メニュー

2020.08.12

実家の整理、どう進める?親とぎくしゃくしない片づけの伝え方

kencom公式:ライフオーガナイザー® ・門傳奈々

記事画像

お盆や年末年始など、帰省時期になると気になるトピックが「実家の片づけ」です。
つい子ども側だけが焦って「片づけよう!」とか「捨てよう!」と思っていませんか?親の意思を確認せずに突っ走るひとりよがりの片づけでは上手くいきません。

せっかくの親子時間だからこそ、親子で気持ちよく片づけが進むコツをご紹介します。

焦らないで進めよう!

記事画像

親子とは言え、親には親の、子には子の生活があります。家族構成や年齢、住んでいる家の大きさなどの違いで、片づけにかかる時間は異なります。

子ども側だけが焦って「実家を片づけなくては!」と勝手に実家の片づけ作業を進めようとすると、親が抵抗することが多いです。焦る気持ちはわかりますが、まずは実家に住んでいる親の気持ちを尊重しましょう。

一方的な片づけは親子の関係性を壊す

記事画像

「実家の片づけ」が原因で、親との関係性をこじらせてしまうことがあります。

筆者も以前は、実家に帰ると「せっかく帰省したから」「このタイミングで片づけなくては」とせっせと実家を片づけていました。その時の親は、どこか寂しそうであり、怒り出すこともありました。

筆者は「せっかく片づけてあげているのにどうして喜んでくれないのだろう?」という気持ちでしたが、冷静に親の気持ちを考えると「自分のものを勝手に動かされる」「自分の持ちものを不用品として扱われる」「自分の意思を確認しないまま捨てられてしまう」という気持ちだったようです。
しまいには、母から「自分たちの片づけは自分たちがやるから、あなたが手を出すのはもうやめて欲しい」と言われてしまいました。

なんとなくわだかまりを抱えてしまった親子関係は、しばらくの間ぎくしゃくしてしまいました。

スムーズに実家を片づけるために

では、スムーズに実家を片づけるためにはどうすれば良いのでしょうか?

具体的なステップを紹介します。

お互いの意思を確認するところから始めよう

記事画像

最初のポイントは、「親と子がお互いの妥協点を見つける」ことです。まずは子ども側から、なぜ実家を片づけたいのか伝えてみましょう。

以下は筆者が実家の片づけを進める際に親に伝えた言葉です。
・物が多いと家の中での転倒が心配なので片づけたい
・足が悪い親には部屋の行き来を少なくしてあげたい
・よく使うものだけを身の回りに置いておいて欲しい
・どのようなものを大切にしているのかを教えて欲しい

こうした「子の気持ち」を伝えることで、親は「親のものが邪魔で片づけをしたいと思っているわけではない」「子は親のことを心配してくれている」「自分では手をつけられない場所を手伝ってもらえる」というような気持ちが芽生えて、次第に片づけに対して前向きになってくれるようになります。

片づける場所の優先順位を決める

記事画像

実家の片づけの順序として、以下のような順番をおすすめします。

1.子のものを片づける

2.親が過ごす時間が長い部屋から片づける

3.親が手をつけられないもの(重いもの、大きいもの)を片づける

実家の片づけで親の意思を確認する前にやっておきたいことは、まずは、子ども自身のものを処分することです。
実家においてあるものの中には、親が使っていないもの(=親のものではないもの)も意外とあります。まずは、それらを片づけるだけでも意義はあります。

次に、親がよく使う場所や部屋を片づけることです。
親がよく使う場所と言えばリビングが多いでしょう。よく使う場所が片づいていないと、高齢の親がものにつまづいて転んでしまう危険も。安心して暮らすためにも、一番よく使う部屋にはものを多く置かない、ものを置く場合は点在させない、といった工夫が必要です。

よく使う場所を片づけた後は、親が作業しにくい大変な重いものや大きいものに取り掛かりましょう。
不用品の処分などが必要な場合は、実家の近くで処分できるリサイクルショップや不用品処理場のスケジュールを事前に調べておくことも忘れずに。

親の気持ちを尊重した言動を

実家の片づけが上手くいかないのは、親子だけに遠慮のない声の掛け方になっているからかもしれません。

「もし、自分が我が子にこういう言い方をされたらどう思うか?」という視点で親に接するのが良いでしょう。
家族だから厳しい言い方が許される、というわけではありません。優しさを忘れない声かけを意識することが大切です。

声かけの工夫

記事画像

具体的にどのような声のかけ方が良いのか、悪い例、良い例にまとめました。

<悪い例>
・「これ捨ててもいいよね?」
・「これ使っているの?使っていないよね?」
・「どれなら捨てても良いの?」
・「私が滞在しているうちにものを捨ててしまいたいのだけど…」

<良い例>
・「この中で大切にしているものはどれか教えて」
・「お父さん、お母さんが処分したくても処分するのが大変だと思うものがあれば代わりに処分してくるよ」
・「安心、安全に過ごして欲しいから、部屋の中はできるだけスッキリとさせておいたほうがいいと思うのだけどどう思う?」
・「(これは要らない、というものを)思い出したらいつでも連絡ちょうだい。実家に来るタイミングで処分するから」

このように、思いやりを持って接することで、片づけの意思疎通もしやすくなります。

「捨てない」サービスを活用する手も

記事画像

実家の片づけでのNGワードは「捨てる」です。

想像してみてください、自分のものを「捨てる」と言われて良い気はしませんよね。
しかし、ものを減らさなければ、片づけは進みません。そのジレンマを解決してくれる方法として、不用品を再利用できるサービスを活用しても良いでしょう。

古着deワクチン

古着を送ることで、発展途上国に雇用が創出されるとともに子どもたちにワクチンを寄付できる仕組みです。回収には専用キットを購入(税込3300円)する必要があります。

各種下取りサービス

衣料品や靴店、家電量販店でよく行っている「下取りサービス」。
古い衣類などを引き取ってくれる代わりに割引券などを発行してくれるところもあります。こういった「損をしない」サービスは、ものを手放せない高齢者にも勧めやすい方法です。

自治体のリサイクルサービス

時間に余裕がある場合は、自治体のリサイクルサービスなどを利用するのも良いでしょう。
捨てるはずだったものが「誰かの役に立っている」と思うことで、ものを手放すことへのハードルも下がります。

フリマアプリ、掲示板サービスの活用

フリマアプリや、掲示板サービスを利用して、ものを売る・あげることができます。ゴミとして処分するのではなく、「必要な人の手に渡る」ことで満足度が上がります。
高齢者がこのようなサービスを使うには抵抗を感じる場合もあるので、代行してあげると良いでしょう。

親子の関係が壊れそうな場合は第三者を入れて

記事画像

親子の「片づけたい」気持ちに温度差があると、親子関係もぎくしゃくしがちです。
親との仲が心配になった場合は、事前に親に了承を得てから「片づけ代行業者」などの第三者を入れて片づけを進めるのも良いでしょう。第三者に言われると素直に片づけに応じる高齢の方もいらっしゃいます。

なお、繁忙期のお盆や年末年始は片づけ代行の業者の予約が取りにくいことを理解しておきましょう。
片づけを一気に終わらせようとせず、半年から1年かけて自分たちで少しずつ片づけたり、大物だけ業者に頼むのも良いですね。

実家のものというのは、長年の積み重ねで増えてきたものです。それらを片づけるには時間がかかるということを忘れないようにしましょう。

「やる気スイッチ」は本人の中にある

記事画像

筆者の実家では、片づけが一気に進んだタイミングがありました。それは、子(筆者)が片づけたタイミングではなく、父親の元同僚の方が亡くなったタイミングでした。
元同僚の娘さんが遺された実家の片づけに苦労しているのを目の当たりにした父は、「自分の子どもにはこんな苦労はかけたくない」と思ったそうで、母とともに実家を片づけ始めたのです。

本人のやる気が生まれた時こそ、片づけは一気に進むものです。
その時が来たら少しでも片づけやすいように「ものを点在させない」「よく使うものはまとめておく」など環境を整備しておくことが必要です。

コロナ禍で実家への帰省は難しい時期ですが、親と電話するときなどに片づけの話題を出して子どもサイドの気持ちを伝えておくなど、この時期にできることから始めてみましょう。

門傳奈々(もんでん・なな)

記事画像

ライフオーガナイザー®、整理収納アドバイザー1級。夫と3人の子どもがいる5人家族。夫の転勤に伴い、中東、インドなどで海外生活を送った後、日本に帰国。「片づけが苦手」だった自分の経験を生かし、だれでも簡単に整理できる収納方法を提案するため、個人宅を訪問しお片づけのお手伝いをしたり、お片づけ講座、お片づけお悩みシェア会などを開催。