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2020.10.14

紅茶を美味しく淹れるたった1つのコツとは?【ちょっと茶話】

kencom公式:料理研究家・りんひろこ

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食事のベストパートナーとして、世界中で楽しまれているのがお茶です。しかし身近すぎて、意外とその凄さや美味しい淹れ方などを知らない方は多いかもしれません。
この連載では、料理研究家で、日本茶アドバイザーなどお茶の資格も持つりんひろこさんに、豆知識と美味しい淹れ方を教わります。

第一回は今や世界中で飲まれるお茶の王様、紅茶の淹れ方(ストレート)になります。

ヨーロッパで熟成された紅茶の楽しみ方

紅茶は緑茶と同じ茶葉?

日本茶と並んで親しまれている紅茶ですが、実は烏龍茶や緑茶と同じ茶葉からできているってご存知でしたか?
同じものなのにずいぶん味が違うと思われるかもしれませんが、その違いを生んでいるのは製法です。

茶葉に含まれる酸化酵素の働きを利用して製造するのが紅茶と烏龍茶になります。あの銅のような赤茶けた茶葉の色や、花のような豊潤な香りは、この製造過程によるものです。
ちなみに、緑茶の場合は、酸化酵素を使わないで作られているため、緑がくっきりと残っています。

ちなみに、烏龍茶と紅茶は同じ製法と書きましたが、生まれも実は一緒。
中国福建省で作られたお茶がシルクロードなどを通ってヨーロッパに伝えられ、主にイギリスで改良が進められて現在の味や色になったと言われています。
その時期は17世紀後半と言われていますので、意外と新しい文化なのかもしれません。

紅茶の美味しい淹れ方(ストレート編)

緑茶と同じように淹れても十分美味しいですが、本場の淹れ方で淹れてみると、その香りの良さに驚くかもしれません。

1.お湯を沸かす

水道から勢いよくくんだくみ立ての、空気をたくさん含んだ水を使い、大きめの泡がポコポコ出ている状態まで沸騰させてすぐに火を止める。

2.茶葉をポットに入れる

あらかじめ温めていたポットに茶葉を量って入れる。カップ1杯分はティースプーン山盛り1杯(2.5~3g)なので、必要な数杯分の茶葉を入れる。

3.お湯を注ぐ

1の沸騰直後の98℃程度のお湯を、勢いよく2のポットにそそぐ。量は1杯分150~160ml程度。

4.茶葉を蒸らす

ティーコージーやタオルをかぶせてお湯が冷めないようにし、細かい茶葉なら2~3分、大きい茶葉なら3~4分程度蒸らす。

5.スプーンで混ぜる

茶葉の濃さを均一にするために、2~3回大きくかき混ぜる。かき混ぜすぎると余分な渋みが出るので注意。

6.カップかポットに注ぐ

茶こしを使い、温めておいたカップか別のポットに注ぐ。『ゴールデンドロップ』と呼ばれる最後の1滴まで注ぎ切る。

ちょっと一手間でさらに美味しく!

さらに美味しく飲むには一手間が必要になってきます。ここでは基本的な3つのコツをお伝えします。

水の硬度と空気にこだわる

日本の水道水は適度にカルシウムなどを含んだ軟水なので紅茶を美味しく淹れられます。ですが、汲み置きや再沸騰させた水は、含まれる空気が少なくなっているため向いていません。
蛇口から勢いよくやかんや鍋に注いだ、空気をたっぷり含む水道水が最適です。

沸騰のさせ方にもひと工夫

次に拘りたいのがお湯の沸かし方。といってもそんな大きな話ではありません。沸騰後すぐに火を止めることが肝心ということです。
大きな泡が立って水面が波打ってきた状態(98℃)から沸騰数十秒以内に火を止めれば、空気を含んだ良い熱湯を作れます。

沸騰して4~50秒以上時間が経ってしまうと、空気が蒸発して無くなるので味が落ちると言われています。

ドラマなどでよく見る「ジャンピング」をさせてみよう

イギリス貴族が出てくる映画などで、執事が高い位置からポットへお湯を注いでいる姿を見たことがあるかもしれません。この技術をジャンピングと言います。
ティーポットの中で起こる、茶葉のゆったりとした上下運動のことです。

沸騰直後の最適な温度(98℃)のお湯を、茶葉が入ったポットに勢いよく注ぐと、茶葉の半分以上が上に浮かび、残りが下に沈み、しばらくすると上下に動き始める現象が起こります。
この動きによって、お茶が良い具合に出ると言われています。

ただし、すべての茶葉に起こる現象ではないので、ジャンピングが見られなくてもポットをゆすったりかき混ぜたりしないほうが良いです。無駄にかき混ぜると、エグみや苦味の元になります。

食事時こそ紅茶を淹れましょう

紅茶に含まれるカフェインとタンニンが胃壁を緊張させて胃腸の働きを促し、消化作用を活発にして胃腸の働きを整えると言われています。
また、含有成分のカテキンは虫歯菌を殺す働きがあるといわれているほか、さらに紅茶に含まれるフッ素は歯の表面を強くする働きがあることが知られています。
食事と一緒に取ることで、効果的に楽しめますよ。

※飲み過ぎると下痢や貧血を起こす場合があります。体調がすぐれない時などはご注意ください。
※服薬などをしている場合は飲み合わせ等で、思わぬ事故になる可能性があります。健康リスクを感じられた場合は、医師に相談の上御賞味ください。

著者プロフィール

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■りんひろこ
料理研究家、フードコーディネーター。京都で学んだ懐石料理や、アーユルヴェーダや薬膳などの東洋の食養生の考えをもとにした美味しく簡単にできる料理を、TVや雑誌などで提案。著書に『作りおきで毎日おいしい! NYスタイルのジャーサラダレシピ』『ジャースチームレシピ』(世界文化社)がある。

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