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2021.01.28

「孫への教育費贈与」で税金をタダにするコツ|2021年4月以降は要件厳格化に注意が必要だ

東洋経済オンライン

2013年に創設された「教育資金贈与の優遇税制」。相続税が節税できるうえに、子どもや孫からも感謝もされる。大いに活用したいが、注意すべきこととは?(写真:よっし/PIXTA)

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2013年に創設された「教育資金贈与の優遇税制」。相続税が節税できるうえに、子どもや孫からも感謝もされる。大いに活用したいが、注意すべきこととは?(写真:よっし/PIXTA)

コロナ禍で収入が減った人、今後の収入に不安を感じている人も少なくないでしょう。一方で、子どもの教育費は下がらず、しかも、待ったなし。そこで可能な範囲でお願いしたいのが、祖父母(つまり自分の親)から孫への教育費の贈与です。

祖父母から孫へ、1500万円まで、非課税で贈与してもらうことができます。さらに、結婚や子育て費用に使うお金も、1000万円まで非課税で贈与を受けることができます。今回は、こうした贈与の活用法についてお話ししましょう。教育資金の贈与については、制度の延長が決まったものの、内容が厳格化しており、また結婚や子育て費用の贈与は今年3月末までの措置なので、いずれも早めの手続きが賢明です。

「30歳未満の孫」へ1500万円まで非課税で贈与可能

まずは教育費の贈与についてみていきましょう。

祖父母と孫といった関係であっても、年間110万円を超える贈与を受けると贈与税がかかります。例えば1000万円の贈与を受けると、贈与税は275万円、1500万円では500万円にも上ります。しかし「教育資金の一括贈与」という制度を利用すると、祖父母から孫への贈与が1500万円まで非課税になります。

贈与を受けるのは30歳未満の人で、「学校等に支払われる教育費」なら最大1500万円、「学校等以外に支払われる教育費」では、最大500万円が非課税となります。

「学校等」には幼稚園、小・中学校、高校、大学や、特別支援学校、高等専門学校、大学院、専修学校、認定こども園、保育所のほか、海外の学校(その国の学校教育制度に位置づけられている学校)、国内のインターナショナルスクールや外国人学校なども含まれます。非課税になるのは、それらの授業料や保育料、入学金、学用品費、修学旅行費、学校給食費などに使った場合です。

学校等以外に支払われる教育費としては、学校等以外に対して直接支払われる金銭のうち、教育を受けるために支払われるものとして社会通念上相当と認められるものです。例えば、学習塾等の教育に関する役務の提供の対価や施設の使用料、スポーツや文化芸術に関する活動にかかる指導への対価、これらに使用する物品の購入費などが教育資金の対象に含まれます。

制度を利用するには、信託銀行などの金融機関と教育資金管理契約を結び、贈与された資金を信託します。資金を教育費として使う際には、非課税の対象なる教育費であることを証明する領収書などを提出します。

「教育費を支援してもらうと贈与税がかかるの?」と、疑問を持つ人もいるでしょう。実は祖父母から教育費をその都度贈与してもらう場合、基本的には贈与税はかかりません。では、こうした制度を利用するメリットは何でしょうか。それは、「今、必要な教育費」だけではなく、「将来、必要になる教育費を、先に、まとめてもらっておける」ということです。

私立の中学・高校に進学する場合や、大学進学などではお金がかかることがわかっていますから、「そのときには資金を援助してあげたい」と考えている祖父母もいるでしょう。しかし、実際にお金が必要になるときに、祖父母が健在とは限りません。認知機能が衰えれば、お金を動かすのにも支障があります。そうなれば、祖父母の思いが実現しない(孫はもらえるはずのお金がもらえない)といったことにもなりかねないのです。

祖父母が死亡した場合には、贈与してもらえるはずだった資金を、相続という形で受け取る、という方法もあります。しかし、その場合は相続税の対象となります。

制度を利用して、元気なうちに一括贈与を受けておけば、祖父母の好意を確実に受けることができる。そして、贈与税の負担もなく、相続税に影響することも避けられる、というわけです。こうしたことを踏まえると、制度を利用して渡せるものは先に渡しておく、もらえるものは先にもらっておく、という対策にも一定のメリットがあるわけです。

30歳までに使い切れない贈与は課税対象に

では、教育資金の贈与をする場合の注意点をみていきましょう。

まず、非課税になるのは教育資金として使った場合のみで、ほかの用途で利用した場合には、贈与税が課せられます。また制度を利用できるのは受贈者が30歳までの期間で、30歳時点で贈与された資金が使い切れずに余ってしまった場合、残った分には贈与税が課税されます。

もう1つ、2019年度以降の贈与で注意したいのは、信託期間中(資金を託している期間中)に贈与を行った祖父母等(贈与者)が亡くなった場合についてです。

贈与者が亡くなった時点で贈与されたお金が残っていても、贈与から3年を経過していれば相続税の心配はありません。①受贈者(贈与を受けた人)が23歳未満、②学校に在学中、③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合も、同様です。

しかし、前述の①~③にあたらず、相続開始前3年以内に贈与されたお金で残っている分については相続税の課税対象となります。

また、金融機関に教育費の領収書を提出する必要があるなど、手続きは煩雑ともいえます。前述のとおり、教育費のために都度、資金を援助することについては贈与税がかかりませんし、年間110万円までならそもそも贈与税はかかりません。

そう考えると、祖父母が元気で長生きしてくれた場合などは、普通に援助してもらったほうが楽だった、ということもありえます。先々のことはわからないのでデメリットを理解したうえで一括贈与を受けるか、検討することが大切です。

2021年4月から贈与の適用要件が厳格化される

「教育資金贈与の特例」は2013~2019年3月31日までの期限付きでスタートした後、2年延長され、2021年3月31日までとなりました。さらに、税制大綱により、2023年3月末まで2年延長されることになりました。

ただし、2021年4月以降の贈与については、内容が一部厳格化されます。

従来は、祖父母が亡くなった時点で贈与された資金が残っていた場合、相続税がかかるのは贈与を受けてから3年未満のケースでした。しかし改正後は、死亡までの年数にかかわらず、前述の①~③に当たらない場合は相続税の課税対象になります。

さらに受贈者が子以外の場合には、相続税が2割加算されます。祖父母が死亡した際に子がいれば、子が相続人であり、孫が相続する場合は「遺贈」という形になり、相続税が2割加算されます。2021年3月までに贈与を受けた分について2割加算は適用されませんが、4月以降の贈与については2割増が適用されることになるのです。

こうしたことを考えると、できれば2021年3月末までに手続きするのが賢明かもしれません。

教育費のほかに、結婚や子育て費用の贈与にも非課税制度があります。

「結婚・子育て資金の一括贈与」です。こちらは、結婚資金や子育て資金などに使う資金を、祖父母や親から20歳以上50歳未満の子や孫に贈与した際に、最大1000万円までが非課税になる制度です。

結婚資金の贈与は300万円、出産・子育て資金を含めると1000万円までとなります。結婚式の費用、引っ越し費用、新居の賃料、出産費用、子どもの病院費用、保育料など。結婚相談所やお見合い、婚活、合コンといった出会いに関する費用、新居の家具家電、ベビー用品などは対象になりません。こちらも、領収書が必要です。

死亡した時点で残っている額は相続財産に加えられますが、教育資金の一括贈与と同じように、遺贈であっても2割増しのルールは適用されません。

この制度については延長されず、信託できるのは、2021年3月31日までです。

金融資産が多いと、相続税の負担も大きくなりますから、こうした制度を使って資産を若い世代に移転することには、祖父母にとっても意味のあることだと思います。

ただし、お願いしていいのは、あくまでも「経済的に余裕があれば」「無理のない金額で」です。余裕資金が減って不安になるようなことは避けるべきですし、ほかの兄弟から不満が出ないかなども、きちんと考えましょう。

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井戸 美枝:CFP®、社会保険労務士

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