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2020.11.09

早めの対策で冷えとサヨナラ!身体をあたためる食材を知って「温活」しよう

kencom公式:管理栄養士・前田 量子

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これから寒くなり、冷えが辛くなる季節に入りますね。冷え性には多くの方が悩んでいます。

今回はそんな方におすすめの、身体を温めてくれる食材をお伝えします。身体を温め『冷え』を和らげてくれる食材や栄養、調理法を取り入れて、冷え性改善を目指しましょう!

『冷え』って何?どうして起こるの?3つの原因とは?

冷え性は身体の一部、または全身に冷えがあり、それを辛く感じる状態をいいます。特に女性に多く、日本人の約半数以上が冷え性とされるデータもあります。では冷えはどうして起こるのでしょうか。考えられる原因が「食事」「筋肉」「血流」です。

その1:食事

まず食事からくる冷えの原因は「ダイエット」が多く、食事の量を減らしすぎると身体はカロリーを節約しようとします。

すると、身体を温めるのは最低限にしようとするので、熱のもとが不足し、冷えを招きます。偏食も良くありません。カロリーばかり摂っても代謝してくれるビタミンが足りないと熱産生が上手く行われず、カロリーは足りているのに冷えてしまう…ということがおこります。

そして、身体を冷やす食べ物ばかりも良くありません。冷たいジュースやサラダなどは、物理的に身体を冷やしてしまいます。逆に温かいスープや鍋は、食べるだけでも身体がポカポカ温まりますよね。そのため温かいものをとるように心がけましょう。

また、トマトやキュウリ、ナスなどの夏野菜も身体を冷やす作用があると言われています。冬が旬の食べ物は身体を温めてくれると言われているので、寒い冬に旬を迎えるものをとるようにし栄養バランスの良い食事を心がけましょう。

その2:筋肉

では「熱」はどのようして生まれるのでしょうか。

熱は摂った栄養を代謝するときに生まれるため、活発にカロリーを代謝していれば自然と発生されます。脳や臓器などでもカロリーは多く消費されますが、意識して熱を増やせるのは『筋肉』です。身体を温めるため、熱を作る大きな役割を担っており、運動して筋肉が動くときにも熱が生まれます。

筋肉量が多いと必然と消費されるカロリーも増えるため、結果、冷え性も改善されるというわけです。特別に鍛える必要はありませんが「エレベーターを使わずに階段を使う」「一駅分歩いてみる」など普段から無理なく自然と筋肉をつけることが大切です。

その3:血流

もうひとつ重要なのが「血流」です。

血流が滞ってしまうと、摂った栄養を身体の細胞に運ぶことができません。また、代謝に不可欠な酸素も十分にいきわたらないため、代謝がうまくいかず、熱が作られない…という悪循環に陥ります。また、発生した熱を運んでくれるのも血液なのです。普段から血流を良くすることも、冷えを防ぐ大切なポイントです。

冷え対策のために積極的にとりたい食べ物は?

これらを踏まえて、身体を温めてくれる性質が強い食べ物と栄養について紹介します。

■生姜
ジンゲロールという成分が多く含まれています。ジンゲロールは末梢血管を拡張させてくれることにより、手足を温めてくれる効果が期待されています。ジンゲロールは加熱されるとショウガオールという物質に変化。ショウガオールは胃腸の働きをよくし、血行を促進することで身体の中から温めてくれるとされています。そのため、生より加熱してとるのが良いでしょう。

■にんにく
アリシンとスコジルニンという成分が含まれています。アリシンはにんにく特有の香りの成分で、血管を拡張し血流を良くしてくれると言われています。またスコジルニンには新陳代謝を高めるとともに血流促進効果があると言われています。しかし、胃腸への刺激もある食べ物なので、大量にとるよりも普段からコツコツととることをおすすめします。

■ネギ・玉ねぎ
ネギ・玉ねぎにも、にんにくに含まれる有効成分アリシンが含まれています。アリシンは血管拡張し血液の流れをスムーズにし、身体の中から温めてくれるとされています。

■根菜
冬に旬を迎える地中で可食部が育つ根菜は、東洋医学的な考えでは身体を温める作用があるとされています。人参は抗酸化作用が高く、粘膜を強くしてくれる栄養素ビタミンAを多く含みます。ゴボウはポリフェノールが豊富なため抗酸化作用があり、血管の修復から身体を温めることが期待できます。

■羊肉
羊肉にはたんぱく質をはじめ鉄分、ビタミンB1・B2、カルニチンなどが豊富に含まれています。たんぱく質は、身体の熱を作るのに重要な筋肉を構成する成分。ビタミンB1は炭水化物の代謝に、B2は三大栄養素(糖質・脂質・たんぱく質)の代謝に欠かせない栄養素です。またカルニチンは、脂質の代謝をスムーズにしてくれる役割を担っており、鉄は血液を作るのに欠かせない栄養素なため、総合して優秀と言えるのです。

■牛肉
牛肉にも豊富なたんぱく質、鉄分、ビタミンB1、B2が含まれており、羊肉と同じように優秀な食材です。どちらにも言えるのは赤身に多く含まれる栄養成分なため、脂身が少ない部位を選ぶことが大切です。

■豚肉
豚肉には良質なたんぱく質や、特にビタミンB群が豊富に含まれています。南の地方でよく食べられる食品なため身体を冷やすという説もありますが、身体を作り代謝を活発にしてくれるので摂りたい食品と言えます。

どんな食べ方がおすすめ?

食べ物や栄養についてお話ししてきましたが、食べ方も大切なポイントです。

最初の「冷えってどうして起こるの?食事編」でもお伝えしましたが、サラダなどはそのものが冷たいため、物理的に体を冷やしてしまいます。逆に温かいスープや鍋は熱を持っているため食べるだけでも身体がポカポカ温まります。そのため、どの食品も加熱して温かい状態で食べることがおすすめです。

また先述のおすすめ食材以外でも、加熱をして温かい状態で食べればそこまで心配することはありません。一番大切なのはバランスなので、身体を作るたんぱく質、血行を良くしてくれる鉄やビタミンE、代謝を促してくれるビタミンB群を積極的にとるようにしながら、生姜やにんにくなど身体を温める食品をアクセントとしてコツコツと食事に取り入れていきましょう。

また、温かいものを食べて血管が拡張され汗をかくと、気化熱で逆に体温が下がってしまうということがあります。汗をかいたらこまめに拭くこと、身体を冷やさない服装も大切なポイントです。一回の食事で改善されるものではないので、無理なく継続できるようにし、この冬は『温活』で冷えとサヨナラしましょう。

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著者プロフィール

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■前田 量子(まえだ・りょうこ)
管理栄養士 野菜ソムリエ ロジカル調理研究家。
著書『ロジカル調理』『ロジカル和食』『考えないお弁当』をはじめ、最新著書『おうちで一流レストランの味になるロジカル洋食』(全て主婦の友社)が好評発売中。調理科学で普段のもやもや悩みをすっきり解決 。スーパーの食材で本当に美味しく&家族が楽しみにしてくれる定番家庭料理を作れるようになる料理教室主宰。

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