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2021.02.01

夫婦に「ソーシャルディスタンス」が必要な理由|「永久在宅ワーク」で家庭内で気をつけるべき事

東洋経済オンライン

夫婦が一緒にいる時間が増えることで、見て見ぬふりをしてきた問題が顕在化しているという人もいるかもしれません(写真:cba/PIXTA)

参照元:https://toyokeizai.net/articles/-/407123?utm_source=deschl&utm_medium=http&utm_campaign=link_back&utm_content=article

夫婦が一緒にいる時間が増えることで、見て見ぬふりをしてきた問題が顕在化しているという人もいるかもしれません(写真:cba/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

この1年、在宅ワークが増え、出張や飲み会が減り、夫婦が共に過ごす時間が増えてきている方が多いかと思います。相談業務の中でも、徐々に増えているのが、「夫が永久在宅ワークになった」というもの。とりあえず今を乗り切る体制ではなく、今後ずっと在宅ワークが基本で、必要に応じてのみ出社という形をとる組織も増えてきた実感です。

そうでなくとも、今後、働き方は多様化し、決して「今」だけの問題ではなく、「今後」は、今までどおりでは決してありません。これからの夫婦のあり方を考えていく岐路ともいえるでしょう。それぞれ夫婦の形はあると思いますが、よりよい関係性を目指すヒントをお伝えしたいと思います。

夫婦といえども伝えなければわからない

お互いに抱えていた不満も、一緒にいない時間が多いからこそ、何とかやりくりできていたものの、一緒にいる時間が増え、見て見ぬふりをしてきた部分が顕在化し、避けて通れない問題となっている場合は、現状が厳しくなっていることと思います。



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しかし、反面、夫婦関係がよくなったという意見も多いのです。

新型コロナウイルス流行前と比べて、夫婦間でコミュニケーションをとる時間が「増えた(とても増えた・やや増えたの合計)」と回答した人は49.4%、「変化なし」が49%、「減った」と回答した人は1.5%しかいませんでした(ソニー損保「家族と安心に関する調査」より)。

職場も家庭も同じなのですが、同じ環境下にいたり、一緒に過ごす時間が増えてくると「言わなくてもわかる」と勘違いしがちです。また、その思いが強いと、わかってもらえない相手に対して「なぜわからないんだ」と怒りさえ覚えてしまうのです。これはわがままでしかありません。また、「どうせ言ってもわかってもらえない」と諦めているケースもあります。

カウンセリングの場面でもありがちなのですが、不平不満をたくさん訴えてくる相談者に対し、そのことを相手に伝えたことがあるかと問うと、「伝えてません。言ったところでどうしようもないから」という言葉が返ってくることは非常に多いのです。以心伝心という言葉はありますが、残念ながら幻想です。夫婦といえども伝えなければわからないのです。そういう意味でも、コミュニケーションをとる時間が増えたことはよい傾向かと思います。

そのときには、「察しろ」ではなく、具体的に「こうしてほしい」「こう思っている」と明確に理解できるやり取りをする必要があります。「もうちょっと何とかならない?」ではダメなのです。

また、双方が居心地悪く、怒りや不満を抱えやすい背景には、知らず知らずに主従関係になってしまっていることがあります。夫(妻)との関係が対等ではなく、精神的なパワーバランスが偏っているケースです。

例えば、服装・髪型・持ち物・友人・仕事などに関して、自分1人で決めている割合が多ければ問題ないですが、いちいち口出しされると、1人で決めることに罪悪感を覚えるようになります。無意識に、意向をうかがうようになったり、自分ではこうしたいのだが、夫(妻)が反対するだろうなと自分の意思ではないところで決定を下していくと、だんだんと自分自身がなくなり、自己肯定感が下がってきます。

このスパイラルに入り込むと、ますます自信がなくなり、1人で何かを決めることができなくなり、つねに相手の意向に振り回される服従のような関係性ができます。長い時間をかけて少しずつ浸食されるので、気づかないうちにこのような関係性になることは珍しいことではありません。

相手の意向をきちんと把握することが大切

愛情は、相手に全面的に合わせることではありません。お互いに価値観を持ちつつも折り合いをつけていくといったプロセスが大切なのです。

折り合いをつける際も「きっとこうだろう」という思い込みではなく、相手の意向をきちんと把握することが大切です。

前段でも触れた調査の結果によると、コロナ禍以降の「夫婦の距離感」についての設問では、夫は「一緒にいたい(つねに一緒にいたい・できる限り一緒にいたい、の合計)」との回答が56.2%と一緒にいたい人が過半数を占めたが、妻は「一定時間は離れていたい(53%)」が過半数となった、とあります。夫の育休の相談でもありがちなのですが、夫は一緒に子育て体験をしたい、妻は夫が子どもの世話をしてくれる時間に1人になりたいという意向が強く、そのギャップに悩む事例が非常に多く寄せられます。

もちろん、個人差はありますが、一緒の時間が増えたからこそ、お互いの時間も大切にしていく必要があると思います。メンタルケアの基本は、誰かと共有できる時間と、誰とも関わらない1人の時間の両方が必要です。

夫婦の間でも、心地よいソーシャルディスタンスに取り組み、試行錯誤を繰り返しながら、お互いが納得できる距離感を模索していただければと思います。夫婦の絆が深まりますように。

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大野 萌子:日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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