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2015.11.10

ストレスよさらば!目からウロコの「怒られパターン診断」

臨床心理士 坂井一史

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こんにちは。臨床心理士の坂井一史です。
怒られるのって、嫌な気持ちがしますよね。怒られることが続くとだんだん自信をなくし、逃げ出したくなってしまうという相談者がたくさんいらっしゃいます。怒られたくなくて言うべきことを言わずに隠してしまい、ますます深刻な問題に発展してしまうことも多いようです。今回は怒られてしまったときの、上手な向き合い方をパターンに分けてご紹介します。

怒られコミュニケーションの悪循環

まずは怒られたときに陥りがちな悪循環について確認してみましょう。

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「怒る」-「怒られる」というのは一方的なやり取りに感じますが、実は双方向のコミュニケーションであることがわかります。①と②の相手の怒りに対して、あなたが考え(③)、感じ(④)、行動したこと(⑤)が、その後の相手の怒りに影響を与えているのです。

職場では「怒られる」を避けられないことも

特に仕事場面では、不条理な怒りをぶつけられていたとしても「怒るな」ということも言えません。さらに困ったことに、怒らないと気が済まないという理由で怒る人もいます。これらの避けられない怒りに対して、多くの人は「怒られたくない」と考えます。「怒られたくない」と考えているのに怒られてしまうと、その最悪の事態に気持ちが萎縮してしまい、「どうにか乗り越えよう、切り抜けよう」とする『状況打開力』をどんどん失っていってしまいます。

「怒られたくない」を「怒られよう」に切り替える

それに対して「怒られよう」「怒らせよう」「相手の怒りから自分の糧を学びとろう」と考えることができるとどうでしょうか。自ら率先して「怒られよう」「怒らせよう」と思って怒られるわけですから、「怒られている状況は自分があえて作っている」というこの状況は自分がコントロールしているんだという感覚を持てます。
「避けたいことが起きてしまう」のと「自分があえて向き合っている」のとでは、事態が起きたときのショックの程度に雲泥の差ができます。

パターンを知って、「怒られ」を乗り切る!

さらに、相手の怒りと上手に向き合って怒られるためには、相手が怒っている「内容」と「言い方」について、冷静に分析して対処することが有効です。

あなたが経験した「怒り」は下図のどのタイプでしょうか?

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Aタイプの怒りへの怒られ方:

相手の怒りの内容が適切(自分としても思い当るところ、反省することがある)であり、言い方も自分のためを思った愛を感じる言い方の場合には、「怒りを真摯に受け止め、怒られた内容を糧にする」スタンスが有効です。相手がそれだけの感情をこめて怒ってくれているということに対して、きちんと向き合うことで、自分の成長につなげることができます。

Bタイプの怒りへの怒られ方:

相手の怒りの内容は適切であるものの、「そんな言い方しなくてもいいでしょ」という怒り方をする人もいます。こういう人の怒りへの対処としては、内容の指摘に対してはしっかりと反省して自分の糧とし、言い方に関しては「この人は言い方が残念だなあ」と心の中で呟きながら、「真に受けない」「話半分に聞く」といった心の距離感を保つ対処が有効です。

Cタイプの怒りへの怒られ方:

このタイプは言い方には「自分のためを思って」という愛を感じるものの、怒りの内容は「本当にそうなのか?」と?マークがつくような場合です。こういう人の怒りへの対処としては、自分のことを思ってくれる気持には感謝を示しつつも、内容について「よく分からない」「理解が追いつかない」と説明を求めることが有効です。相手に説明を求めることで相手を否定するようなコミュニケーションになってしまうのを避けることができますし、相手にも内容が本当に適切なのか考えてもらうことができます。

Dタイプの怒りへの怒られ方:

内容も言い方もトンチンカンな人というのもいます。こういう人の怒りを真に受けていると消耗するだけなので、BタイプとCタイプの対処を組み合わせて、内容については本人に説明してもらいつつ、言い方については心の距離を保つ対処をしていくことが現実的でしょう。

怒られたことを冷静に振り返る場を持つこと

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Aタイプの怒りへの怒られ方を選択した場面では、怒られることに前向きなので良いのですが、B~Dタイプの怒りへの怒られ方というのは、社会が求める前向きな怒られ方とは少しニュアンスの違うものです。こういう怒られ方を選択するときには、自分の判断が本当に正しいものか、家族、友人、同僚、先輩などに相談するといいでしょう。自分の判断や考えが不適切にならないようにしていけると、いろんな人のいろんな怒りに対処できる、優秀なビジネスパーソンとして能力発揮ができるようになるのではないでしょうか。

<参考文献>
・桂福丸(2014)『怒られ力』,明治書院
・中谷彰宏(2014)『叱られる勇気』,PHP研究所

<筆者プロフィール>

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坂井一史 (さかいひとし)
住友商事グループSCGカウンセリングセンター センター長付
資格:臨床心理士、2級キャリア・コンサルティング技能士、シニア産業カウンセラー