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2024.03.28

花粉症などに使う「抗ヒスタミン薬」の飲み薬のうち、運転禁止の薬はどれ?制限なく飲める薬などについて解説

Lumedia

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花粉症がつらい季節ですね。

花粉症の薬は眠くなるから… と、薬を飲むのを我慢している方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、眠気が出にくいタイプの薬もあるのです。

今回の記事では、ドライバー必見の 運転禁止/ 運転要注意/ 運転制限なし の3つのタイプと、それぞれで効き目が違うのかについて解説していきます。

まとめ

●じんましんやアレルギー性鼻炎などに使われる抗ヒスタミン薬は、第1世代と第2世代に分けられます。
●第1世代は眠気などの副作用が多く、どの薬も「運転禁止」です。
●第2世代のうち、「アレグラ」「クラリチン」「デザレックス」「ビラノア」は運転に関する制限がありません。

この記事を書いた医師

江畑 慧(Satoshi Ebata)
医師 / 皮膚科専門医 / 医学博士

Lumedia編集長。静岡皮膚科(2024年3月開業/静岡駅徒歩3分)院長。Yahoo!ニュース公式コメンテーター
Lancet姉妹誌などに多数論文掲載。東大病院病院長賞などを受賞。適切な科学的根拠に基づくスキンケア情報を発信中。

【目次】
1.抗ヒスタミン薬とは?
2.第1世代の薬は副作用が多い…
3.第2世代でも要注意の薬がある
4.必見!運転制限別の一覧表
5.運転制限なしは4つだけ!
6.薬によって効き目は違うの?
7.眠気に悩むすべての方へ

抗ヒスタミン薬とは?

読者の皆様は、「抗ヒスタミン薬」という種類にあてはまる治療薬をご存知でしょうか?

蕁麻疹 (じんましん) やアレルギー性鼻炎 (花粉症) などに広く用いられている薬剤で、「アレグラ」「アレロック」などが該当します。

これらの薬を実際に飲んだことがある方も多いことでしょう。

抗ヒスタミン薬の注意点として、一部の製品で「眠気」が出やすいことが挙げられます。

特に、車の運転をする際には飲んではいけない薬もあります。

第1世代の薬は副作用が多い…

抗ヒスタミン薬の歴史は古く、1946年にアメリカで最初の薬が承認されて以来、数多くの種類が開発されてきました (参考文献 1) 。

1970年代までに開発された薬剤は「第1世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれ、主な製品としては

●ジフェンヒドラミン塩酸塩 (レスタミン)
●クロルフェニラミンマレイン酸塩 (ポララミン)
●ヒドロキシジン塩酸塩 (アタラックス)
などが挙げられます (参考文献 2) 。これらの薬は副作用が多く、

眠気/ めまい/ 頭痛/ 口の渇き/ 食欲が出すぎる/ 緑内障の悪化/ 前立腺肥大症の悪化

などの問題がありました (参考文献 1-3) 。

第1世代抗ヒスタミン薬は眠気が出やすくて危険なため、どの薬剤も添付文書 (薬の取扱説明書) で「自動車運転は NG」と書かれています。ドライバーの方は、間違えて薬を飲まないように注意する必要があります。

第2世代でも要注意の薬がある

続いて、1980年代以降に開発された薬剤は「第2世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれます (参考文献 1,2) 。

こちらは従来の「第1世代」よりも改良されており、眠気などの副作用が出にくくなっています。

ただ、第2世代抗ヒスタミン薬の中でも眠気が出やすい製品もあり、車の運転が禁止されている種類も存在します。

添付文書を確認すると、第2世代抗ヒスタミン薬は次の3タイプに分類することができます (参考文献 3) 。

①車を運転してはいけない薬
②車の運転時には注意が必要な薬
③車の運転に関する制限がない薬

①のグループに入る薬を飲んでいる方は、車の運転など危険を伴う機械を操作するのは「禁止」です。

②のグループに入る薬も「要注意」とされているので、ドライバーにとっては使いにくいですね。

眠気が出ると困る作業に携わるようでしたら、特に制限が無い③のグループに含まれる薬を選ぶのが無難です。

必見!運転制限別の一覧表

① 運転NGの薬

●ケトチフェンフマル酸塩 (ザジテン)
●メキタジン (ゼスラン)
●アゼラスチン塩酸塩 (アゼプチン)
●エメダスチンフマル酸塩 (レミカット)
●セチリジン塩酸塩 (ジルテック)
●オロパタジン塩酸塩 (アレロック)
●レボセチリジン (ザイザル)
●ルパタジンフマル酸塩 (ルパフィン)

② 運転要注意の薬

●エピナスチン塩酸塩 (アレジオン)
●エバスチン (エバステル)
●ベポタスチンベシル酸塩 (タリオン)

③ 制限なしの薬

●フェキソフェナジン塩酸塩 (アレグラ)
●ロラタジン (クラリチン)
●デスロラタジン (デザレックス)
●ビラスチン (ビラノア)

運転制限なしは4つだけ!

ご覧いただきましたとおり、運転に関する制限がない薬は4種類だけです。

代表的な商品名としては、「アレグラ」「クラリチン」「デザレックス」「ビラノア」が挙げられます。

車を運転する方が抗ヒスタミン薬を飲む場合には、これらの種類を選んでおくと良いでしょう。

薬によって効き目は違うの?

「眠い薬の方が効果が高いのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそのようなことはありません。

たとえば、第2世代抗ヒスタミン薬7種類についてスギ花粉症への効果を比較した研究があります。

その結果によると、運転禁止の「セチリジン塩酸塩 (ジルテック)」、運転注意の「エピナスチン塩酸塩 (アレジオン)」、運転 OK の「フェキソフェナジン塩酸塩 (アレグラ)」などではどれも効果に差は見られませんでした (参考文献 4)。

「眠気が少ない薬は効かない」という訳ではありませんので、ご安心くださいね。

眠気に悩むすべての方へ

以上、今回は抗ヒスタミンの飲み薬について、車の運転ができるかどうかという部分に注目して解説いたしました。

ドライバーだけでなく、勉強やデスクワークに打ち込んでいる方など、眠気が出にくい製品を探している方はご参考にしていただけますと幸いです。

COI

本記事について、申告すべき COI はありません。

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参考文献

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