2020.07.30
コロナ禍は夏バテしやすい!?疲れにくい身体をつくる食事の3ポイント
新型コロナウイルスの影響で、いつもとは少し様子の違う夏。
外出自粛やリモートワークでおうち時間が増えたとは言え、体力が落ちたり生活習慣の乱れ、ストレスなどで身体の調子が良くないな…と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は夏の不調や夏バテを解決する方法として、食事改善について紹介します。
夏バテは「自律神経の乱れ」が原因かも?
「夏バテ」という言葉は病名ではなく、夏の暑さが原因となって起こる体調不良の総称です。
夏バテの症状としてよく見られるのが、
・胃がもたれている
・食欲がない
・やる気が起きない(だるい)
・疲れやすい
・寝不足
などです。
私たちの身体には自律神経というものが備わっており、これが汗をかいて体温を調整する、呼吸をする、胃腸の働きを調整する、などといった機能を果たすことで常に「調子が良い状態」をキープしています。
しかし、夏は外気温とクーラーの効いた室内の温度の差が大きく、この差が身体にとってストレスとなり自律神経の乱れが生じ、「夏バテ」の症状を引き起こしている可能性があります。もちろん、自律神経の乱れは気温差だけでなく、精神的なストレスなどからも影響を受けますので注意が必要です。
夏バテの悪循環に注意!
一度夏バテの症状が出始めたらなかなか治まらない、という時は、夏バテの悪循環に陥っている可能性があります。
例えば、「食欲不振→食べない→エネルギーが足りず体力も減る→だるさが出る→食欲不振」といった具合です。
夏バテにならないように対策をとることが一番ですが、症状が出始めたら夏バテ解消に向けた対策を講じるのも、悪循環に陥らないためには大切です。
夏バテを引き起こしやすいNG食事スタイル
夏バテしやすい食事スタイルには特徴があります。
冷たいものばかり食べる
暑いときに冷たいものを食べてクールダウンをするのは良いですが、冷たいものばかり食べると身体の内側から冷え切ってしまいます。
そうすると胃腸の動きが悪くなり、消化不良になることもあります。
柔らかいものばかり食べる
ついついジュースやゼリー状のものなど軟らかいものだけで済ませてしまう、ということはありませんか?
「噛む」ことで脳に刺激が伝わり胃腸を動かすため、噛まないと胃腸の働きは弱くなってしまいます。また、噛む動作であごの筋肉をしっかり使うと熱も生まれます。
さらに、噛むことで出てくる唾液にはアミラーゼというでんぷんを分解する酵素が含まれているので、よく噛んで食べ物を細かくすれば胃腸への負担を小さくすることができます。
よく噛んで食べることは胃の筋トレです。麺類や汁物でパパっと済ませるのではなく、よく噛んで食べるメニューを取り入れましょう。
食事を抜くことが多い
1日3食のうち、1回食事を抜くということは1/3の栄養を失っているということです。
私たちの身体がいつも元気な状態でいるためには、エネルギー源やビタミンなど様々な栄養素が必要ですが、栄養素が不足すると夏バテの悪循環が始まります。
夏バテでどうしても食欲がない時は、バナナやおかゆなど消化の良いものを少量でも口にして、エネルギー不足にならないように注意をしましょう。
コロナ禍でも夏バテしないために
今年は今までとは違う夏の過ごし方が求められていますが、中でも増えたのが「おうち時間」ではないでしょうか。
今まで通勤や身支度にかかっていた時間はなくなり、ずっと家で過ごすことで、油断をすると生活リズムが乱れやすくなっています。体力が落ちたと実感している方も多いはず。
そんなコロナ禍でも夏バテしないために気を付けたいのが、以下の3点です。
1.食べる時間は規則正しく
おうち時間が長いと、時間の縛りがなくなり好きな時に好きなものを食べることができますが、毎日バラバラの時間に食べている(もしくは食べない)と体内時計のリズムも狂いやすくなります。
1日3回の食事にはそれぞれ意味があります。
朝食…食事の刺激により体内時計を整え、1日の始まりのエネルギーを補給する
昼食…午前中に使った分と、午後から元気に活動するためのエネルギーを補給する
夕食…1日頑張った身体へのリカバリーをはかる
特に朝食は、体内時計のズレを整えるスタートボタンのような働きがあります。気持ちの良い1日を始めるためにも、まずは朝食の時間を決めてしっかりと食べましょう。
食事の時間を整えることで無駄な間食が減るため、おうち時間が長く運動不足になりがちな人には特におすすめです。それぞれの食事の役割をしっかりと果たすためにも食事の時間を決め、よく噛んで食べましょう。
2.水分補給はこまめに
冷房が効いた室内にいる時間が長いと、極端にのどが渇いたという感覚もなくつい水分補給を怠ってしまいやすいのです。しかし、体感温度は快適でも、意外と乾燥していることも多いため注意が必要です。
涼しい部屋の場合は常温の水でも十分です。また、水分は食べ物からも補給できます。みずみずしい野菜や味噌汁などを食事に取り入れることで、栄養と水分を一緒に補給できておすすめです。
さらに今年は「マスク熱中症」という言葉も出てきています。マスクをつけることで喉の渇きが感じにくくなると言われているので、外出時もこまめに水分補給をおこないましょう。
3.あたたかい食事を摂る
夏はついつい冷たいものばかり食べてしまいがちですが、冷たいものばかりでは内臓も冷えて動きが悪くなり、夏バテの原因にもなります。
冷たいものを食べる時は温かい味噌汁やスープをつける、飲み物を常温や温かいものにするなど工夫をして「冷やしすぎない」ことを心がけましょう。
また、胃の調子があまり良くない場合は、食物繊維が多い生野菜や根菜、刺激の強い香辛料、消化に時間のかかる脂っこいものなどを避けると良いでしょう。
難しくない!食事で夏バテしにくい身体をつくろう
夏バテ特有のだるさは油断すると秋まで長引くことから、最近は「秋バテ」という言葉も聞かれるようになりました。
栄養の知識はなくとも、ごはん、味噌汁、メインのおかず、野菜のおかずがあるかをチェックするだけで食事のバランスはぐっと整いやすくなります。
野菜のおかずは面倒という場合は、冷凍野菜を活用したり、味噌汁に野菜をたくさん入れたりすることで自然と摂ることができます。
少しでも調子が悪いな、と思ったら無理をせずにしっかりと休養を取ることも大切です。そして生活習慣を見直し、バランスの良い食事を摂り、夏バテしにくい身体を作りましょう。
磯村 優貴恵(いそむら・ゆきえ)
大学卒業後、大手痩身専門のサロンにて管理栄養士としてお客様の身体をサポート。その際に具体的な料理提案の必要性を感じ、飲食店の厨房にて約3年間の料理修行を行う。
その後、特定保健指導を経て独立。現在は、茶道教室にて茶事講座や茶事での茶懐石の献立提案~調理を行うほか、子供から大人まで家族みんながおいしく食べられて健康になれるよう、レシピ・商品開発や執筆など幅広く活動中。