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2020.11.25

「コロナうつ」から心を守るために意識したい3つのポイント【コロナうつ・後編】

kencom公式ライター:松本まや

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「withコロナ」が謳われるようになり、新型コロナウイルス感染症との戦いはいまだに出口が見えない状態が続いています。以前とは働き方やコミュニケーションの形がすっかり変わった中で、「コロナうつ」に陥らないためには、どのように自身の心を守っていくべきなのでしょうか。

前編に続き、順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学 大沼徹先任准教授に解説いただきました。

コロナうつ、予防のための3つのポイント

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コロナうつを予防するためには、新型コロナウイルス感染症が流行する前の生活に少しでも近づけることを意識しましょう。
特に大事なのが、①コミュニケーションを取り戻すこと、②時間と場所のオンとオフを切り替えること、③運動不足を解消すること、の3つです。

ストレスがかかりやすい職場でのコミュニケーション対策は必須

対面での会話の機会が失われ、これまでは少し声をかければよかったようなことでも、電話やチャットをしなければいけなくなったり、一人暮らしの人は誰とも話さないまま1日が過ぎてしまったりと、コミュニケーションの機会が減ったことの影響は多方面に表れています。

このような事態が今後も続く可能性も見すえ、数人集まってオンラインで話す機会を定期的に設ける習慣を付けておくことは大事でしょう。

15分オンライン会議のススメ

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職場でおすすめなのは、15分程度の短時間のオンライン会議。リモートワークで上司が部下の様子を知る機会が限定的になってしまっている中、15分であれば気軽に話すことができますよね。一度きりではなく継続することが大事なので、次の機会にハードルが上がってしまうことのないよう長く話しすぎず、時間内に切り上げることがポイントです。
部下と話すのであれば、心理的な負担感を和らげるため、なるべく距離の近い上司や先輩に担当してもらうことも考えられます。

新入社員や異動者へはいつも以上に配慮を

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日本で入社や異動の季節にあたる4月ごろは自粛要請のピークでした。新入社員の中には入社後、同期や同僚と対面する機会が少ないまま、リモートワークで社会人生活をスタートした人も多くいます。勝手の分からない中で、関係性の希薄な相手に電話やチャットで質問をするのはハードルが高く感じられたでしょう。ただでさえ環境変化が大きくストレスを感じやすい時期に、特に高ストレス状態であったと言えます。

そのため、感染状況が落ち着いたら短い時間で対面ミーティングを行ったり、オンラインでの雑談時間を増やすなど、受け入れるための工夫をした方がいいでしょう。

在宅勤務は時間と場所の切り替えも意識して

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在宅勤務をしているとついオンとオフの境目があいまいになりがちですが、日々の生活や休日など、これまで通りの切り替えを意識することも大切です。

一人暮らしの方に注意していただきたいのが、ワンルームで仕事をしているケースです。デスクを置く場所がないからと、ベッドの上を仕事場にしているとリラックスする場所がなくなり、自分の部屋にいながらにして心理的ストレスがかかり続けてしまいます。

できる限り仕事スペースをつくるなどして、オフの場所と分けるようにしましょう。

運動不足解消に、目標は1日30分程度身体を動かそう

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「コロナ太り」を心配される人も多いように、在宅勤務だと通勤がなくなり、気付けばほとんど歩いていないような日もありますよね。

少し意識して、1日30分程度運動することを目指してみましょう。夕飯前の時間帯の筋トレは、「ゴールデンタイム」と言われ、効果が出やすいのでおすすめです。

番外:認知行動療法も効果的

コロナうつ対策として、ものの考え方や受け取り方に働きかけて、気持ちを楽にする認知行動療法を身に着け、不安感やストレスとうまく付き合っていくことも有効です。つい物事を悲観的に考えがちな人は、知らず知らずのうちに自らを追い込んでしまっているかもしれません。
認知行動療法では、そうした思考の癖を見直し、ストレスに上手に対応できるよう心の状態を保つことを目指します。

なかなか状態が改善しない際に、病院にかかる目安は?

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前編に記載の通り、コロナうつは具体的な経済的不安によって引き起こされることも多く、上記のことに気を付けていても、つらくなってしまうことがあるかもしれません。そんな時には、早めに専門家の力を借りる必要があります。病院に行く目安は、コロナうつ以外のうつ病と同様ですが、大きく2つあります。

まずは、自身で「つらい」と感じたとき。現代社会では、日々の生活であっても、ギリギリの状態で頑張っているということがよくあります。そんな中で自身でも耐えがたくつらいと感じるようであれば、治療が必要なサインかもしれません。

もうひとつは、家族や同僚などが客観的な変化に気が付き、診察を勧められたとき。抑うつ状態やうつ病になると、遅刻や欠勤が常習化したり、ミスを繰り返すようになったりと行動に変化が現れます。自分では頑張りすぎていて気付かないこともあるので、他人に指摘されたら、受診を検討してみてください。

うつ病は追いつめられると重症化し、命に関わることもある病気です。特に誰もが普段以上にストレスを感じやすい今、「何かおかしい」と思ったら軽視せず、医師に相談しましょう。

慣れないコロナ禍の暮らし。適度な休息と、辛い時には医師への相談も

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コロナ禍ではこれまで当たり前に出てきたことに制限がかかり、無意識のうちにストレスをためてしまいがちです。
三密の回避などの制限はあるものの、「コミュニケーション」「オンとオフの切り替え」「運動」のポイントを押さえた生活習慣を実践していきましょう。

それでも精神的な辛さを感じるようであれば医療機関を頼るようにしましょう。

心も身体も無理をせず、コロナ禍を乗り越えたいものですね。

大沼徹(おおぬま・とおる)先生

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順天堂大学大学院 医学研究科 精神・行動科学 先任准教授
平成2年順天堂大学医学部卒業。同年、順天堂大学医学部附属・精神神経科に入局。臨床業務に勤しみながら、統合失調症を中心に神経生物学的研究を継続して行っている。平成8年に英国ケンブリッジ・ベイブラハム研究所・神経生物学部門に留学し、帰国後も一般臨床、医学生の教育、研究を行っている。専門領域は精神医学全般、産業精神医学、臨床精神薬理学、遺伝学、神経生物学と幅広い。平成23年より現職。

著者プロフィール

■松本まや(まつもと・まや)
フリージャーナリスト。2016年から共同通信社で記者として活躍。社会記事を中心に、地方の政治や経済を取材。2018年よりフリーに転身し、医療記事などを執筆中。

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