨床の現場で婦人科腫瘍手術をはじめ、産婦人科一般診療を手掛ける傍ら、女性医療・更年期医療の様々な臨床研究に携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、2010年より浜松町ハマサイトクリニックに院長として着任。現在は同院婦人科専門医として診療のほか、多施設で予防医療研究に従事。更年期、妊活、生理不順など、ゆらぎやすい女性の身体のホルモンマネージメントを得意とする。

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