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2020.12.30

つらい五十肩はどう治す?どう防ぐ?基本の治療をおさえる【五十肩入門・後編】

kencom公式ライター:黒田創

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40~50代になると苦しむ人が増える五十肩。正式には肩関節周囲炎と呼ばれるこの症状は、程度の差こそあれ、使う機会の多い肩や腕に痛みを生じさせたり、可動範囲を狭めるなど日常生活に大きく影響してしまいます。
多くの人が悩むとはいえ、「加齢」以外によく原因がわかっていない五十肩。ゆえに発症しても「もう年だしね」とあきらめがちですが、生活に支障をきたすなら早めに対処するに越したことはありません。

後編では診察や治療、予防策について、整形外科医として長年の治療経験を持ち、運動療法にも力を入れている東京・中央区のリバーシティすずき整形外科院長、鈴木秀彦先生に伺いました。

■五十肩とはなんなのか?基本のキを知るならこちらから

軽い運動がカギ!五十肩の治療法

自分の肩の状態を知るために診断を受けるべし

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五十肩は身体の構造を熟知している整形外科医に診断を仰ぐことをおすすめします。中には「いずれ治るだろう」と我慢する方もおられると思いますが、症状が悪化して来院されると、治療に長い期間を要する場合があります。
早めに診察に来ていただければ、その分早く楽になる可能性が高いのです。

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診断する際は、患者さんの痛みの有無や痛みの出ている場所、腕や肩の動きをチェックし、必要に応じてエコーやレントゲンを使い状態を診ます。

具体的には、腱の断裂の有無や肩関節の変形、内臓に起因する痛み、また、石灰沈着性腱板炎などの他の病気が隠れていないかをチェックします。
前回の記事も述べたように、五十肩と混同しやすい病気は少なくないので医療機器を使い細かく調べる必要があるのです。

まずは痛み対策から

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五十肩(肩関節周囲炎)と診断されたら、まずは肩関節の痛みを治める治療を行います。
痛みが強い炎症期においては、炎症を抑える内服薬(消炎鎮痛薬)や湿布を処方したり、場合によっては痛み止めやヒアルロン酸注射をすることもあります。

痛みが引いた後は運動療法へ

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それらの治療で痛みがある程度治まってきたら、リハビリとして運動療法に移行します。
痛みがある間は用心して肩を動かさないでいるため、周囲の筋肉や靭帯などが硬くなり、肩関節自体の動きが悪くなっている可能性があります。
さらには、痛みが治まっても肩や腕を動かすことに躊躇してしまい、さらに肩周りの動きを悪くするパターンが多いのです。
これでは悪循環ですよね。そのため、私どものクリニックでは特に運動療法を重視しているのです。

運動療法のやり方はさまざまですが、ストレッチや、周囲の癒着を剥離して肩甲帯の可動性を高める徒手的な手法が基本です。
こうして肩関節の緊張をほぐし、無理のない範囲で関節の可動域を広げていくと、結果的に回復が早まると考えられます。運動療法直前に注射を併用したり、さらに体外衝撃波治療や温熱療法を取り入れることもあります。

予防のカギは日本人メジャーリーガーの準備体操

寒さも五十肩を招く一因?

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五十肩は40~50代の方がなりやすいという以外、特に傾向のようなものはありません。
私どものクリニックの場合、比較的中年女性が多いですが、男女どちらがなりやすいといったこともないでしょう。左右差も然りです。
ただし、ひとつ言えるのは、寒い時期に五十肩を訴える方が増えるということ。

秋冬だから五十肩になりやすい、とは断言できませんが、暖かい時期よりは寒い時期の方が肩周りの組織が固まりやすいのは事実です。夏場に比べて身体を動かす機会が減ることで全身、ひいては肩周りの血流が悪くなり、肩関節周囲炎を引き起こすことは十分考えられます。
秋冬はもちろん、年間を通じて日常的に上半身の筋肉を動かすようにしたり、肩を冷やさないよう洋服などで調整するといいでしょう。

運動は軽めのラジオ体操やマエケン体操で

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運動については、決して激しい動きをする必要はありません。
年齢を経ると、思った以上に腕を大きく振り上げたり回したりする機会が減りますし、現代の家の構造上、あまり腕を伸ばして高い位置の物を取ることもないと考えられます。

肩を動かさないことで五十肩のリスクが増えてしまいますから、毎日ラジオ体操をやったり、肘を交互に大きく回す「マエケン体操」を習慣化し、常に肩関節を柔らかくしておくことをおすすめします。

誰でもなり得るものだからこそしっかりと対策と受診を!

五十肩について述べてきましたが、いかがだったでしょうか。
五十肩は誰にでも起こりえる症状ですし、そう診察されても恐れる必要はありませんが、それで日常生活が不自由になるのが困りもの。まずはしっかりと予防に勤しみましょう。

また、繰り返しになりますが、おかしいな?と感じたり、肩の痛みが生活に支障をきたすようになったら決して我慢せず、まずは整形外科を受診してみてください。

鈴木 秀彦(すずき・ひでひこ)先生

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1993年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。東京慈恵会医科大学、国立療養所東宇都宮病院勤務などを経て米国留学。その後東京都職員共済組合青山病院、国立病院機構西埼玉中央病院で整形外科医長、東京慈恵会医科大学整形外科学講座医局長を務める。2015年リバーシティすずき整形外科を開院。22年間の大学での臨床経験を足掛かりに、よき「街のかかりつけ医」を目指す。

著者プロフィール

■黒田創(くろだ・そう)
フリーライター。2005年から雑誌『ターザン』に執筆中。ほか野球系メディアや健康系ムックの執筆などにも携わる。フルマラソン完走5回。ベストタイムは4時間20分。