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2021.06.25

レモンと梅干し、ミネラルの吸収に良いのはどっち?【管理栄養士がジャッジ Vol.39】

kencom公式:管理栄養士・長有里子

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そろそろ本格的な夏がやってきますね。この季節、体調面で気になるのが熱中症や夏バテです。これらの原因は様々ですが、そのひとつに低栄養が関わっています。

そこで今回は、暑い夏を酸味でさっぱりとさせてくれるレモンと梅干で栄養アップのコツをみてみましょう。

レモンと梅干し、ミネラル吸収にいいのはどっち?

正解は、レモン

レモンや梅干しは、どちらも酸っぱい食べ物の代表です。この酸っぱさは、主に「クエン酸」という酸味成分です。このクエン酸には、唾液や胃液の分泌を促し食欲を増進させる作用があります。

またクエン酸の特徴に「キレート作用」があります。これはミネラルの吸収を高める作用のこと。ミネラルは、吸収されにくい場合や、他の成分によって吸収を妨げられたり、また体内に貯蔵できないものがあるため、キレート作用によって吸収を高めることができます。

熱中症や夏バテの原因のひとつが、暑さで食欲が落ちることでの栄養不足ですが、食生活にクエン酸を取り入れるとスッキリ感を得られるだけでなく、栄養をスムーズに摂りやすくなるというメリットもあるのです。

そしてこのクエン酸を多く含むのが、レモン果汁です。

レモンも梅干しもクエン酸を多く含む代表ではありますが、レモン果汁が6.5g、梅干しが3.4g(どちらも100g中)と、レモン果汁がより多くのクエン酸を含んでいます。(※皮も含めたレモンだと100g中3gになります。)

梅干しは夜食べると良い?

梅干しというと、朝の和定食や日の丸弁当など日中に食べるイメージがあるかもしれませんが、実は夜に食べるのがおすすめです。

それはカルシウムの吸収を高めてくれるため。体内でカルシウムの吸収が高まる時間帯は日中よりも夜です。クエン酸のキレート作用も合わせると、夕食で梅干を食べるのは特に適しているといえるでしょう。

例えば、今が旬のイワシの定番料理に、イワシの梅煮があります。イワシを梅干しと一緒に煮ると臭みがとれる上、クエン酸がイワシの骨のカルシウムを煮汁に溶かし出してくれたりと、理にかなった夕食メニューになります。

レモンスイーツで貧血予防ができる!?

ミネラルの中でも不足しがちな鉄分。特に女性は鉄分が不足しがちな傾向にあります。一日の鉄分の推奨量は10.5mgですが、実際に摂れている量は6.4g(30代女性)とかなり不足しています。

対策としては、鉄分の多い食事を心がける他、梅干しやレモンを食事に取り入れれば鉄分の吸収をアップさせることができます。しかし、上手く料理に取り入れることが難しい方もいるでしょう。その場合は、食後のデザートにレモンスイーツを選ぶというのもひとつの方法です。

レモンゼリー、レモンチーズケーキをはじめ、ドリンクならレモンスカッシュやレモネードなどもあります。もちろん食べすぎはよくないのですが、スイーツでもクエン酸が含まれるものはあります。

ただ、あくまで鉄分の吸収を高める目的なので、食事はしっかりとバランスよく摂った上でレモンスイーツを堪能してくださいね。この夏は、酸味を上手に取り入れて元気に乗り切りましょう!

▼参考文献

・栄養成分バイブル(中村丁次監修/主婦と生活社)

過去の『管理栄養士がジャッジ』はこちらから

著者プロフィール

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■長 有里子(おさ・ゆりこ)
管理栄養士/sazukaru代表。
人気サイト「服部幸應先生の1週間ダイエットレシピ」の監修経歴、食と健康の総合ポータルサイト「イートスマート」立ち上げメンバー。サイトや書籍の栄養監修多数。現在はプレコンセプションケアにも力を入れている。

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