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2021.02.12

恋にも健康にも!チョコレートの意外な栄養

kencom公式:管理栄養士・磯村優貴恵

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2月が始まり、豆まきが終わったとたんに街はチョコレート一色!
年々チョコレートの種類やそれぞれのお店の特徴が色濃く出ている商品が増えているようにも思います。
甘くてちょっぴりほろ苦い。家事や仕事の息抜きにはもちろん、想いを伝えるときにも大切な役割を担うチョコレート。
今回はそんなチョコレートの意外と知られていない歴史や栄養素について紹介します。

薬や貨幣にも!?チョコレートのふかーい話

そもそもチョコレートって何からできているの?

チョコレートと聞くと茶色くて甘いお菓子、というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
チョコレートはアフリカや中南米、東南アジアなどの熱帯雨林で生育する「カカオ」という植物の実の中にある種を加工して作られます。
カカオの実はラグビーボールのような形をしており、長さは20cmほど。

カカオの実の外側はとても硬い殻に覆われていますが、その殻の中には白い果肉、そして30~40粒の種が入っています。この種を「カカオ豆」と呼びます。
カカオ豆はそのまま食べるのではなく、発酵や乾燥といった過程を経てチョコレートとして使われるようになります。
チョコレートのあの独特の香ばしさは発酵に加えてその後にローストされることによって生まれるのです。

今でこそチョコレートは「甘いお菓子」ですが、カカオは紀元前に古代メキシコで大変高価なものとして扱われていたという記録があります。
当時はカカオ豆をすりつぶした「飲み物」でドロドロとしており、とても苦く飲みにくい物でバニラやチリペッパーのようなスパイスを加えて飲まれていました。
また、飲み物としてだけでなく、貨幣として、薬として、神様への捧げものとして、と用途が多様でした。

その後ヨーロッパやアメリカを経てチョコレートに砂糖やミルク、ココアバター(カカオからとれる脂肪分)が加えられることでより飲みやすいもの、そして食べるものとして進化をとげ、18世紀の終わりに日本に伝わったといわれています。

実は豊富なチョコレートの栄養

チョコレートの原料は主にカカオの種の部分です。
植物にとって「種」というのは子孫を残すためのすべてが詰まった大切なもの。
つまり栄養素も多く含まれています。カカオも例外ではありません。
日本食品成分表2020年・七訂に掲載されている「ミルクチョコレート」の栄養価をみると意外なことにも食物繊維が多く含まれていることがわかります。
その量は100g当たり3.9g。

野菜や果物から摂るイメージが強い食物繊維ですが、実はチョコレートにも含まれているのです。
またその内訳は水溶性食物繊維が1.0g、不溶性の食物繊維が2.9gとなっており、水溶性・不溶性の両方が含まれていることがわかります。

さらにむくみ予防に役立つカリウムが440mg、カルシウムが240mg、鉄が2.4mg、細胞の生まれ変わりに欠かせない亜鉛が1.6mgも含まれているのです。
チョコレートは健康の敵と思われがちですが、これは嬉しい事実ですね。

その他にもチョコレート(カカオ)には「カカオポリフェノール」と呼ばれるポリフェノールの一種が含まれていることが特徴です。
カカオポリフェノールは今も研究が進められている注目の成分ですが、コレステロールの酸化を防ぐことで動脈硬化の予防に効果があると期待されているほか、血圧が高めの方やストレスの抵抗力を高めたい方への助けにもなることが期待されています。
カカオポリフェノールはカカオ成分含有量が多い方が高いため、しっかり摂りたい方はカカオの含有量をチェックし多く含まれているものを選ぶと良いでしょう。

その他にはテオブロミンという成分にも注目が集まっています。
テオブロミンはカカオ豆に含まれる苦み成分のひとつです。
カフェインの仲間であり、大脳を刺激して集中力アップが期待できるほか、自律神経を調節することでリラックス効果も期待できるとされています。

チョコレートって肌荒れ・肥満のもと?

チョコレートは美味しい反面、美容やダイエットの敵だと思っている方も多いのではないでしょうか。
チョコレートには上記のように身体にとって嬉しい栄養素や成分が含まれていますが、美容やダイエットの敵だと思われる原因は「脂質」や「糖質」にあります。

苦くて飲みづらかったカカオを今のように美味しく食べられるようになったのはやはり砂糖やミルク、その他添加物を加えたからです。
脂質や糖質を摂りすぎると肥満や肌荒れにつながりますし、口腔ケアを怠ると虫歯の原因にもなります。
また、前述の通りカカオ豆自体にもエネルギーや脂質は多く含まれるものなので「食べすぎ」は危険です。

チョコレートのみならず、どんな食品も質の良いものを適量食べること、そしてチョコレートを間食として楽しむためには食事の邪魔にならない量でとどめることがポイントです。
より健康を意識するのであればカカオ成分の含有量が多い物、さらには添加物が少ないものを選ぶと良いでしょう。

意外と豊富!チョコの楽しみ方

チョコレートはそのまま食べられるという手軽さもありますが、最近では産地別の味わいを楽しめるものもあります。
育った環境が違うカカオは酸味やコク、苦みや風味などの違いもありますので、お好みのものを見つけるのも贅沢な楽しみ方だと思います。

また、高カカオチョコレートを刻んで温かい牛乳と合わせるだけで簡単に手作りホットチョコレートを作ることができます。

その他にも湯せんで溶かした高カカオチョコレートをバナナやいちごにつけるとフルーツの甘みとチョコレートの苦みのコントラストを楽しむことができるデザートになります。

栄養価を考えるなら高カカオのものがおすすめ

今はチョコレートも種類が多く選ぶことができる時代です。
ぜひ、添加物が少なくカカオを贅沢に使った高カカオチョコレートでいつもよりワンランク上のチョコレート生活を楽しんでみてはいかがでしょうか。

磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)

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大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。