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2020.10.21

新型コロナの重症化と消化器合併症には、どんな関係がある?【kencom監修医・最新研究レビュー】

kencom監修医:石原藤樹先生

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新型コロナウイルスに感染すると、肺の病変をはじめ、虚血性腸炎、急性膵炎などの消化器系の合併症が多いのだとか。コロナウイルスと消化器疾患にはどのような関係があるのでしょうか。

当連載は、クリニックでの診療を行いながら世界中の最先端の論文を研究し、さらにkencom監修医も務める石原藤樹先生の人気ブログ「北品川藤クリニック院長のブログ」より、kencom読者におすすめの内容をピックアップしてご紹介させていただきます。

今回ご紹介するのは、JAMA誌に2020年9月24日にウェブ掲載されたレターですが、新型コロナウイルス感染症の重症事例に併発する、消化器症状を検証した内容です。

▼石原先生のブログはこちら

新型コロナに消化器系の合併症があるのは何故?

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、感染拡大の当初は重症肺炎など肺病変が主体と考えられていました。その後、全身の血栓症や凝固系の異常、心筋炎や心膜炎などの心臓病変など、肺以外の臓器病変も伴う全身疾患であることが、徐々に明らかになって来ました。

新型コロナウイルス感染症の肺外病変として、無視出来ないのは消化器病変です。

軽症の事例でも下痢や吐き気などの症状が多いことは、これまでにも報告されていますし、重症の肺炎や呼吸不全を来した事例において、入院中に腸閉塞や消化管出血、虚血性腸炎、急性膵炎などの消化器系の合併症を、しばしば合併していることが明らかになっています。

ただ、それが新型コロナウイルス感染症の特徴であるのか、それとも重症の肺疾患に伴う一般的な症状であるのか、という点については明確なことは分かっていません。

他の病気に比べ、コロナでは消化器系の合併症が2倍以上

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そこで今回の研究では、アメリカ、マサチューセッツの単独施設において、新型コロナウイルス感染症と診断され、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)で集中治療室で治療を受けた242名を、新型コロナウイルス感染症以外の原因で、2018年から2019年にARDSで同様に集中治療室で治療を受けた244名と、年齢など他の条件をマッチングさせて比較検証しています。実際にマッチングして比較された事例は、各群で92名ずつです。

その結果、新型コロナウイルス感染症群では、74%が消化器疾患を合併していたのに対して、新型コロナウイルス感染症以外のARDS群では37%で、新型コロナウイルス感染症のARDS事例では、それ以外の原因と比較して、消化器疾患の合併が2.33倍(95%CI: 1.52から3.63)、有意に増加していました。

このように、新型コロナウイルス感染症の重症事例においては、腸閉塞や虚血性腸炎などの消化器疾患の合併が、明らかに多く、それが予後にも影響している可能性が示唆されました。

腸管には、新型コロナウイルスの感染に必要なACE2受容体が分布していて、それが消化器病変に繋がっている可能性がある一方、重症の肺炎などの際にはモルヒネなどの麻薬が使用されるケースも多く、それが腸管の動きの低下に繋がっていて、腸閉塞などのリスクを高めたという可能性も否定は出来ません。

消化器系疾患のリスクに注意

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今後そのメカニズムなどについては検証が必要ですが、重症の新型コロナウイルス感染症で、消化器系合併症が多いことはほぼ間違いがなく、その管理において注意が必要と考えられます。

▼参考文献

<著者/監修医プロフィール>

■石原藤樹(いしはら・ふじき)先生
1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
・略歴
東京医科大学地域医療指導教授/日本プライマリ・ケア連合学会会員/医師会認定産業医/医師会認定スポーツ医/日本糖尿病協会療養指導医/認知症サポート医
・発表論文
-Differential metabolic requirement for initiation and augmentation of insulin release by glucose: a study with rat pancreatic islets. Journal of Endocrinology(1994)143, 497-503
-Role of Adrenal Androgens in the Development of Arteriosclerosis as Judged by Pulse Wave Velocity and Calcification of the Aorta. Cardiology(1992)80,332-338
-Role of Dehydroepiandrosterone and Dehydroepiandrosterone Sulfate for the Maintenance of Axillary Hair in Women. Horm. Metab.Res.(1993)25,34-36