2021.04.21
その名も「不老長寿の茶」!アフリカ原産の人気茶とは【ちょっと茶話#7】
最近緑茶や麦茶といった伝統的なお茶と一緒に並んでいることが増えたお茶といえば「ルイボスティー」です。
美容と健康に良いとテレビなどで言われることが多いのですが、実際にどこで飲まれてきたもので、どんな栄養があるものなのか知っている人は少ないかもしれません。
今回は、そんな新しいお茶、ルイボスティーについて迫ります。
日常的に飲みたい嬉しい効果がいっぱいのルイボスティー
人気のルイボスティーは南アフリカ発祥
そもそもルイボスティーはどこの地域で飲まれてきたものでしょうか。実は南アフリカを中心に飲まれているお茶になります。
「ルイボス」というのはマメ科の低木の松の葉のような針状の葉をもつ植物で、朝夕の温度差が30度以上あり、昼間には強烈な紫外線が降り注ぐ過酷な環境で育ちます。そのために、強い生命力を備えたとも考えられています。
基本的に南アフリカ共和国のケープタウンより北にあるセダルバーグ山脈に囲まれた一帯でしか生産できません。ここはミネラルたっぷりの土壌が広がっており、この地域でのみルイボスの栽培が可能といわれています。
遥か昔から飲まれていたようで、飲まれ始めた起源は不明ですが、日本には1980年代に上陸しました。
ちなみに日本で売られていて目にするルイボスティーは赤茶けた色をしていますが、これは植物の「ルイボス」を摘み取り、発酵させて作ったものです。発酵させていない「グリーンルイボスティー」という、緑色に近い色のルイボスティーもありますが、発酵させずそのまま乾燥させている分、栄養価が高く、また値段も高価です。
現地では「不老長寿のお茶」
ルイボスは活性酸素を除去する働きが高いといわれ、南アフリカでは「不老長寿のお茶」として18世紀ごろから珍重されてきました。
活性酸素は様々な物質を酸化させる非常に強い酸素のことで、殺菌力が強いので身体の中の細菌やウイルスを撃退してくれる半面、増えすぎると正常な細胞や遺伝子を攻撃して、シミやしわ、動脈硬化やがんなど、老化や身体の様々な不調の原因としてあらわれてきます。
紫外線や化学物質、ストレスなどは活性酸素を増やすといわれています。
この活性酸素を素早く分解する「SOD酵素」という酵素が私たちの身体には備わっています。しかし、このSOD酵素は25歳くらいから減り始め、40歳では約半分までに減り、80歳ではほぼ分泌されなくなるといわれています。
こうして自分の持っている酵素で酸化を止めることが出来なくなると、細胞が老化し、病気などの体の不調も顕著になってくるのです。
ルイボスはこの活性酸素を分解する「SOD酸素」に似た働きをする、「SOD様酵素」が豊富に含まれています。
また、ポリフェノールの一種である「フラボノイド」を多く含み、活性酸素をはじめとした有害物質を無害な物質に変える働きがあります。
「活性酸素」はアレルギーの一因でもあるといわれているため、「活性酸素」を除去してくれるルイボスは、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状の軽減も期待できます。
ノンカフェインであるのもルイボスティーが好まれる理由の一つです。
寝る前にも飲めますし、妊娠中の女性や子供など家族全員が気軽に飲めるお茶として世界中で人気が高まっています。
紅茶や緑茶などと比べて「低タンニン」であるので、鉄分の吸収も妨げず、貧血気味の人にも向いています。
飲みやすいのも嬉しいポイント
前述の通り低タンニンであることから、渋みが少なく飲みやすいのも特徴の一つ。
同じような色の紅茶に比べても非常にクセが少なく、ほんのりとした甘味も楽しむことができます。
南アフリカでは他のお茶と同様にミルクとお砂糖を入れるのが一般的ですが、日本ではストレートで飲む方が多いようです。
冷茶にして夏場の麦茶がわりに使うのもおすすめですよ。
ルイボスティーの美味しい飲み方
なかなか馴染みが薄いルイボスティーですが、ちょっとしたことを気をつけるだけでさらに美味しく飲むことができます。
ポイントは煮出す時間。自分で入れる際にはぜひ気をつけてみてください。
材料
水 150ml
ティーバック 1袋
or
茶葉 2.5〜3g
淹れ方(ティーバッグ)
カップにティーバッグを入れて、熱湯を注ぎ2~3分おいておく。
淹れ方(茶葉)
カップ1杯分150mlにつき茶葉を2.5~3g入れて煮だす。
熱湯で5~15分程度煮だすと渋くなりすぎず、香りや成分がよく抽出される。
※ティーバックより、茶葉で煮だしたほうが、よりフラボノイドなどの成分が抽出されるといわれています。
本場風に楽しんだり麦茶のように楽しんだり
ルイボスティーはかなり懐の広いお茶で、様々なアレンジを加えても美味しく飲めるお茶です。
紅茶のようにミルクを入れたり、フルーツを入れても美味しいですし、冷やして麦茶のようにゴクゴクと飲んでもOK。
雰囲気を変えたいときには「グリーンルイボスティー」を淹れると、また一風変わった味わいを楽しめますよ。
りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。