2023.01.16
ワセリンにはどんな使い道があるの?皮膚科医が解説!
まとめ
●ワセリンは、誰でも、様々な部位に使える安価な保湿剤です。
●乾燥肌、傷、おむつかぶれなど、いろんな場面で活躍します!
●ベタつきが苦手なら『サンホワイトシルキーY-1』がオススメ。
空気とともに肌や唇が乾燥する季節になってきましたね。
乾燥を放っておくと皮膚炎を起こして痒くなったり、亀裂が入って痛くなったりすることがあります。そこで心強い味方になってくれる塗り薬がワセリンです。
今回は、乾燥以外にも様々な皮膚トラブルに使えるワセリンについて皮膚科医が解説します!
この記事を書いた医師
Dr.あび
医師
病気やその他あらゆる物事についての誤った情報が多すぎるため、2022/1/1からTwitterで発信を始めました。身近な皮膚トラブルの正しい対処法のほか、どうしたら情報の正しさを見分けることができるかなど、幸せに生きるために必要な知識と考え方を共有できたら嬉しいです。
【目次】
1.皮膚を保護して乾燥を防ぐ『エモリエント』とは?
2.メリットと注意点
皮膚を保護して乾燥を防ぐ『エモリエント』とは?
ワセリンは皮膚に油の膜を張り、水分が皮膚から蒸発しにくくなることで乾燥を防いでくれます。
このタイプの保湿剤は『エモリエント』と呼ばれ、皮膚の保護作用に優れています。
ヒルドイド (ヘパリン類似物質) や尿素配合製剤などの、皮膚に保湿成分を浸透させる『モイスチャライザー』と比べて、保湿力は弱めです (参考文献 1) 。
メリットと注意点
ワセリンの特徴は以下の通りです。
①かぶれにくい
②様々な部位に使える
③安い
④ベタつきがある
⑤光で劣化する
順番に見ていきましょう。
①かぶれにくい
世の中にはたくさんの塗り薬がありますが、どんな塗り薬にも皮膚がかぶれるリスクがあります。その中でもワセリンは特にかぶれにくいという特徴があります。
赤ちゃんからご老人まで誰でも使えるのは良いですね。
ただし、絶対にかぶれないというわけではなく、非常にまれですがワセリンであってもかぶれることがあります。心配な方には『サンホワイト』という製品もあります (参考文献 2) 。 サンホワイトは、ワセリンの不純物をさらに取り除き、純度を高くした薬であり、その安全性の高さも確認されています (参考文献 3,4) 。
②様々な部位に使える
ワセリンは頭から足の先まで様々な部位に使える塗り薬です。
皮膚にはもちろんのこと、唇や爪の保湿にも使えます。
他にも、ちょっとした傷やオムツかぶれの治療、靴擦れの予防にも有効であり、米国皮膚科学会も推奨しています (参考文献 5) 。色々な使い道がある優秀な塗り薬ですね!
唇のケアについてはこちらの記事もご参照ください。
③安い
誰にでも、どこにでも使えるとっても便利なワセリンですが、値段も非常に安く、 500g で700円程です。 500g もあれば相当長持ちします。先述したサンホワイトは純度が高い分、値段も高くなっています。
④ベタつきがある
ワセリンは油からできているため、ベタつきがかなりあります。ベタつきの苦手な方は、『サンホワイトシルキーY-1』が特にオススメです。これは、高純度でありながらベタつきを改善した製剤です (参考文献 3) 。
⑤光で劣化する
ワセリンに太陽光が当たると、劣化して黄色くなり、本来の効果が発揮できなくなったり、かぶれやすくなったりします。光の入る窓際などを避け、暗所で保管するようにしましょう (参考文献 6) 。
このように、ワセリンは誰でも安全に使える便利アイテムです。一家に一個置いておくと、普段使いでもいざという時も役に立つでしょう。
ワセリンを塗っても治らない皮膚症状については、皮膚科でご相談くださいね。
COI
本記事について、開示すべきCOIはありません。
COIの開示基準については、日本内科学会の『医学研究の利益相反(COI)に関する共通指針』に準じています。より詳細はこちらをご覧ください。
参考文献
6:大谷道輝.基剤・剤形から考える皮膚外用薬の選び方.日皮会誌 2022; 132: 447-452
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