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2020.09.26

「大腸がん」に関する疑問を解決!1分で読める医師Q&A

kencom公式ライター:森下千佳

大腸がんは予防できる?お腹が弱いけど大丈夫?など、大腸がんに関する疑問アレコレを、東京大学医科学研究所 フロンティア外科学 志田大教授にお答えいただきました。

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「大腸がん」に関する4つの疑問

Q.痔があるので、毎年「要精検」になりますが、いつも何も見つかりません。精密検査をやめても良いですか?

A.毎年であっても、精密検査を受けてください。

多くの方が悩まれているようで同じ質問をよくされます。大腸内視鏡検査の結果、何も異常が見つからない事が毎年続くと誰しも「今年は必要ないのでは?」と思ってしまいますよね?
しかし、答えは「NO」です。
年齢を重ねるごとに大腸がんを発症する人は増えてきますし、今年は大丈夫だからといって来年も大丈夫であるという事を保証できません。便潜血検査で引っかかったら、仮にそれが毎年であったとしても精密検査を受ける事を強くおすすすめします。

Q.腸内環境を良くすると、大腸がんにもなりにくいですか?

A.残念ながら、現時点では「腸内環境と大腸がんの関係」は解明されていません。

しかし、医学的に今「腸内細菌」が話題です。大腸には、大腸菌や乳酸菌など約3万種、100兆個以上の腸内細菌が生息していますが、「体内の免疫細胞の7割以上が腸に存在する為、色々な病気は腸内細菌に関係するのではないか」と言われていて、世界中で研究が進められています。
今後10年ぐらいの間には何かしら大きな発見があるかなと思っているので、10年後には「腸内細菌と大腸がんの関係」にも答えが出ているかもしれませんね。

Q.大腸内視鏡検査は、恥ずかしいし、痛そうで、怖くてどうしてもいけません。実際は痛みはどの程度でしょうか?

A.痛みの感じかたはひとそれぞれで、「これだけ痛い」と数値などを用いてはっきり言うことはできません。
大腸内視鏡検査による痛みは、患者さんの大腸の長さや走行などの状況と、医師の技量、鎮痛剤などを使うかどうかなどの条件が絡み合って決まります。しかし、肛門からものを入れるわけですから何も感じないことはありません。
「何か入っている」という異物感はどなたも感じると思います。麻酔にはメリットとデメリットがありますが、怖くて受けられない場合は麻酔をかけてくれる施設を選んで受けるというのも1つの選択肢だと思います。

大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡を入れるため、特に女性の方は抵抗感を持たれることが多いようです。しかし、検査する側もその点には十分な配慮を払っていますし、検査着には工夫がこらしてあります。それが原因でがんの発見が遅れる事がないよう、恥ずかしがらずに検査を受けて欲しいと思います。

Q.お腹が弱く、良く下痢をします。大腸がんになりやすい体質ですか?

A.「下痢や便秘をよくする人が、大腸がんになりやすい」といった、医学的な根拠はありません。
下痢は大変かもしれませんが、便通が良いという事なので、大腸がんのリスクに関していうと大きく心配するものでもないと思います。

科学的に完全に証明できてはいませんが、人種などによる発症率の比較などによって、食物繊維をたくさん食べていると大腸がんになりにくいと言われています。
食物繊維が豊富な穀類や、豆類、野菜類などをたくさん摂って、予防を心がけて行きましょう。

志田 大(しだ・だい)先生

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東京大学医科学研究所 フロンティア外科学 教授
東京大学医科学研究所附属病院外科 診療科長
平成8年3月東京大学医学部医学科卒業、茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター、神奈川県茅ヶ崎市立病院、Virginia Commonwealth University (USA) 、東京都立墨東病院を経て、平成25年1月より国立がん研究センター中央病院 大腸外科医長。令和2年9月より現職。

著者プロフィール

■森下千佳(もりした・ちか)
フリーエディター。お茶の水女子大学理学部卒。テレビ局に入社し、報道部記者として事件・事故を取材。女性ならではの目線で、取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。退社後、ニューヨークに移住。当時、日本ではなかなか手に入らなかったオーガニック商品を日本に届けるベンチャー企業の立ち上げに関わる。帰国後、子宮頸がん検診の啓発活動を手がける一般社団法人の理事を経て現職。一児の母。

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