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2021.01.08

腰痛や痺れも……誰しもがなる可能性を秘めた腰椎椎間板ヘルニアとは【腰椎椎間板ヘルニア・前編】

kencom公式ライター:黒田創

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腰痛に関係する病気として耳にすることが多いヘルニア。実は腰痛の中でも発症する頻度が高いのが腰椎椎間板ヘルニアです。
ひどい場合は、ギックリ腰と同じく、重い荷物を持ち上げるなどの拍子に立っていられないような痛みが突然襲ってくるといいます。20~30代の若い方から40代の働き盛り世代まで、特に男性に多いとされるこの病気は、どのような原因と症状があるのでしょうか。

整形外科医として長年の治療経験を持ち、運動療法にも力を入れている東京・中央区のリバーシティすずき整形外科院長、鈴木秀彦先生に伺いました。

鈴木 秀彦(すずき・ひでひこ)先生

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1993年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。東京慈恵会医科大学、国立療養所東宇都宮病院勤務などを経て米国留学。その後東京都職員共済組合青山病院、国立病院機構西埼玉中央病院で整形外科医長、東京慈恵会医科大学整形外科学講座医局長を務める。2015年リバーシティすずき整形外科を開院。22年間の大学での臨床経験を足掛かりに、よき「街のかかりつけ医」を目指す。

腰の痛みや下肢の痺れの原因にも「椎間板ヘルニア」とはどんな病気なのか

ヘルニアとはより幅広い概念

ヘルニアと聞くと、皆さん腰や首などに痛みの出る病気と思われるようですが、本来はある組織に何らかの理由で亀裂が入り、そこから中身が飛び出してしまう疾患全体を指します。
その中でも、第4腰椎と第5腰椎の間にある椎間板に亀裂が入り、内部の髄核が飛び出している状態、これが最も多いとされる腰椎椎間板ヘルニアです。
最中を上下から指でギュッと押すと、際から中のアンコがニューッと飛び出してきますよね。あれをイメージして頂けるとわかりやすいと思います。

さらにこのとき、飛び出した椎間板の一部が隣接する神経根を圧迫することで、腰や脚など下半身に激しい痛みや痺れといった症状を起こすことが多いのです。
この症状は坐骨神経痛と呼ばれますが、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

腰椎椎間板ヘルニアで代表的な症状がこの坐骨神経痛と腰痛なのです。

ハードワークや姿勢の悪さが招くことも

椎間板に亀裂が入ってしまう大きな要因として、椎間板が変性(退行性変化)することが第一に挙げられます。
一般的に椎間板の変性は成長期を終えた20歳前後から始まります。ただでさえ変性によって傷つきやすい状態にある椎間板に、ハードワークなどで大きな負荷がかかると、亀裂が入りやすくなってしまいます。
だから若い男性でも、一日中前屈姿勢で過ごすような肉体労働を長期間続けるなどした結果、腰椎椎間板ヘルニアに罹るケースが少なくないのです。

男女比は だいたい 3: 1くらいとされており、その中でも 20〜 40歳代で発症することが多いようです。

無理な姿勢を取り続けなくても、日常生活で腰にかかる負荷も腰椎椎間板ヘルニアの原因になり得ます。
腰周りの椎間板にはただ座るだけ、立ったまま前屈みになるといった、無意識のうちに行っている何気ない動作でも実はかなりの圧がかかっていて、その積み重ねが密かにダメージを与えていたりするのです。
つまり、一日中座りっぱなしのデスクワークも良くないことがわかります。さらには体重増加も腰椎椎間板にじわじわと負荷をかけていきますので、ヘルニアのリスクを高めてしまいます。

また、生まれつき骨の形状的に椎間板に負荷がかかりやすい、つまり遺伝が原因で罹ってしまう場合もあります。

ヘルニアから坐骨神経痛を発症することも

腰椎椎間板ヘルニアの症状で代表的なのは、腰や臀部の痛みをはじめ、坐骨神経痛とも言われる足の痛みやしびれといったあたりでしょうか。ひどい場合はギックリ腰のように身動きもとれなくなったりします。
前屈みになったり、椅子に座ったりした場合に痛みやしびれが生じるのが特徴です。最初は大したことがなくても、放っておくと神経の圧迫が進み、歩行が困難になるくらい脚の痛みやしびれが強くなるといった症状が出ることも。
痛みやしびれが出た段階で、我慢せず早急に整形外科で受診することをおすすめします。

誰しもが罹る可能性!椎間板ヘルニアはどう防ぐ?どう治す?

働き盛りの方誰しもが罹る可能性のある腰椎椎間板ヘルニア。今回はその原因と症状についてご説明しました。
次回は治療と予防策について詳しく述べようと思います。

■腰椎間板ヘルニアの治療法・予防法はこちらの記事で

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆中。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。

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