2020.08.16
夏は血圧が下がりやすい!?夏の血圧に要注意!【夏の高血圧#2】
毎日汗をかきつつヘトヘトになりながら働いている方も多いことでしょう。暑さによって起こる様々な身体の不調が辛い季節がやってきました。
そこで、夏に気をつけたい血圧の注意点について、群馬県済生会前橋病院 循環器内科の土屋寛子先生にお話を伺いました。
今回は、夏高血圧の概論についてです。
夏の盛りに要注意!血圧の変化と注意点
身体が脱水傾向の時、血管内の水分不足によって血圧は下がります。ここで脈拍数が早くなっている時は特に注意が必要です。
脈が早くなるのは、少なくなった血液で脳や全身の臓器への供給を補おうとしているからです。
夏だからといって特別に血圧が上がりやすいシーンはあまりないと思います。
花火大会、お祭り、スポーツに興じている時などは、興奮しているので普段よりは血圧が上がっているでしょう。
季節の変化による血圧変動については、男女でそう大きな差はありません。
しかし、動脈硬化の起こりやすさには差があります。
一般的に、男性の方が女性に比べて動脈硬化が起こりやすいと言われています。従って、男性の方が血圧は高くなりやすいです。
しかし女性も、閉経期になると血圧が高くなると言われています。女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで血管の柔軟性が低下し、血圧が高くなる傾向になります。また閉経によって男性ホルモンの割合が増えてくることも、高血圧の原因になります。
ご高齢の方は若い方より動脈硬化が進んでいる事が多く、血管の状態が良くありません。
従って、季節(気温の変動)の影響は受けやすいと言えます。
高血圧を気にするあまり塩分を過度に避けてしまうと、脱水から熱中症を引き起こすので注意してください。「こまめに水分摂取を」と言われますが、水分だけでなく塩分も必ず摂取することが大事になります。
前述の通り、夏は冬より血圧が下がることが多いです。ですから、降圧剤が効き過ぎて血圧が下がってしまう事もありますので、その場合にはかかりつけ医に相談して下さい。そのためにも自宅で血圧測定を行いましょう。
血圧に問題がない人にとって、夏にどれくらい塩分を摂った方が良いといった明確な基準はありません。食物を摂取しておいしい、と感じる量の塩分で良いでしょう。
それは身体が欲している、つまり塩分が不足している証拠です。塩分を含まれた物を食べて、しょっぱいと感じたらそれ以上の摂取を避ければ良いのではないでしょうか。
夏は血圧低下に気をつける
たくさん汗をかく真夏は、血圧が変動しやすい季節。特に、中高年以降の方は水分摂取と身体の中の塩分量の調節がキーポイントとなります。
血圧は高くても低くても体調不良を起こすのです。
次回は、夏に注意しておきたい血圧の落とし穴についてご説明します。
土屋寛子(つちや・ひろこ)先生
群馬県済生会前橋病院 循環器内科
2002年富山医科薬科大学(現:富山大学) 薬学部を卒業。2002年群馬大学 医学部編入。2008年群馬大学 医学部第二内科入局し、循環器内科医師として3年間勤務。2011年から現在まで群馬県済生会前橋病院にて勤務中。内科認定医。日本心血管インターベンション治療学会認定医。循環器専門医。
著者プロフィール
■緒方りえ(おがた・りえ)
1984年群馬県生まれ。20代から看護師として活動をする傍ら、学会への論文寄稿や記事の作成なども行う。2015年独立しフリーの編集者として活動。2017年より合同会社ワリト代表社員。医療系を中心に、旅行、雑貨など幅広いジャンルでフリーライター、フリー編集者として活動中。