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2021.02.09

簡単に継続できる「貧乏ゆすり」が体にいい理由|毎日ジム通いでマシンに挑んでも長く続かない

東洋経済オンライン

脳の老化と体の老化は密接につながっています(写真:golubovy /PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/409393?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

脳の老化と体の老化は密接につながっています(写真:golubovy /PIXTA)

身体を少し動かしただけで疲労を感じる、姿勢が悪くなるなど、生活の中での身体の違和感は、脳の機能の低下にもつながります。順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊氏が上梓した『脳寿命を延ばす―― 認知症にならない18の方法』を一部抜粋・再構成し、身体も脳の機能も改善させる方法をご紹介します。

身体機能の低下を示すサインには、次のようなものがあります。

●歩くスピードが遅くなった。●早歩きすると足がもつれたり、つまずいたりしやすい。 ●若い頃に比べて、握力が低下した。 ●ふらついて転倒することがある。 ●身体を動かすと、すぐに疲れるようになった。 ●姿勢が悪くなってきた。

1つでも思い当たるなら、すぐに衰えの食い止めにかかるべきです。使われない器官の機能が衰えていくことを、廃用性退化と言います。脳の神経細胞は使わずにいると機能が低下しますし、手足の筋肉や関節も同じ。身体は怠けてしまうのです。筋肉を使わなければ、筋肉から脳へ送られる刺激もありません。

脳に刺激が少ないと、「意・情・知」の働きも低下します。悪循環です。脳の中に沈着するタンパク質アミロイドβは、神経細胞を壊し、アルツハイマー病の原因になります。動物実験では、運動しているネズミほど、脳にアミロイドβが溜まらないと証明されています。

有酸素運動がオススメ

人間にも、同じことが当てはまります。脳の老化防止は、身体の老化防止と同時に進める必要があるのです。

運動は、筋肉や関節の廃用性退化を防止することを第一の目的に行います。したがって、息を止めて身体に強い負荷を一気にかける無酸素運動ではなく、呼吸しながらゆっくり行う有酸素運動がお勧めです。

身体の糖質や脂肪が、酸素と一緒に消費されるからです。50歳代より上の人なら、少し汗をかく程度で週に3回程度、30分くらいずつ行います。 真っ先に鍛えるべき筋肉は、太ももの前側にある大腿四頭筋です。

身体の中でも大きな筋肉なので、使わずにいると基礎代謝が落ちて太りやすくなったり、免疫力が低下する原因になります。ここが弱くなるとひざ関節の曲げ伸ばしがつらくなり、逆に柔らかく保つことができればひざ痛を改善できます。

大腿四頭筋を鍛えるには、相撲の四股やスクワットが適しています。加齢によって関節の可動域も狭くなるので、ストレッチで曲げ伸ばしするといいでしょう。さびかけた機械に潤滑油を注すような効果があります。 大切なのは、きつく感じない程度に留めることです。

運動の必要を痛感して取りかかる人ほど、きついノルマを課しすぎます。毎日ジムに通い、汗だくになりながら何種類ものマシンに挑んでも、長くは続かないものです。

軽すぎては意味がないと思いがちですが、もっと意味がないのはやめてしまうこと。テレビを見ながらできる毎日5分の体操でも、やるとやらないとでは大違いです。達成感より継続を追求すべきなのです。 周りに人がいない環境ならお勧めしたいのが、貧乏ゆすりです。

つま先を支点にした小刻みなひざの上げ下げが、太ももの運動になります。逆にかかとを支点にして、つま先を上げ下げするのもいいです。これなら、テレビを見ながらでもできます。

WHOが発表したおすすめの運動法

散歩を日課にするのもお勧めですが、ちんたら歩くだけでは筋肉への刺激になりません。同じ時間を使うなら、やや速足でじわっと汗をかくくらいの負荷を身体全体にかけ、効果を高めるべきです。

WHOが2010年に発表した「健康のための身体活動に関する国際勧告」は、65歳以上の成人を対象に、次のような運動を勧めています。

1.週あたり150分の中強度有酸素運動、または、週あたり75分の高強度有酸素運動、または、同等の中~高強度の運動を組み合わせた身体活動を行う。

2.有酸素運動は1回につき、少なくとも10分以上続ける。


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3.さらなる健康効果のため、中強度有酸素運動を週300分に増やす。または週150分の身体活動を、高強度の有酸素運動にする。または、同等の中~高強度の身体活動を組み合わせて行う。

4.この年齢群に属する高齢者で運動制限を伴う場合には、バランス能力を向上させ転倒を防ぐための身体活動を週3日以上行う。

5.筋力トレーニングは週2回以上、大筋群を使うトレーニングをする。

6.健康状態によって、高齢者がこれらの推奨する身体活動を実施できない場合は、身体能力や健康状態の許す範囲で可能な限り活動的でいること。

生活の中で、なるべく動く習慣をつけることも必要です。駅のエスカレーターを使わずに階段を上り下りするだけでも、筋肉や関節の萎縮防止になります。

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新井 平伊:順天堂大学医学部名誉教授

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